島津製作所が「第101回レントゲン祭・記念講演会」を開催

2024-2-14

島津製作所


101回目を迎えたレントゲン祭

101回目を迎えたレントゲン祭

(株)島津製作所は2024年2月9日(金),本社大ホール(京都市中京区)にて「第101回レントゲン祭・記念講演会」を開催した。島津製作所では,レントゲン博士の功績を讃え,遺徳をしのぶため,博士が逝去した翌年(1924年)から命日の2月10日にレントゲン祭を主催しており,今回で101回を数える。コロナ禍でオンライン開催が続いていたが,今回は2020年以来の現地開催となった。

はじめに,島津製作所常務執行役員・医用機器事業部長の園木清人氏が式辞を述べた。園木氏は,島津のX線の歴史はレントゲン博士がX線を発見した11か月後の1896年に始まり,以来100年以上にわたり医療と技術の進歩に寄り添ってきたと,これまでの歩みを振り返った上で,近年の医療課題に対する取り組みを2つ挙げた。1つ目がAI技術を活用した椎体骨折の画像検出支援で,高齢化に伴い増加する骨粗鬆症による椎体骨折を早期発見して患者のQOL低下を防ぐために,椎体骨折の定量評価をAIでサポートし,医師の負担軽減に貢献する「椎体計測ソフトウェア Smart QM」を紹介した。2つ目が認知症への取り組みで,アルツハイマー型認知症の一因とされるアミロイドβを少量の血液から早期に検出する質量分析の技術や,頭部・乳房専用の半導体PET装置「BresTome」を用いた脳内のアミロイドβ蓄積の画像化により,認知症の正確な診断や治療を支援していくと述べた。園木氏は,「これからもX線の技術を磨きながら最新のAIやデジタル技術を導入し,新たなイノベーションの創出を通じて医療現場の課題解決をめざしていく」と述べ,式辞を結んだ。

園木清人 氏(常務執行役員・医用機器事業部長)

園木清人 氏(常務執行役員・医用機器事業部長)

 

続いて,同社代表取締役社長の山本靖則氏による祭詞と献花が行われた。

代表取締役社長の山本靖則氏による祭詞・献花

代表取締役社長の山本靖則氏による祭詞・献花

 

式典に続き,第101回レントゲン祭に際して制作された特別映像「レントゲン博物館探訪記」が上映された。レントゲン博士の生誕地であるドイツ・レムシャイト-レンネップにあるレントゲン博物館は,約15万5000点の展示品を収蔵し,医療分野だけでなくX線が科学界全体にどのように貢献しているかを紹介している。映像では,館長を務めるDr. Uwe Buschがレントゲン祭へのメッセージを述べた上で,博物館の展示についてレントゲン博士の生涯や功績とあわせて紹介した。

「レントゲン博物館探訪記」では,レントゲン博物館館長のDr. Uwe Buschが博物館を紹介

「レントゲン博物館探訪記」では,レントゲン博物館館長のDr. Uwe Buschが博物館を紹介

 

最後に記念講演会として,京都大学大学院医学研究科放射線医学講座(画像診断学・核医学)教授の中本裕士氏が「はじまりはレントゲンから」と題して講演を行った。中本氏は,はじめに放射線画像診断の歴史として,レントゲン博士によるX線の発見や島津のX線撮影装置の開発,現在までのX線装置の進化について述べた上で,PET/CTなどの登場で形態画像と代謝画像の両方の情報を容易に評価できるようになったとし,専門領域である核医学の有用性について症例を示して紹介した。さらに,これからの放射線画像診断として,新規検査薬や医療機器,ソフトウエアを用いた病態解明・創薬開発・個別化医療と,AIの活用を取り上げ,研究の最新動向を含めて解説した。治療と診断を融合したtheranosticsについては,京都大学でPET製剤([18F]FSU-880)を開発したPSMA(前立腺特異的膜抗原)や,FDG集積が低い腫瘍も描画可能で生理的集積が少ないFAPIなど,今後導入が期待される画像診断・治療について詳述した。また,高価な治療薬を効果的に投与するために,画像診断による全身評価で対象群を層別化する研究を進めていることや,医療機器の進化として島津製作所と取り組んだ乳房専用PET装置の開発についても紹介した。

中本裕士 氏(京都大学)

中本裕士 氏(京都大学)

 

なお,レントゲン祭・記念講演会は2月下旬より医療従事者向け会員制サイト「SHIMADZU MEMBERS CLUB 」にてオンデマンド配信を予定している。

 

●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.med.shimadzu.co.jp/

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