シーメンスヘルスケアが徳洲会と画像診断支援AIの共同研究などに関するパートナーシップを締結
2019-2-12
今回のパートナーシップの取り組みを,
将来は徳洲会グループのほかの病院への展開をめざす。
徳洲会理事長の鈴木隆夫氏(右)と
シーメンスの代表取締役社長の森 秀顕氏(左)
シーメンスヘルスケア(株)は,一般社団法人徳洲会と人工知能(AI)の共同研究や検体検査の完全自動化,人材最適化に向けた超音波研修プログラムに関するパートナーシップを締結した。2019年2月5日(火)に徳洲会東京本部(東京都千代田区)で開催した共同記者発表会でその内容を発表した。
今回のパートナーシップでは,(1)AI共同研究,(2)検体検査の完全自動化,(3)超音波画像診断機器のトレーニングを行うUSアカデミーの開設を通じて,ワークフローの改善を図り,地域医療の発展をめざす。まずは徳洲会グループの旗艦病院である湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)を拠点として,AIコラボレーションセンターの開設や先端的な臨床検査および搬送システムの導入による国内初の検体検査工程の完全自動化,超音波装置に関する臨床検査技師への専門的トレーニングの提供を開始し,将来は離島やへき地への拡大も視野に入れている。
このうちAI共同研究では,CT検査の約25%を占める胸部CT画像診断支援から実用化をめざす。共同研究に用いるソフトウエアは,RSNA 2018で発表された“AI Rad Companion”(薬機法未承認)。同院の日本人データを基に検証を行い,いずれは他臓器のCT検査やPET検査などへの適応拡大もめざす。
AI共同研究は,湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市)内に設立予定のAIコラボレーションセンターで,2月から開始される。研究に使用する医用画像データは,徳洲会グループの情報システム運営・管理を行う徳洲会インフォメーションシステム(株)(TIS)が取り扱う。TISは,徳洲会グループ内の全カルテを一元化し,全病院のネットワーク接続や情報の一元管理,保管を行うシステムを構築している。将来的には,TISに集約した医用画像データを匿名化した上で同センターのAIソフトウエアで診断し,その結果を医師に提供するデータフローを構想している。
なお,今回のパートナーシップ期間は3年間で,現在掲げているテーマを今後1年間で達成し,その時点で次のテーマを検討する予定である。
記者発表会では,まず,徳洲会理事長の鈴木隆夫氏が徳洲会グループについて紹介。「生命だけは平等だ」の理念の下,全国で約340の医療・介護・福祉施設を展開し,NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)が国内外で災害支援活動に取り組んでいることなどが紹介された。次いでシーメンスヘルスケア/シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(株)の代表取締役社長の森 秀顕氏がシーメンスについて紹介した後,医療の偏在化や働き方改革に伴う労働力の減少,医療費削減への要請といった課題が山積する中,同社が提供する医療デジタル化などが,徳洲会グループの理念に貢献できるとの相互理解を得て,今回のパートナーシップを結ぶに至ったと述べた。
このほか,本パートナーシップの概要についてシーメンス常務執行役員/営業本部管掌の内藤彰彦氏が,AIコラボレーションセンターについてTIS代表取締役社長の尾﨑勝彦氏が解説を行った。
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また,AI共同研究を担当する湘南鎌倉総合病院放射線科統括部長の李 進氏は,パートナーシップによりめざす医療サービスについて語った。同科では,検査件数や1検査あたりの撮影画像数が急激に増加し,画像診断医の負担増や診断の質の低下,ひいては医療の質の低下につながることが懸念されている。李氏は,その解決策の一つとしてAIを挙げ,シーメンスとのAI共同研究に期待を示した。さらに,李氏は,超音波検査領域でも,検体検査工程の自動化やUSアカデミーでの人材育成によって人手不足解消を図り,今回の提携で,医療業務のワークフロー改善と質の高い医療サービスの提供を実現したいと述べた。
最後に,徳洲会副理事長の東上震一氏が挨拶に立ち,両者の技術とデータを用いて,臨床現場で活用できるAIアルゴリズムを作り上げたいと改めて表明,記者発表会を締めくくった。
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●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
TEL 0120-041-387
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