NTTドコモが「高齢社会のまちづくりセミナー」を開催
2018-5-31
高齢社会のまちづくりをテーマに約100名が参加
(株)NTTドコモは2018年5月16日(水),東京コンファレンスセンター品川(東京都品川区)において,「高齢社会のまちづくりセミナー」を開催した。このセミナーでは,超高齢社会が進展する中,政府,行政の施策を概観した上で,自治体や企業,地域コミュニティが連携し,ICTを活用して高齢者の自立支援や介護などに取り組んでいる事例を紹介した。開会に当たり挨拶した同社取締役常務執行役員法人ビジネス本部本部長の古川浩司氏は,中期戦略2020「beyond宣言」を紹介し,5G通信を核とした施策について説明。社会課題を解決し,日本の成長と豊かな社会の実現に向けて,医療・介護といったヘルスケア分野などにソリューションを提供していくと述べた。
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この挨拶に続き,基調講演が行われた。東京大学高齢社会総合研究機構客員研究員の木村清一氏が登壇し,「超高齢社会のまちづくりの実現に向けて〜柏プロジェクトを通して〜」をテーマに講演した。首都のベッドタウンである千葉県柏市は,全国平均を上回る病床利用率を有するなど,超高齢社会が進んでおり,それに対応したまちづくりが求められていた。そこで,柏市,UR都市機構,東京大学が協力し,2009年から「地域包括ケアシステムづくり」と「高齢者の生きがい就労の実現」に向けた取り組みを開始した。在宅医療を推進するシステムの構築や,24時間の訪問看護体制の整備を行ったほか,高齢者向けの就労セミナーなどを開催して自立支援を行っている。さらに,今後はフレイルチェックの普及や生活支援の仕組みづくりにも取り組むこととしている。木村氏はこれらを説明した上で,まちづくりのための合意形成や体制づくりについても言及した。
次いで登壇した医療経済研究機構研究部主任研究員兼研究総務部次長の服部真治氏は,「総合事業の本格始動とこれからのまちづくり」と題して講演した。服部氏は,従来の高齢者支援では医療・介護の専門職がサービスを提供していたが,今後はスーパーマーケットやコンビニエンスストア,タクシー会社,宅配便会社など,地域全体で高齢者を支えていくことになると述べた。さらに,高齢者自身が「したいこと」を「なじみの」環境で続けられて,主体的に生活できるよう支援することが自立支援であると説明した。さらに,服部氏は,高齢者の積極的な社会参加が介護予防につながるとし,山口県防府市の「幸せます健康クラブ」といった事例を紹介した。
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休憩を挟み,地域におけるまちづくりの具体的事例が紹介された。まず,「和光市における地域包括ケアの取組み」と題して,和光市保健福祉部地域包括ケア課課長の阿部 剛氏,(株)ダスキン訪販グループ戦略本部事業開発部ライフケア開発PJ副参事の中西利彦氏が講演した。埼玉県和光市では,ダスキンと連携し,2016年から「わこう暮らしの生き活きサービスプラザ」を展開している。講演では,自治体と企業が連携し,医療・介護だけでなく,日常生活をサポートすることで在宅高齢者の自立支援を行う方策が紹介された。
続いて,多摩市企画政策部企画課課長の田島 元氏とヤマトホールディングス(株)顧問の西澤侑希氏が,「生活者がイキイキと暮らしを続けられる地域づくり『ネコサポ』〜多摩ニュータウンにおける公民連携の生活支援の取組み」をテーマに講演した。多摩市では,2015年度から国土交通省のモデル事業として,2年間にわたり,UR都市機構,京王電鉄(株),ヤマト運輸(株)と連携した地域支援施策に取り組んだ。その一環として,2016年にUR都市機構の団地内にネコサポステーションを開設し,高齢者や子育て層向けに「くらしのネコの手サポート・ネコサポ」を開始。コミュニティづくりのほか,家事代行,送迎,買い物支援などのサービスを提供した。この成果を生かし,「よりくらしやすい地域づくりコンソーシアム」を構成し,サービスの充実化をめざすことにしているという。
3番目には,大町市民生部福祉課地域包括支援センター所長(係長)の荒井賢治氏と北アルプス広域連合介護福祉課介護保険係係長の大塚裕明氏が,「共有価値の創造からはじめる地域包括ケアと,大町市の『今すべきこと』『今後なすべきこと』〜市町村連携と生活支援体制構築の取組み〜」をテーマに講演した。大町市は2017年からNTTドコモの支援を受け,高齢者向けタブレット提供による生活支援や,コンビニエンスストアと連携した高齢者の見守りを行ってきた。講演では,介護を担う人材が不足している状況を踏まえ,近隣の自治体と連携して,サービス人材養成講座などを開催し,高齢者の自立を支援しているといった取り組みが紹介された。
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この後,「高齢者にやさしいまちづくりをめざして」と題し,NTTドコモ地域協創・ICT推進室第一・第三担当課長の田嶋身友希氏が同社のソリューションとして,歩行によりポイントが蓄積される「健康マイレージ」やウエアラブルデバイスにより自立支援を行う「モフバンド」「モフトレ」の説明を行った。
セミナーの最後には,NTTドコモ法人ビジネス本部第一法人営業部部長の齋藤 武氏が挨拶に立ち,高齢社会のまちづくりに向けてICTで支援していくという同社の姿勢をPRした。
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●問い合わせ先
(株)NTTドコモ
高齢社会のまちづくりセミナー事務局
d-seminar2018-ml@nttdocomo.com