第1回日本放射線医療技術学術大会(JCRTM 2024)が開催
第40回日本診療放射線技師学術大会と第52回日本放射線技術学会秋季学術大会の合同学術大会として実施
2024-11-21
初の合同大会となる第1回日本放射線医療技術学術大会の
開催を告げる鐘を鳴らす上田克彦大会長(右)と
白石順二大会長(左)
公益社団法人日本診療放射線技師会(JART)と公益社団法人日本放射線技術学会(JSRT)は,第1回日本放射線医療技術学術大会(JCRTM 2024)を,10月31日(木)~11月3日(日)の4日間,沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)で開催した。JARTは第40回⽇本診療放射線技師学術⼤会,JSRTは第52回⽇本放射線技術学会秋季学術⼤会で,両会が学術大会を合同開催するのは初めてである。テーマには,「助け合い」「協調」を意味する沖縄県の方言,「ゆいまーる」を取り入れ,「ゆいまーる ~診療放射線技術の共創~ All Japan Radiological Technology」が掲げられた。また,大会長は上⽥克彦氏(JART会⻑)と⽩⽯順⼆氏(JSRT前代表理事),実行委員長は富⽥博信氏(JART副会⻑)と奥⽥保男氏(JSRT副代表理事)が務めた。プログラムは,第1回大会開催記念企画をはじめ特別講演が2題,沖縄県企画が1セッション,市民公開講座が1セッション,学術企画が22セッション,教育講演が3題,JIRAワークショップなどが設けられた。また,一般演題については,2021年に出された「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を受けて,「研究」と「発表」を明確に区分した。
初日10月31日に行われた開会式で挨拶に立った白石大会長は,3年前から準備を進めて開催を迎えることができ,両会のスタッフが肩を並べて受付業務をしている姿を見て感無量だと述べた。また,上田大会長は,JARTは職能団体,JSRTは学術団体として異なる役割があり,プログラムには合同企画を用意したとし,医療行政にもかかわるプログラムもあり,JARTの活動を理解する機会としてほしいと挨拶した。
3日目11月2日には,式典が行われた。白石大会長,上田大会長,JSRT代表理事・石田隆行氏が挨拶を行い,衆議院議員の岸田文雄氏,小泉進次郎氏の祝電が披露されたほか,福岡資磨厚生労働大臣の祝辞が代読された。また,来賓の衆議院議員・島尻安伊子氏,沖縄県副知事・池田竹州氏(知事・玉城デニー氏の挨拶代読),一般社団法人沖縄県医師会長・田名 毅氏,公益社団法人日本医学物理学会会長・福田茂一氏が挨拶した。
この後,第1回大会開催記念企画「All Japan Radiologyの実現に向けて」が行われた。富⽥氏・奥⽥氏の両実行委員長が座長を務め,日本の放射線医療にかかわる各団体の代表者が登壇した。最初に登壇した上田大会長は,「診療放射線技師の役割と将来」をテーマに講演した。上田大会長は診療放射線技師数の現状や将来予測を説明した上で,JARTが作成した「JART Vision 2040」に掲げた目標を示した。また,タスク・シフト/シェアの取り組みや放射線診療4団体連絡協議会の活動などを紹介した。次いで登壇した石田氏は,「放射線技術学の進歩発展のために」と題して講演した。まず,学会の概況を説明し,今後の放射線診療に影響を与えるAIの動向について解説。JSRTについてイノベーションを創出できる学会になり,医療における放射線技術の新たな価値を構築すると述べた。次に,一般社団法人日本ラジオロジー協会(JRC)代表理事の青木茂樹氏が,「JRCの立場から」と題して,協会の活動内容を紹介したほか,今後の検討として,毎春行われるJRCのサポート強化・拡大,海外からの参加者増加のための取り組みなどに言及した。4番目に登壇した公益社団法人日本医学放射線学会(JRS)理事長の富山憲幸氏は,JRSの活動内容を説明した上で,JART,JSRTとの関係について触れ,将来にわたって良好な関係が続くことを期待すると述べた。