基礎と実践から学ぶ『呼吸器画像診断の会』が,第1回セミナーを開催
2018-12-14
入門者からエキスパートまで約170名が参加
基礎と実践から学ぶ『呼吸器画像診断の会』は2018年12月8日(土),東医健保会館(東京都新宿区)において,第1回セミナーを開催した。同会は,呼吸器疾患の診断から治療まで重要な役割を担う画像診断のノウハウを学ぶことを目的に,2018年に設立された。呼吸器画像診断について,入門者からエキスパートまでが,画像診断学,病理学,内科学などの多角的な視点で論理的,実践的に学ぶための機会として,年1回のペースでセミナーを開催することとしている。なお,代表世話人は,黒﨑敦子氏(公益財団法人結核予防会複十字病院放射線診断科部長)が務める。
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第1回セミナーでは,画像診断講座が5講座,病理診断講座が1講座,読影講座,コニカミノルタ(株)共催のランチョンセミナーといったプログラムが用意された。また,セミナー会場の外では,PSP(株)が画像ビューワを提供して,症例ビューイングタイムが設けられた。
開会式に続いて,黒﨑氏が講師を務め,画像診断講座1「肺結節性病変の画像診断」が行われた。本講座では,high resolution CT(HRCT)による肺結節の質的診断における大きさや辺縁部・内部の性状,周辺構造との関係,経時的変化といった診断のポイントなどの解説が,症例画像や病理像を提示しながら進められた。続く,画像診断講座2では,栗原泰之氏(聖路加国際病院放射線科部長)が,「びまん性肺疾患の画像診断」をテーマに診断のノウハウを説明した。栗原氏は,診断のための戦略として,(1)読影が難しい画像でも疾患の基本的な画像特徴を押さえて診断を行うこと,(2)疾患ごとの病変分布の特徴を知ること,(3)診断につながる画像所見を多く知っておくこと,(4)臨床情報を可能なかぎり活用すること,の4つを挙げて,症例画像を示しながら講座を進めた。
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また,午後から行われた画像診断講座3では,田中良明氏〔公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター(呼吸器内科)〕が,「呼吸器画像診断と内科的知識」をテーマに講義した。田中氏は,呼吸器疾患について,疾患別に病期,重症度,診断基準,画像所見の特徴などを解説するとともに,画像診断の位置づけ,役割を解説した。さらに,画像診断講座4では,「気道疾患の画像診断:気管支拡張をきたす疾患の臨床と画像」をテーマに,森本耕三氏〔公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター(呼吸器内科)〕が,疾患の特徴や診断基準,画像所見の特徴を説明した。引き続き行われた画像診断講座5「肺の血流と画像」では,竹内 均氏(公益財団法人結核予防会複十字病院放射線診断科)が,肺血栓塞栓症や心原性肺水腫,薬剤性間質性肺炎,気管支拡張症,特発性喀血などの症例画像を提示して,診断のテクニックを講義した。
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一方,病理診断講座では,武村民子氏(日本赤十字社医療センター病理部)が「びまん性肺疾患の病理の基本的な知識—肺の基本構造からみたびまん性肺疾患の病理像—」と題して,小葉などの肺の構造を概説した上で,間質性肺炎,特発性肺線維症,通常型間質性肺炎といった疾患ごとに病理像を示し,画像所見の特徴を解説した。
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画像診断講座と病理診断講座の後には読影講座が行われ,症例ビューイングタイムで提示された4症例の解説が行われた。黒﨑氏が肺結節(孤立性)と肺結節(多発性),田中氏がびまん性肺疾患2症例を担当して,読影のコツを説明した。
このほか,ランチョンセミナーでは,黒﨑氏が座長を務め,コニカミノルタが11月19日に発表したX線動画解析ワークステーション「KINOSIS」に関して,2題の講演が行われた。まず,工藤翔二氏(公益財団法人結核予防会理事長/日本医科大学名誉教授)が登壇し,「呼吸器画像診断の常識を変えるX線動態画像——形態を写す静止画像と生理学を反映する動的画像」と題して講演した。工藤氏は,X線動態撮影技術によって立位で換気分布と血流分布の情報を得られ,慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった疾患の診断への適応が期待されると述べた。また,山田祥岳氏〔慶應義塾大学医学部放射線科学教室(診断)〕は,「単純X線撮影で実現する胸部動態解析技術」をテーマに講演。COPD症例と正常例における呼吸動態解析の比較を示し,X線動態撮影技術の臨床的有用性に言及した。
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当日は,放射線科医や呼吸器内科医など約170名が参加。盛況のうちに閉会した。なお,第2回セミナーは,2019年11月16日(土)に,東医健保会館での開催を予定している。
●問い合わせ先
基礎と実践から学ぶ『呼吸器画像診断の会』
http://rdi.umin.jp/