CareTEX 2018(2)—見守りシステム編:センサーとネットワークを活用して介護業務の負担を軽減
2018-3-26
音響センシングによる見守りサービスを
紹介した富士通ブース
2018年度の介護報酬改定では,介護業務の効率化や介護者の負担軽減を図るため,“介護ロボットの活用の推進”として見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算の要件が緩和されるなど,ロボットやICTの利用促進の方向が示されている。
2018年3月14日(水)〜16日(金)に開催されたCareTEX 2018(東京ケアウィーク2018)でも,「第1回見守りシステム東京」「第1回次世代介護テクノロジー展」「第1回超高齢社会のまちづくり展」などが併催され,介護ロボットやICTを利用した見守りシステムやサービスが多数出展された。さまざまなセンサーを活用して利用者の状態(ベッド上での状態や徘徊など)を把握して介護者の業務負担や心理的な負担を軽減するシステムがメインだが,睡眠の質をモニターすることで健康状態のアセスメントを行うものや,排泄の予測を行うことで利用者,介護者双方をサポートする製品など多種多様なシステムやソリューションが出展された。
静岡県沼津市のベンチャー企業である(株)iSEED(見守りシステムに出展)は,インターネットやWi-Fiなどのネットワークとカメラを内蔵したロボットを組み合わせて,居宅や施設での見守りが可能なシステムを展示した。居宅向けとしては,スマートフォンへの通知や操作を可能にした「パルモケアシステム」,事業者向けにはWi-Fiやスマートフォンなどを組み合わせて,より安価にナースコールシステムを構築できる「パルモコール」などを紹介した。
ASD(株)は,ベッドのマットレスの下に装着する見守りセンサー(エアバックセンサー)で睡眠状態や室温などの環境情報をモニタリングする介護施設向け見守システム「まもる〜の」を展示した。ワイヤレスで35人まで一括見守りが可能で,セントラルモニタでの見やすい表示が特徴となっている。また,離床センサーや徘徊検知,排泄センサーなどをトータルにモニターできる「まもる〜の ecoシリーズ」(近日発売)についてもアピールした。
(株)エコナビスタは,大阪市立大学医学部発のベンチャー企業で同大学疲労医学講座と共同開発した健康見守りサービス「ライフリズムナビ+Dr.」を展示した。ライフリズムナビ+Dr.は,疲労医学講座教授で同社の取締役会長も務める梶本修身氏の研究成果を基に製品化したもので,離床判定や睡眠時の状態をモニターするセンサーマット,温湿度センサー,人感センサーなどからの情報をクラウドを通じて統合的に管理して介護者の負担を軽減する。また,収集したデータを基に専門クリニックの「東京疲労・睡眠クリニック」が“健康レポート”を送信するサービスが提供できることも特徴だ。
「次世代介護テクノロジー展」に出展したリコージャパン/リコー/ミネベアミツミは,ミネベアミツミのセンサーを利用した次世代型見守りシステム「ベッドセンサーシステム」(参考出展)を展示した。ミネベアミツミのセンサーモジュールを利用して収集された体重,体動,呼吸や離床などのデータを集中管理することで,利用者の状態の把握や健康支援,職員の心理的負担や業務の効率化を図る。同ブースでは,医療機器のデータ連携も可能な「オンライン診療システム」(参考出展),装着型介護ロボット「HAL」なども展示した。
フランスベッド(株)は,ベッドにセンサーを内蔵した見守りロボット「見守りケアシステム M-2」を展示した。ベッドに内蔵した4つのセンサーで体動や離床など動作を検知し,ナースコールなどへ通知する。通知モードは,「動き出し」「起き上がり」「端座位」「離床」「離床管理」から選択できる。そのほか,体重測定や自動見守り再開などの機能を搭載する。
また,(株)平和テクノシステムはフランスベッドの見守りケアシステム M-2と連携するナースコールシステム「Yuiコール」をブースで紹介した。電話や施設内の通話(PHS)などの機能を一体化することでナースコールの導入コストを削減できることが特徴だ。
富士通(株)は「超高齢社会のまちづくり展」に出展し,「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE 居住者の見守りソリューション」などを展示し,居宅や介護施設での見守りソリューションを提案した。居住者の見守りソリューションは,音響センサーを搭載した「リモートケアベース」を利用して,室内の生活音をセンシングして解析し,家族や介護スタッフへの通知を行うサービス。同社のコールセンター(富士通ソーシャルライフシステムズ)を利用した居宅向け向けのほか,介護施設向けの「リモートモニタリングサービス」も2018年1月から提供を開始している。
トリプル・ダブリュー・ジャパン(株)は,「次世代介護テクノロジー展」に排泄予測デバイス「DFree」を出展した。DFreeは,超音波を利用して膀胱の膨らみをセンシングし,クラウド上で独自のアルゴリズムによって解析を行うことで排尿のタイミングをスマートフォンに通知するシステム。適切なタイミングでトイレ誘導を行うことで自立支援や介護者の負担を軽減できる。個々の排泄のタイミングを通知する「排泄予測」プランに加えて,排泄状況のアセスメントや支援計画の作成をサポートする「排泄自立支援」プランを2018年4月から提供する予定だ。