キヤノンメディカルシステムズ,RSNA2021に向け新AIブランド“Altivity”,超解像画像技術“PIQE”など新技術を発表
2021-11-26
RSNA2021に合わせて超解像画像技術
“PIQE”など新技術を発表
キヤノンメディカルシステムズは,2021年11月25日(木)に東京都大田区のキヤノン本社にて,新しい人工知能(AI)ブランド“Altivity(アルティビティ)”とCT新技術に関する報道向け発表会を開催した。11月28日(日)からシカゴで開催される北米放射線学会(RSNA)2021に合わせて発表されたもの。会見では代表取締役社長の瀧口登志夫氏が登壇し,Altivityのコンセプトやねらい,今後の展開について自ら説明を行った。
Altivityは,キヤノンメディカルシステムズのAI技術を活用した技術や取り組みを包括的に表すブランド名称である。これまで同社はAI技術を活用したソリューションとして,ディープラーニングを応用した画像再構成技術“Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)”をはじめ,読影業務の自動化を支援する“Automation Platform”などを提供してきた。Altivityは,それらを含め今後キヤノンメディカルシステムズが提供するAI技術を活用したさまざまな製品やソリューション,技術などを総称したブランド名となる。
Altivityが医療現場にもたらす価値として,キヤノンメディカルシステムズはさらなる臨床価値(Informed healthcare),経営価値(Fast, tailored care),運用の価値(Efficient workflows)の創造の3つを掲げる。これらに対して,高精細画像などで診断や治療方針決定の支援(臨床価値),迅速で正確な診断結果の提供を可能にするAIソリューションで,患者中心のオーダーメイド医療や早期退院などを支援し病院経営への貢献(経営価値),AIドリブンのワークフローでオペレーションや人材などの医療資源の最適化(運用価値)などを可能にしていく。AltivityのもとでのAI提供は,段階的な進化によるロードマップを想定している。最終的な目標はプレシジョン・メディシン(個別化医療)の提供だが,Phase1は現在で,すでにAiCEやAbierto Reading Support Solution(RSS)などの自動読影支援システムなどを提供している。次のステップ(Phase2)が,画像および非画像情報を用いた診断支援システム(Clinical Decision Support:CDS)への展開で,今後2年から5年をめどに進める。さらにその先(Phase3)は,それまでの知見を集約してAIを活用した高精度な医療(precision care)を実現すると瀧口社長は説明した。
最後に,キヤノンメディカルシステムズの事業戦略として2025年の売上高6000億円以上の目標を掲げ,その中でAltivityを含むヘルスケアIT領域の位置づけについて瀧口社長は,「画像診断領域の大きな伸びは見込めないと言われるが,ヘルスケアITはデジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革が求められる中で重要な領域でマーケット自体も拡大していく。その中で,Altivityという名称のもとにキヤノンメディカルシステムズの力を結集して先進的な製品やソリューションを提供することで,売上高に占めるヘルスケアIT領域の割合を,現在の7%から2025年には10%に拡大していく」と述べた。
また,会見ではAltivityの基で展開されるAI技術の第1弾として,320列Area Detector CT「Aquilion ONE / PRISM Edition」に新たに搭載されるディープラーニングを応用した超解像画像再構成技術“Precise IQ Engine:PIQE(ピーク)”についても発表された。PIQEは,超解像(Super Resolution)を用いて構成したdeep convolutional neural network(DCNN)による画像再構成によって従来のADCTの画像の高分解能化を図る技術である。
超解像は,入力信号の解像度を高めて出力する技術で,画像復元技術,分解能向上技術などとも呼ばれ,TVやカメラ,顕微鏡などの映像や画像のほか,音声,電波,センシングなどで広く技術が使われている。超解像技術では,ハードウエアや伝送レート,取得環境などの問題で期待した解像度を得られなかった場合(劣化)に,その劣化した過程を推定し,逆推定することで分解能を復元する。PIQEでは,従来のADCTで撮影された画像を復元するためにAquilion Precisionの高精細画像を使用する。0.25mm,1792chのSuper High Resolution(SHR)の画像と,FIRSTやAiCEで培ったModel-based High quality再構成を使用し,SHRの投影データからNormal Resolution(0.5mm,896ch)の画像を生成するDCNNを構築した。これをADCTに搭載することで,超解像技術による高精細ONE Volume心臓撮影が可能になった。
なお,キヤノンメディカルシステムズではRSNA2021のVirtual Museumを11月28日(日)からオープンするほか,29日(月)には,今回発表されたAIブランドのAltivityの展開やPIQEをはじめとする各モダリティの最新情報を提供するWebセミナー「Made Possible. Online Seminar」の開催を予定している。
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