日本医療機器産業連合会(医機連)が「医機連産業ビジョン」記者会見と講演会を開催
2018-11-7
記者会見風景
一般社団法人日本医療機器産業連合会(医機連)は2018年10月26日(金),KKRホテル東京(東京都千代田区)において,「医機連産業ビジョン 記者会見」および「2018年度 第2回 医機連講演会」を開催した。初めに行われた記者会見では,医機連会長の渡部眞也氏が,今年10月に新たに策定された「医機連 産業ビジョン2018 ―Society 5.0を支える医療機器産業をめざして―」(産業ビジョン2018)の策定の経緯とポイントを概説した。
政府の成長戦略の柱の一つとして位置づけられている医療機器産業について,厚生労働省(厚労省)は2003年に,中長期的な将来像を示すビジョンを策定し,以後5年ごとに見直しを行ってきた。2013年には「医療機器産業ビジョン2013」が策定され,これに呼応する形で医機連も同年に「医機連 産業ビジョン―医療機器産業の持続的な成長と発展を目指して―」を策定し,現在に至るまでこれに沿った活動が続けられている。一方,この5年間で医療を取り巻く環境が大きく変化していることから,渡部会長は,厚労省による新たなビジョンの策定を待たずに,医療機器産業界として主体的に産業ビジョン2018を策定したと説明した。
また,渡部会長は,医療機器にかかわるステークホルダーがめざすべき姿とは「世界の人々の健康増進と医療水準の向上が実現されている世界」であると強調。その実現のためには,「Society 5.0を支える医療機器産業をめざす」とともに,ITベンダーやベンチャー企業などを含めたオールジャパンとして取り組んでいくことが重要であると述べた。取り組みの具体的なテーマとして,産業ビジョン2018では,(1) イノベーションの加速に向けた環境の整備,(2) 医療機器の安全管理・安定供給・安定稼働・トレーサビリティの強化,(3) データ利活用とサイバーセキュリティ強化の推進,(4) 日本発の医療機器・技術のグローバル化を通じた医療機器産業の発展,(5) 診断・治療に加え,予防・介護分野へのニーズ拡大への対応,(6) 医療機器産業を支える人材育成・獲得の6つが挙げられている。渡部会長は,これらを実現するための取り組みを「医機連重点テーマ」と位置づけているとし,AI・IoT・ロボティクスなど新技術を用いた優れた医療機器の開発加速や,さまざまな政策提言,企業の海外進出への貢献,予防・介護分野等のアカデミアや業界団体との連携などを行っていくと述べた。
最後に,渡部会長は,医機連重点テーマを進めていくための今後の取り組みとして,幅広い外部有識者が参加し各テーマについて議論するとともに司令塔の役割を果たす「医機連みらい戦略会議(仮称)」を2019年4月に発足すると発表した。また,同時期に「医機連産業ビジョン2018」シンポジウムを開催し,情報発信および意見収集を行っていきたいと述べた。
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記者会見に続き,会場を移して行われた医機連講演会では,3名の演者が登壇した。初めに,ふくしま医療機器開発支援センター センター長の滝澤眞己氏が,「ふくしま医療機器開発支援センターの近況報告」と題し,2016年11月に開所した同センターの設備や,医療従事者向けのトレーニングの実際などを紹介。続いて,経済産業省商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室 室長補佐の桂井直子氏が,「経済産業省における医療機器・ヘルスケア産業政策について」と題し,医療機器産業の動向と今後の施策などについて詳述した。最後に,東京女子医科大学国際環境・熱帯医学講座教授/講座主任の杉下智彦氏が,「21世紀のグローバルヘルス:持続可能な社会(SDGs)のためにできること」と題し,健康産業への関心がかつてないほどに高まっているアフリカの医療の現状などを例に挙げて,21世紀に世界で求められる医療のあり方について考察した。
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