日立製作所が「日立ヘルスケアの日 IN TOKYO 2016」を開催
2016-11-22
「日立ヘルスケアの日 IN TOKYO 2016」受付
(株)日立製作所は2016年11月19日(土),上野イーストタワー(東京都台東区)にて「日立ヘルスケアの日 IN TOKYO 2016」を開催した。日立製作所は,2016年4月に(株)日立メディコおよび日立アロカメディカル(株)を統合し,ヘルスケアビジネスユニットとして一体化した経営を進めており,今回,ヘルスケアビジネスユニットの新社屋である上野イーストタワーにユーザーやパートナーを招き,セミナーや機器展示を通して,日立が提案する新しいヘルスケアのかたちを紹介した。
セミナーは,日立のヘルスケアを紹介する「Hitachi's Healthcare Vision」が2題,特別講演が2題行われた。
Hitachi's Healthcare Visionの1題目は,ヘルスケアビジネスユニットヘルスケアソリューション事業部事業部長の香田克也氏が「医療価値の向上を支援する日立の医療イノベーション」をテーマに講演した。医療を取り巻く世界的な潮流と日本における保健医療政策の方向性について述べた香田氏は,日立の医療イノベーションへの取り組みとして8つのブロック(運営サービス,病院経営改革,デジタルヘルス,地域包括ケア,クリニカルデータ利活用,ライフサイクルサポート,インテリオペからスマート手術室へ進化,診療科別ソリューション)を説明。事例紹介として,デンマークのビスペビャー・フレデリクスベー大学病院における病院運営改革や,AIによる院内トリアージの実証実験などを詳述した。最後に香田氏は,日立グループのリソースを活用して,今回紹介した医療イノベーションと医療機器・システムのクリニカルイノベーションのソリューションを提供し,顧客バリューチェーンを支えるパートナーとなっていくと締めくくった。
2題目として,日立健康管理センタ副センタ長の中川 徹氏が「データヘルスにおける“はらすまダイエット”のインパクト~日立健保データヘルス計画について~」をテーマに講演した。中川氏は,厚生労働省が進めるデータヘルス計画について説明した上で,日立健保の生活習慣改善施策であるはらすまダイエットについて,概要と実際に取り組んだ従業員の声などを紹介した。はらすまダイエットでは,3か月間で体重の5%減量を目標とし,1日2回,体脂肪計で体重を測定して,スマートフォンやPCで記録していく。これをPDCAサイクルで進めることで,メタボリックシンドローム改善率72%という成果が得られたと,中川氏は報告した。
続く特別講演に先立ち,執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也氏が挨拶した。渡部氏は,マルチスライスCT「Supriaシリーズ」,透視診断システム「VISTAシリーズ」が,それぞれ累計販売台数1000台を突破したと述べ,特に近年は中国市場が好調であると説明。2016年4月に,日立メディコ,日立アロカメディカルを統合し,日立製作所ヘルスケアビジネスユニットになったことを取り上げ,今後もより良い製品・サービスを提供していきたいと述べた。
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特別講演の1題目は,慶応義塾大学病院中央放射線技術室の根本道子氏が座長を務め,公益社団法人日本診療放射線技師会の桒山真紀氏が登壇。「乳がん検診における総合判定と診断アプリケーションの潮流」をテーマに講演した。桒山氏は,乳がん検診における総合判定として,マンモグラフィと超音波の併用検診における病変検出のポイントを解説。乳腺組織実質や圧排性腫瘤では超音波の所見を優先し,脂肪や浸潤性腫瘤の評価ではマンモグラフィ,構築の乱れや石灰化もマンモグラフィの所見を優先すると述べた。さらに,桒山氏はエラストグラフィ,フュージョン,造影超音波のアプリケーションをいかに活用するか,実際の症例を示して説明した。まとめとして桒山氏は,これからの乳がん検診はdense breast対策を正しく理解することが必要であること,アプリケーションを適所,適材,適宜使い分けることが重要であると述べ,講演を締めくくった。
特別講演2題目には,おぎくぼ痛みのクリニック院長の福田憲昭氏が座長を務め,医療法人社団三友会高円寺整形外科院長の大村文敏氏が,「骨粗鬆症の診断と治療〜最近の考え方〜」と題して講演した。大村氏は,要介護の原因疾患や,骨粗鬆症を原因とした脊椎や大腿骨近位部の骨折後の死亡率の高さを述べ,国としても取り組んでいる健康寿命延伸のためには,骨粗鬆症の予防や診断,治療が重要であると説明。先進国において日本だけ大腿骨近位部骨折が増加している背景には,骨粗鬆症の治療率が低い現状があると指摘した。そして,骨粗鬆症の機序,変遷する診断基準や治療のガイドラインを説明するとともに,診断に有用な骨密度測定や骨代謝マーカー,各種治療薬の作用機序と効果について解説した。
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機器展示では,超音波診断装置,MRI,CT,X線システム,骨密度測定装置,ヘルスケアIT,治療計画装置,光トポグラフィ装置を一堂に集めて紹介した。X線システムとしては,国内販売1000台を達成した透視診断システム「VISTAシリーズ」をアピールするとともに,11月18日に発売されたばかりの移動型X線装置「Sirius Starmobile tiara airy」の実機を展示。また,一般撮影装置と寝台を共用できる骨密度測定装置「Dichroma scan DCS-900FX」を,実際に一般撮影X線システム「Radnext32」と組み合わせて紹介した。このほか,超音波診断装置の幅広いラインナップや,MRIシステム「ECHELON RX」のスマートなコイルシステムの実機展示,ヘルスケアITはデモ展示を通して,来場者に“日立のヘルスケア”を提案した。
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本イベント内では,MRIとCTのユーザー会である「日立MRIフォーラム」と「日立CTフォーラム」が同時開催され,多くのユーザーが参加した。日立MRIフォーラムでは,技術講演「日立MRIの撮像テクニックについて」,西村祥循氏(日本医科大学武蔵小杉病院放射線科)による臨床講演「当院のMRI撮像の現状」,吉川宏起氏(駒澤大学医療健康科学部教授)による特別講演「日常診療に役立つMRI画像〜放射線科医はここを見ている〜」の3題が行われた。続いて行われた日立CTフォーラムでは,技術講演「線量最適化のための基礎テクニック」,内山惠司氏(医療法人社団翔洋会辻内科循環器科歯科クリニック)による臨床講演1「16列Supriaの至適パラメータの検討〜2MHU X線管の有効活用〜」,情報提供「クラウドPACSの今後の動向」(株式会社neo),井上幸平氏(医療法人社団平静会大村病院画像診断部長)による臨床講演2「日常診療に役立つCT画像〜放射線科医はここを見ている〜」の4題が設けられた。
●問い合わせ先
(株)日立製作所
ヘルスケア首都圏営業部
TEL 03-6284-3669
http://www.hitachi.co.jp/healthcare