大幸薬品,液体カプセルを採用した正露丸の新製品「正露丸クイックC」を発表
2017-3-21
51年ぶりの新製品を手に持つ柴田社長(右)と
佐藤由佳氏(左)(マーケティング部)
大幸薬品(株)は,51年ぶりとなる同社製の止瀉薬「正露丸」シリーズの新製品「正露丸クイックC」を2017年4月3日に発売するが,それに先立ち3月15日(水)にプレス向けの発表会を東京コンファレンスセンター品川にて行った。
正露丸クイックCは,正露丸の主成分である“木クレオソート”を使用した単味生薬製剤で,止瀉薬に求められる“即効性”と“安心・安全”を両立するため,液体カプセルを採用したことがポイントである。
会見の冒頭,挨拶に立った代表取締役の柴田高社長は,「木クレオソートを使った正露丸は止瀉薬として古くから愛用されてきた製品だが,若い世代を含めより多くの人たちにチャレンジしてもらえるよう,液体カプセル型の新製品開発を行った」と新製品の狙いを述べた。
木クレオソートは,ブナや松などの原木を乾留して得られる木タールを精製した液体で,食品の防腐剤などにも使われていた成分であり,正露丸の主成分として前身である“忠勇正露丸”の時代から使用されてきた。
木クレオソートは,成分が胃で血中に吸収されるため,大腸の動きに作用することなく蠕動運動のみを素早く抑えることが可能で,塩素イオンチャンネルの阻害により腸内の過剰な水分分泌を抑制し,熱中症などによる脱水症状の緩和にも効果が得られる。また,胃アニサキス症にも作用することが確認されている。
国内では1980年に化学医薬品の止瀉薬として分類されたが,大幸薬品では植物由来の安全な成分であるとして“生薬等”としての分類を主張し,医師免許を持つ柴田社長自ら,木クレオソートの薬効と安全性を証明するため多くの研究プロジェクトを主導してきた。その結果,2016年に木クレオソートは“生薬等”に正式分類され,今回の正露丸クイックCの単味生薬製剤としての発売につながった。柴田社長は「木クレオソートは,下痢など大腸の慢性疾患だけでなく,さまざまな可能性が報告されており,安全性の高い止瀉薬として期待が大きい」と述べた。
一方で,同社によれば,従来の化学薬品の分類では,高齢者が担当医師からほかの薬剤との併用を止められることが多く,このままではマーケットの縮小が懸念されていたという。そこで,木クレオソートの生薬としての承認と同時に,新しいターゲットとして若年層向けのニーズを満たせるよう液体カプセルタイプの開発を進めた。液体カプセルは,従来の正露丸独特の臭いや,木クレオソートの刺激性を抑えながら胃で素早く溶け出すよう改良を重ねた。これによって,服薬から約6分で内容物が放出される。また,正露丸では初となる英字のロゴをパッケージデザインに採用するなど,従来製品のイメージからの一新が図られている。正露丸クイックCは,2017年4月3日より国内の主要量販店にて販売される予定だ。
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