左から伊藤　毅氏（Beyond Next Ventures），
本田泰教氏（OPExPARK），永井立美氏（デンソー）

Beyond Next Ventures（株）と（株）デンソーは，2019年9月5日（木）にベルサール東京日本橋（東京都中央区）にてメディア向け発表会を行い，デンソーが開発した情報プラットフォーム「OPeLiNK」の技術を活用した事業を展開する新会社「（株）OPExPARK（オペパーク）」の設立を発表した。OPExPARKは，OPeLiNKを活用した手術機器情報統合システムの開発・販売と，同システムで得られたデータを基に，手術を学べる教育コンテンツを制作・配信するサービスに取り組み，10月1日から事業を開始する。

OPeLiNKは，工場内のIoTミドルウエア技術「ORiN」を応用し，手術室のさまざまな医療機器の情報を，時間同期して統合・表示するプラットフォームで，国立研究開発法人日本医療研究開発機構（AMED）支援のもと，東京女子医科大学が中心となって推進するプロジェクト・スマート治療室「SCOT」の核となる技術である。デンソーは今回，OPeLiNKの早期事業化・社会実装のため，OPeLiNK事業を切り離すカーブアウトの手法をとり，Beyond Next VenturesのイニシアチブでOPExPARKの設立に至った。
Beyond Next Venturesは，医療・ヘルスケア分野を中心とした技術系スタートアップに対して起業支援を行うベンチャーキャピタルで，CYBERDYN（株）をはじめとした多くの大学発ベンチャーへの投資・支援実績や，医療・ライフサイエンス分野に強い社内外専門チーム，経営人材プールを有するといった強みを持つ。同社は，大学などの技術シーズに対し，事業化に向けた戦略・計画の作成支援から経営チームのマッチング，資金とネットワークの獲得機会の提供を行うアクセラレーションプログラムを提供しており，OPExPARKはそのプログラムを活用した初のカーブアウトベンチャーとして創業する。

発表会では，デンソー社会ソリューション事業推進部部長の永井立美氏，Beyond Next Ventures代表取締役社長の伊藤　毅氏，OPExPARK代表取締役社長の本田泰教氏が登壇した。
OPExPARKの本田氏は消化器内科医で，ヘルスケア分野中心にコンサルタントとしても活動している。本田氏は，同社のミッションは「医師の『判断』を視える化し，どこでも最善の医療を享受できる世界の実現に貢献する」ことであると述べ，手術中のリアルな意思決定プロセスを見える化，共有することで，手術の質向上と世界の医師の人材育成に貢献することをめざす事業の概要を説明した。OPeLiNKを活用したシステムにより，手術中の振り返りや遠隔支援，手術前後の予習・復習で手術の質向上が期待できるとともに，医療訴訟における証拠資料としても利用できるとしている。本田氏は，手術は経験値によるところが大きく，学ぶ機会が限られる現状に対して，術者の戦略や経験を網羅的に学ぶことができるシステム・教育コンテンツで挑戦していくと述べ，脳神経外科だけでなく他科の手術やICUへも展開し，トータルソリューションとして医療に貢献したいと抱負を述べた。

永井立美 氏 （デンソー）

伊藤　毅 氏 （Beyond Next Ventures）

本田泰教 氏 （OPExPARK）

OPExPARKの事業概要

関係者によるフォトセッション