フィリップス・ジャパン,Philips MR Virtual Summit2022を開催
新製品のヘリウムフリー1.5T MRI「MR5300」や最上位機種にアップグレード可能な“SmartPath to Ingenia Elition X”をアピール
2022-3-22
(株)フィリップス・ジャパンは,2022年3月にPhilips MR Virtual Summit2022を開催した。同社は,既存の3.0T MRI「Ingenia 3.0T」を3.0T最上位機種「Ingenia Elition X」にアップグレードが可能な“SmartPath to Ingenia Elition X”の提供を2021年9月に開始したほか,2022年3月1日(火)にはヘリウムフリーの新型1.5T MRI「MR5300」を発売。MR5300は,将来にわたりヘリウムフリーなMR運用を可能にし,人工知能(AI)を活用することで,患者中心の自動化されたワークフローや超高速検査,高品質の画像診断を実現する。Virtual Summitでは,10日(木),11日(金)にMR5300,17日(木),18日(金)にSmartPath to Ingenia Elition Xをテーマに,それぞれの概要や臨床的有用性の解説が行われ,Ingenia Elition Xの世界第1号機の導入事例について紹介された。
10,11日のVirtual Summitでは,「Philipsが取り組むSDGsとBlueSealマグネット」と題して,フィリップス本社MR General ManagerのArjen Radder氏が挨拶を行った後,MRビジネスマーケティングの廣瀬加世子氏がMR5300の性能について詳しく紹介した。MR5300は,2019年に発売された1.5T MRI「Ingenia Ambition 1.5T」に初搭載されたヘリウム密閉型超電導マグネット「BlueSealマグネット」を搭載。“Micro-coolingテクノロジー”により約7リットルのヘリウムで超電導状態を維持する。また,AIで管理されたクエンチマネジメント“EasySwitch Solution”により災害時や緊急時の迅速な復旧を可能にするほか,ヘリウム排出管の設置が不要でマグネット重量も3.2tに軽量化したことで,設置要件の緩和と施工コストの低減を実現した。加えて,Micro-coolingテクノロジーは傾斜磁場コイルからマグネットへの熱伝導を最小限に抑制し,高い静磁場安定性0.001ppm/hや傾斜磁場直線性1.4%を実現,最大FOV55cmにおいて歪みなく高精度なMR検査を可能にしたほか,新たに搭載された「Breeze coil」は高速化技術“Compressed SENSE”の利用も可能で,さらなる高速化や高画質化を実現する。
さらに,AIを活用した“SmartWorkflow Solution”が搭載された。ガントリ前面のタッチパネル“VitalScreen”やカメラとAI解析により正確な波形を得るタッチレス呼吸センサ“VitalEye”,シールド扉閉に連動して自動的に撮像を開始する“SmartStart”や患者ガイダンスを自動化する“AutoVoice”,スライスプランニングを自動で行うSmartExamなどの一連の機能により,検査室から操作室までのすべてのワークフローを効率化した。加えて,スライスプランの自動化やタスクガイダンスにより検査の80%を自動化し,より検査に集中できる操作環境をもたらす“MR Workspace”により高品質な診断結果を提供する。また,撮像の騒音を最大80%軽減する“ComforTone”や低反発マットレス“ComfortPlus Mattress”により患者の検査ストレスを軽減するなど,検査におけるスタッフと患者双方の快適性を追求している。廣瀬氏は,これらの性能に加え,定額でソフトウエアライセンスを使用可能なMR Subscriptionを紹介し,同社の最新MR装置をアピールした。
17,18日のVirtual Summitでは,「Elition Xアップグレードが可能とする臨床的インパクト」と題して,同社MRクリニカルサポートスペシャリストの栃本 剛氏がSmartPath to Ingenia Elition Xについて解説した。SmartPath to Ingenia Elition Xは,既存のIngenia 3.0Tをソフトウエアやコイルはそのままに,最上位機種Ingenia Elition Xへのアップグレードを行うプログラム。栃本氏は,同プログラムによるアップグレードの最大の特長として,「Vegaグラジエントシステム」の搭載を挙げた。Vegaグラジエントシステムは,新たな製造プロセスによる精密な設計で高精度なグラジエントシステムを実現。発熱や渦電流を抑制し,撮像時間の短縮や高空間分解能化,高SNRを可能にする。また,MR5300と同様にSmartWorkflow SolutionやComfortPlus Mattressも搭載され,ワークフローの効率化や患者負担の軽減を実現する。さらに栃本氏は,SmartPath to Ingenia Elition Xによるアップグレードは,Vegaグラジエントシステムによる臨床的メリットのみならず経営面でもメリットは大きいとし,「例えば,撮像の高速化により検査実施数を増やすことも可能で,新規にシステム購入を行うよりも高い投資効果が得られる」と述べた。また,Elition X 3.0Tを世界で初めて導入した医療法人幕内会山王台病院による臨床例も供覧され,同院院長の幕内幹男氏,診療放射線技師長の大津義弘氏,放射線科の野坂俊貴氏によるビデオメッセージも紹介された。
●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
ブランドコミュニケーション部
TEL 03-3740-5896
www.philips.co.jp/healthcare