がん対策推進企業アクションが「がん検診受診率向上推進全国大会」を開催
中川恵一氏(東京大学)が講演
2018-8-28
「オトナのがん教育」講演風景
2018年8月26日(日),イーアス高尾そよかぜ広場(東京都八王子市)にて,厚生労働省とがん対策推進企業アクション主催の「平成30年度がん検診受診率向上推進全国大会」が開催された。がん検診受診率向上推進全国大会は,毎年10月に実施している「がん検診の受診率向上に向けた集中キャンペーン」月間に先駆け,がんに対する関心と正しい知識を深め,がん検診の必要性の認知と受診率向上につなげることを目的として開催されている。
まずはじめに,厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長の佐々木昌弘氏が挨拶を行い,検診をはじめとするがんの早期発見と予防の必要性を語り,がん検診の受診の重要性を訴えた。
次に,八王子市医療保険部成人健診課課長の大山 崇氏と主査の新藤 健氏が,八王子市におけるがん検診の取り組みを紹介した。八王子市は,がん検診における精検受診率が全国と比較して非常に高いことで評価されており,マーケティング手法を活用した受診推奨資材の活用など,がん検診受診率向上の取り組みが行われている。今回は,これまでの取り組みに加え,早期大腸がん発見のため新たに導入が予定されている成果報酬型官民連携モデルの説明があった。
続いて,同アクションのアドバイザリー議長で東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏による「オトナのがん教育」と題した講演が行われた。がんは少しの知識と行動でコントロールすることができ,学校の教育の一環としてもがん教育が導入されはじめている。一方,すでに学校教育が終わった大人はがん教育を受ける機会がなく,がんの知識がほとんどないまま,がんと向き合わなくてはならないという現状がある。本講演は,そのような大人にがんについて最低限知っておくべき知識を提供する場として企画された。中川氏は,がん治療は敗者復活戦のない一発勝負であるが,不治の病などではなく,全体で65%,早期で95%が治療可能であり,最低限の知識を得てがんに備えるだけで十分に予防・対処できることを強調した。また,罹患した場合でも,入院が必要で侵襲性の高い手術という選択肢だけでなく,通院かつ侵襲性の低い放射線治療などの治療法があることを知ることで,自分の生活スタイルに合わせた,より適切で無理のない治療方法を選択できると述べた。
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この後,同会場の隣のブースで開催されていたアフラック生命保険株式会社主催の「なるほどなっとく がんを知る教室」にて,中川氏による「特別授業 Dr.中川の,これだけは知っておきたいがんのこと」が行われた。「なるほどなっとく がんを知る教室」は,前身であるがんの最新情報がわかる展示会「がんを知る展」が,がん対策推進企業アクションが創設した「がん対策推進パートナー賞」を受賞しており,2018年より名称を新たに,小学校の教室で学んでいるような空間でがんについての展示を行っている。特別授業では,中川氏が子どもでもわかりやすいように,国語,算数,理科,社会,保健体育の授業形式で,さまざまな観点からがんについての講義を行った。
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※「がん対策推進企業アクション」は2009年に厚生労働省の委託事業として発足。国民のがん検診受診率を50%に引き上げることをめざしています。
●問い合わせ先
がん対策推進企業アクション事務局
TEL 03-6441-6574
http://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/