キヤノンメディカルシステムズ,「Global Standard CT Symposium 2023 Web Live Seminar」を開催

2023-8-28

キヤノンメディカルシステムズ

CT


オンライン開催された「Global Standard CT Symposium 2023 Web Live Seminar」

オンライン開催された
「Global Standard CT Symposium 2023
Web Live Seminar」

キヤノンメディカルシステムズ(株)は2023年8月19日(土),「Global Standard CT Symposium 2023 Web Live Seminar」を開催した。事前登録者数は約1300人,当日は約680人と多くの人が視聴した。なお,9月11日(月)〜10月9日(月)までは,オンデマンド配信も予定されている。

12回目となる今回は,「CT画像診断の次世代スタンダードを作る」をテーマに,2セッション・7講演が行われた。開会の挨拶で,同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,同社CT装置における今年7月時点の現況を報告。次世代のスタンダードを担うdeep learning reconstruction(DLR)「Advanced intelligent Clear IQ Engine(AiCE)」搭載装置は国内で1120台が導入され,急速に普及しているほか,deep learningを応用した超解像再構成「Precise IQ Engine(PIQE)」では,適用部位の拡大に向けた開発が進んでいると報告した。さらに,今年4月に国立がん研究センターとの特定臨床研究が開始されたフォトンカウンティングCTの開発状況などにも言及。早期実用化により画像診断技術のさらなる発展に寄与していきたいと述べた。

瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

 

セッション1「高精細イメージング・超解像ADCT」では,石川浩志氏(新潟大学大学院)が座長を務め,4名の演者が講演した。はじめに,茅野伸吾氏(東北大学病院)が,「高精細CTによる中枢神経領域の実力と臨床的エビデンス」と題して講演した。同社の高精細CT「Aquilion Precision」を用いたさまざまな検討の結果,ステント内再狭窄やクリップ周囲の血管,穿通枝などの微小血管を従来CTよりも良好に描出でき,より詳細に評価可能であることが示唆された。
梁川雅弘氏(大阪大学大学院)は,「高精細CTで読み解く肺の画像:定性解析からAIを含めた定量解析まで」と題して,肺野領域におけるAquilion Precisionの有用性を多数の論文を引用して報告した。高精細な画像が得られることで肺の微細な構造物を詳細に視認可能となるほか,さまざま計測値の正確性が向上し,定量解析における診断能の向上にも有用であると述べた。
髙橋茂清氏(中部国際医療センター)は,「循環器内科医が求める高精細・PIQEイメージング〜世界初のキヤノンADCT臨床応用からの15年間〜」と題して,Aquilion Precisionと,PIQEについて報告した。Area Detector CTの画像にPIQEを適用することで,冠動脈ステントのストラットや内腔が高精細に描出され明瞭に評価できるほか,被ばく線量や造影剤量を低減しつつさまざまな検査が可能になると述べた。
本セッションの最後は,中村優子氏(広島大学大学院)が,「究極のCT画像へ:腹部領域における超解像Deep Learning Reconstructionの可能性」と題して,DLRであるAiCEやPIQEの腹部領域における有用性を述べた。なかでも,PIQEを用いることで,従来,ノイズ低減技術が優先されてきた腹部領域においても高分解能かつ低ノイズな画像の取得が可能になるとし,腹部CTにおけるさらなる画質向上への期待を示した。

セッション1座長:石川浩志 氏(新潟大学大学院)

セッション1座長:石川浩志 氏(新潟大学大学院)

 

茅野伸吾 氏(東北大学病院)

茅野伸吾 氏(東北大学病院)

 

梁川雅弘 氏(大阪大学大学院)

梁川雅弘 氏(大阪大学大学院)

 

髙橋茂清 氏(中部国際医療センター)

髙橋茂清 氏(中部国際医療センター)

 

中村優子 氏(広島大学大学院)

中村優子 氏(広島大学大学院)

 

セッション2「次世代CTの可能性と今後」では,粟井和夫氏(広島大学大学院)が座長を務め,3名の演者が講演した。はじめに,岩澤多恵氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が,「AI技術による胸部領域の新たな画像診断」と題して報告した。PIQEを用いることで,末梢気管支や小葉内の微細な線維化の分布などが明瞭に描出できるほか,%LAAなどの定量解析においても,より正確な評価が可能となることが示された。
陣崎雅弘氏(慶應義塾大学)は,「320列立位CTによる機能性疾患の可視化〜健康長寿の時代に向けて〜」と題して講演した。立位CTの特徴として,空間分解能やノイズ特性は通常の320列CTと同等であり,撮影時間も同等であるが,設置面積が約2/3と小さく,入退室の時間が短時間ですむためワークフローに優れていることが紹介された。さらに,陣崎氏は,立位CTは脊椎すべり症や膀胱脱,鼠径ヘルニア,変形性関節症などの機能性疾患の評価や早期診断に有用であるとし,多数の症例を供覧した。
最後に,小林達伺氏(国立がん研究センター東病院)は,「国産初のフォトンカウンティング検出器搭載型X線CTの最新状況」を報告した。フォトンカウティングCTでは,高分解能化や線量効率の向上が見込まれること,また,物質弁別においては,造影剤量の低減や新しい造影剤などのアプローチが可能になることなどが期待できると述べた。その上で,臨床機での画像を多数提示し,高精細画像とスペクトラル解析が同一検査内で可能となるほか,高精細画像ではAquilion Precisionと同等の画質が得られているとまとめた。

セッション2座長:粟井和夫 氏(広島大学大学院)

セッション2座長:粟井和夫 氏(広島大学大学院)

 

岩澤多恵 氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)

岩澤多恵 氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)

 

陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)

陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)

 

小林達伺 氏(国立がん研究センター東病院)

小林達伺 氏(国立がん研究センター東病院)

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ株式会社
GSS2023事務局
E-mail:cmsc-ctei_act@medical.canon

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