キヤノンメディカルシステムズ,「Global Standard CT Symposium 2024」をオンラインで開催
2024-8-15
「高精細イメージングとその先へ」をテーマに行われた
「Global Standard CT Symposium 2024」
キヤノンメディカルシステムズは,2024年8月3日(土),同社CTの最先端の臨床応用について報告する「Global Standard CT Symposium 2024」をオンラインで開催した。13回目となった今回は,「高精細イメージングとその先へ」をテーマに6演題が設けられ,事前登録は1000名を超えた。なお,8月19日(月)〜26日(月)までオンデマンド配信も予定されている。
はじめに,同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏が挨拶に立ち,同社CTにおける,deep learning reconstruction(DLR)の応用による画像の高画質化と被ばく低減への取り組みの現状を報告した。また,さらなる画像の高精細化と低被ばく化を可能にする次世代CTとして,フォトンカウンティングCTに言及。早期実用化により画像診断技術の発展に寄与していきたいと述べた。
続いて,小林達伺氏(国立がん研究センター東病院)と宇都宮大輔氏(横浜市立大学大学院)が座長を務め,6名の演者による講演が行われた。
加藤真吾氏(横浜市立大学大学院)は,「最新の心臓CT技術:心筋評価の最前線」と題し,心筋の線維化や病態の評価における心臓CTの有用性と,同社のDLRの一つである超解像再構成「Precise IQ Engine(PIQE)」がもたらす効果を報告した。なかでも,遅延造影CTにPIQEを適用することで明瞭な遅延造影画像が得られ,心筋梗塞の評価に有用なほか,PIQEを適用した高精細画像はCT-ECV(extracellular volume fraction:細胞外液分画)のより正確な値の算出にも寄与し,心アミロイドーシスの診断に活用できると述べた。
河合秀樹氏(藤田医科大学)は,「高精細・AI技術による治療戦略の変化」と題し,新しいArea Detector CT(ADCT)である「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」の循環器領域での活用について講演した。Aquilion ONE / INSIGHT Editionに搭載されたPIQEや体動補正技術「CLEAR Motion」などのディープラーニング応用技術を活用することで,従来,CTの弱点とされてきた病変や患者でも安定した良好な画像が得られるようになったと指摘。不要なカテーテル検査の減少に寄与するほか,臨床医が自信を持って冠動脈疾患を診断できるようなるとの考えを示した。
五明美穂氏(杏林大学)は,「Deep learningで引き出す頭部領域における高精細CTの実力」と題して講演した。高精細CTの特長として,最小スライス厚0.25mm,最大空間分解能0.15mm,再構成マトリックスが1024,2048に対応したことで空間分解能が飛躍的に向上したことを挙げ,皮質枝や細動脈,穿通枝動脈などの描出が可能になったと述べた。さらに,DLRを適用することでノイズを除去したより高画質な全脳の画像を短時間で取得可能であるとし,集簇した血管構造を3D-DSAと同様に描出した例や,ステントストラットを良好に描出した例など,多くの自験例を提示した。
中園貴彦氏(佐賀大学医学部附属病院)は,「胸部画像診断における高精細画像の臨床知見」と題し,Aquilion ONE / INSIGHT EditionにてPIQEおよびCLEAR Motionを用いた胸部領域における使用経験などを報告した。PIQEを用いることで低ノイズかつ高精細な肺野領域の画像が得られるため,特にびまん性肺疾患や肺腫瘤性病変の性状評価などに有用なほか,PIQEの画像にCLEAR Motionを併用することで,心拍動の影響を受ける領域でもアーチファクトを抑えた良好な画像が得られ,再撮像による被ばくを抑制できるなどの利点があると述べた。
永山泰教氏(熊本大学大学院)は,「腹部画像診断における高精細画像の臨床知見」と題し,PIQEの腹部用パラメータである「PIQE Body」に関する検討結果と初期使用経験を報告した。PIQE Bodyの1024マトリックスの画像は,512マトリックスの画像よりも解像度が向上し,また,ノイズ特性や低コントラスト領域の視認性はDLRである「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」の画像と同等以上に保たれているため,あらゆる腹部疾患で付加価値がもたらされると述べた。さらに,被ばくや造影剤量の低減が可能となることで,安全面でも寄与する可能性があると展望した。
粟井和夫氏(広島大学大学院)は,「Canon CZT-based PCD-CTの画質特徴と臨床的ポテンシャル」と題し,今年4月に同大学での臨床研究が開始された同社フォトンカウンティングCT(PCD-CT)の初期使用経験を報告した。PCD-CTの技術的な特徴を概説したほか,空間分解能,コントラスト分解能,被ばくなどについて従来検出器CT(EID-CT)との比較を示し,PCD-CTの最大空間分解能はEID-CTの通常モードの2〜2.5倍,ヨードのコントラストは10〜20%増加,被ばくは20〜90%低減できると述べた。また,PCD-CTによるスペクトラルイメージングでは,dual energy CTよりも精度の高いmaterial decompositionが可能であるとし,スペクトラル解析の定性および定量解析の正確さが向上する可能性を示唆した。
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ株式会社
Global Standard CT Symposium事務局
E-mail:cmsc-ctei_act@medical.canon