インテュイティブサージカル,ロボット支援手術のスキル・治療成績向上を図る“My Intuitive”を発表
2022-3-3
ロボット支援手術の手技情報を可視化する
“My Intuitive”
「ダビンチサージカルシステム(以下,ダビンチ)」を提供するインテュイティブサージカル(同)は2022年3月2日(水),ユーザー向けのモバイルアプリケーション“My Intuitive”を発表した。ダビンチでの手術のログデータを基に手技情報を可視化することで,術者のスキルを向上させ,治療成績にも寄与する。同日には,オンラインにてメディアラウンドテーブルを設けて,報道関係者向けにMy Intuitiveをはじめとした今後の事業展開などを紹介した。
My Intuitiveは,手技に要した時間(コンソールタイム)や過去の症例履歴,使用した鉗子(インストゥルメント)とその稼働時間などの確認が可能。症例の情報・特性を編集できるほか,テキスト形式によるデータの書き出し,症例ごとのアームや鉗子のレビュー,eラーニングなどの機能を備えている。これにより,ユーザーは手技の傾向,時間を,過去のデータや他ユーザーの平均値と比較して把握できるようになる。ユーザーは,iOSまたはAndroidスマートフォンなどのモバイルデバイスにMy Intuitiveをインストールして使用する。手術時に,ダビンチからクラウド・ログインすることで手術のログデータが記録され,そのデータをMy Intuitiveで確認できるようになる。開発に当たっては,2021年9月から国内ユーザー約20名がパイロット運用を行い,改良を重ねた。なお,データはプライバシーを保護しており,執刀医の承諾を得ることなく公開・共有されることはない。
メディア・ラウンドテーブルでは,パイロット運用に参加した順天堂大学医学部呼吸器外科学講座主任教授の鈴木健司氏が,「肺がんに対するロボット支援下手術」と題して講演した。鈴木氏は,国内における肺がん死亡者数が増加し,特に非喫煙者の患者が激増している現状を説明した上で,胸部CT検診により死亡率を下げることが可能であると述べた。一方で,早期および進行肺がんにおける外科的治療は複雑化しており,術前併存症に対する安全な手術が施行されているほか,進行肺がんに対する集学的治療の有効性が示されていると解説。複雑化している手術に対しては,ダビンチが貢献できる可能性があると述べた。さらに鈴木氏は,手術が複雑化する中で,若手の呼吸器外科医の教育は重要であり,My Intuitiveは有用なツールになると期待できるとまとめた。
このほか,当日は,同社プロダクトマーケティングシニアグループマネージャーの山田朋範氏がMy Intuitiveの機能を紹介し,さらに,社長の滝沢一浩氏が今後のダビンチの展開について説明した。滝沢社長は,インテュイティブエコシステムのデジタル化を推進していくとして,My Intuitiveをはじめとしたデジタルツールを提供することで,ダビンチ手術における治療成績,ラーニング,効率化の好循環を図っていくと述べた。2012年にロボット支援手術が保険適用となって以降,適用が拡大し,術式が増えている。2022年度診療報酬改定では新たに8術式が適用,3術式で増点される予定である。今後さらに,手術支援ロボットの普及が予想されるだけに,My Intuitiveのようなスキルや治療成績向上を図る技術はますます重要になるだろう。
●問い合わせ先
インテュイティブサージカル合同会社
広報担当フィンズベリー・グラバー・ヘリング
E-mail intuitive-JP@fgh.com
https://www.intuitive.com/ja-jp