技術革新とともに可能性が広がるオンライン診療
——主要サービス事業者3社が参加しパネルディスカッションを開催
2019-10-10
「進化する『オンライン診療』」をテーマに主要3社が登場
「技術革新によって,今後オンライン診療はさらに発展する」——2019年10月9日(水)〜11日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「クロスヘルスEXPO」〔主催:(株)日経BP〕の9日のシアターセッション「進化する『オンライン診療』」で,パネリストからは力強いメッセージが発せられた。
この「進化する『オンライン診療』」では,2018年度診療報酬改定で本格的にスタートしたオンライン診療が今後どのように進化していくかが,テーマとなった。2019年7月に改訂された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」や2020年度の診療報酬改定に向けた動向を踏まえて,オンライン診療サービスを提供する主要3社の代表者が,自社の事業展開などをプレゼンテーションした。モデレータは,厚生労働省医政局総務課保健医療技術調整官の堀岡伸彦氏が務めた。
まず,堀岡氏が,オンライン診療解禁の経緯や医師法第20条との関係などを概説した上で,指針の改訂版の説明を行った。堀岡氏は,改訂版について,オンライン診療やオンライン受診勧奨を対象としており,遠隔健康医療相談は対象としていないと述べた。さらに,改訂内容として,(1)医師の急病などにより継続診療が困難な場合に,二次医療圏内の別の医師が初診から可能,(2)1名の医師が診療を行う必要性が低い場合は複数医師で可能,(3)緊急避妊薬のオンライン処方が可能,などを挙げた。堀岡氏は,最後に今後のオンライン診療について,技術進歩による遠隔手術に期待を示した。
次いで,プレゼンテーションを行った(株)インテグリティ・ヘルスケア代表取締役社長の園田 愛氏は,オンライン疾病管理システム「YaDoc」を紹介した。YaDocはモニタリング,問診,診察機能を持ち,電子カルテともシームレスに連携。約2000施設の導入実績がある。園田氏はこれらを説明した上で,今後のオンライン診療について,診療のプロセスのICT化だけでなく,データを利活用できるようにすることが重要だと述べた。
続いて発表した(株)MICINの代表取締役CEO/医師の原 聖吾氏は,オンライン診療サービス「curon」について説明した。curonを利用する患者は都市部に多く,20〜50歳代が中心となっている。患者のメリットとして,物理的・心理的な通院の負担を軽減できるほか,治療の継続性も向上しているという。さらに,医師のメリットとして,血圧計などのデバイスと連携し患者が計測したデータを容易に共有することなどが挙げられる。このような特長から診療所以外の導入施設も拡大しており,聖マリアンナ医科大学病院,がん研究会有明病院などが採用している。
最後に,(株)メドレー執行役員/医師CLINICS事業部事業部長/医師の島 佑介氏が発表した。同社が展開する「CLINICS」は,オンライン診療,カルテ,予約の機能を提供している。島氏は,これらが連携することで予約から会計までが一気通貫のサービスとして利用できると紹介。受付の時間短縮や会計の待ち時間減少,患者との情報共有などのメリットを説明した。これまでに5万回の利用実績があるという。島氏は,これらのサービスにより医療機関に集積された情報を効率良く患者に還元し,通院負担軽減と治療継続率の向上をめざすと述べた。
この後,ディスカッションが行われ,オンライン診療普及に向けた課題や診療報酬での評価について意見が交換された。最後に,堀岡氏が規制が技術進歩の足を引っ張らないようにすることがオンライン診療の発展には大事だとまとめ,セッションは盛況のうちに幕を閉じた。
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●問い合わせ先
株式会社日経BP
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