続いて,一般社団法人日本放射線科専門医会・医会(JCR)理事長の山田 惠氏が登壇し,医師の働き方改革が進む中でのタスク・シフト/シェアのあり方について私見を述べ,人材の流動性が重要であることを強調した。次いで,一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)会長の瀧口登志夫氏が,「共創 放射線医療の発展のために〜JIRA産業ビジョン2030〜」をテーマに講演した。瀧口氏は2024年に取りまとめた「JIRA産業ビジョン2030」を紹介。その上で,安全・安心な医療技術,共創に向けたJIRAの取り組みについて説明した。最後に,白石大会長が,「第1回日本放射線医療技術学術大会開催への道のり」と題して,今大会開催を実現するためのJART,JSRTの検討,準備,プログラム策定などを説明。両会の協働はこれからの日本の放射線医療にとって不可欠であるとまとめた。
2題設けられた特別講演は,2日目の11月1日,3日目の11月2日にそれぞれ行われた。1日の特別講演(1)は,沖縄科学技術大学院大学神経計算ユニット教授の銅谷賢治氏が「デジタル脳プロジェクトのめざすもの」をテーマに講演。2日の特別講演(2)は,(株)アクロラドの大野良一氏が「宇宙放射線の観測衛星からフォトンカウンティングCTまで~新しい放射線イメージングを支える半導体を沖縄から~」と題して講演した。
また,初日10月31日の開会式後に行われた緊急報告企画「令和6年能登半島地震への支援活動報告」では,JSRT副会長の江藤芳浩氏が,災害支援体制と実際のオフサイトでの対応について説明。JART業務執行理事の江端清和氏が石川県庁調整本部での活動内容を報告した。
沖縄県企画は11月1日に行われた。2名の講演者が登壇し,先に講演した北部地区医師会北部地区医師会病院の関口智子氏は,沖縄美ら海水族館からの要請で行った魚類やイルカなどの飼育動物へのX線検査の経験を紹介。次いで登壇した沖縄美ら島財団附属動物病院院長の植田啓一氏は,飼育動物の健康管理のための検査の方法や課題などを講演した。
開催地の沖縄県に関しては,最終日11月3日に,市民公開講座「おきなわ津梁ネットワークについて」が設けられた。本セッションでは,沖縄県医師会システム担当理事の比嘉 靖氏が「沖縄県民の健康を護るEHRを目指すおきなわ津梁ネットワーク〜安全医療を目指して〜」と題して,沖縄県の医療の特異性とそれを踏まえた医療情報ネットワークの構築・運用について説明した。また,量子科学技術研究開発機構放射線医学研究所理事の神田玲子氏が,「沖縄で日本初の試みを−津梁ネットワークとの協働と将来−」と題して,おきなわ津梁ネットワークと患者の線量評価ツールを連携させて,線量管理機能が利用可能になったことを紹介した。
最終日11月3日には,閉会式が行われ,上田大会長,白石大会長が挨拶し,上田大会長から期間中の参加登録者数が2500名を超えたと報告された。今後は12月9日(月)までオンデマンド配信が行われる。なお,2025年は別開催となる。第41回⽇本診療放射線技師学術⼤会〔大会長:村中良之氏(公益社団法人福井県診療放射線技師会会長)は9⽉12⽇(金)〜14⽇(⽇)にAOSSA,ハリピンほか(福井県福井市)とオンデマンド配信で開催。JSRTは,第53回⽇本放射線技術学会秋季学術⼤会〔大会長:蝶野大樹氏(札幌医科大学附属病院)〕は,10月17日(金)~19日(日)に札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)で開かれる予定である。
●問い合わせ先
第1回日本放射線医療技術学術大会運営事務局
株式会社リンケージ沖縄内
〒901-2224 沖縄県宜野湾市真志喜2-8-8-2F
TEL:050-3666-2460 / FAX:098-890-1921
E-mail:jcrtm2024@linkage-okinawa.co.jp
https://www.linkage-okinawa.co.jp/jcrtm2024/index.html