バイエル薬品が「ゾーフィゴ静注」による去勢抵抗性前立腺がんの骨転移治療に関するプレスセミナーを開催
2016-7-19
ゾーフィゴ静注
バイエル薬品(株)は2016年7月13日(水),ステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)において,放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤「ゾーフィゴ静注」を用いた去勢抵抗性前立腺がんの骨転移治療に関するプレスセミナーを開催した。
ゾーフィゴ静注は,日本初のα線を放出するRI内用療法の医薬品として2016年3月28日に製造販売承認が取得され,6月1日に販売が開始された。一般名は,「塩化ラジウム-223」で,欧州と米国では2013年に発売されており,骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として40か国以上で使用されている。通常の用法・用量は成人の場合,1回55kBq/kgを4週間間隔で6回まで,緩徐に静脈内投与する。
プレスセミナーでは,まず上村博司氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器・腎移植科部長/教授)が,「塩化ラジウム-223で変わる去勢抵抗性前立腺がんの骨転移治療」と題して講演した。上村氏は,前立腺がんが2025年には日本人男性のがん罹患数の第1位になるとし,骨に高頻度に転移することから,治療においては,bone managementが重要だと述べた。さらに,従来用いられていたデノスマブとゾレドロン酸による治療成績を紹介。その上で,塩化ラジウム-223の作用機序として,骨転移部位に選択的に取り込まれ,高エネルギーのα線を放出するが,飛程は100μm程度で周辺組織に対する作用は限定的という特徴を説明した。さらに,上村氏は,国際共同第III相臨床試験(ALSYMPCA)の概要と結果を解説し,塩化ラジウム-223がプラセボと比較して全生存期間を有意に延長し,有害事象による治療中止率も低かったという結果を示した。また,上村氏は,日本で行われた第I相臨床試験(15354)も取り上げ,忍容性,薬物動態,有効性が非日本人と同様であったと述べた。上村氏は,講演の後半には,塩化ラジウム-223を用いた去勢抵抗性前立腺がんの骨転移治療のストラテジーも解説し,6サイクルで完遂できるよう治療シーケンスを組み立てることが重要だと言及した。
次いで,細野 眞氏(近畿大学医学部放射線医学教室/近畿大学高度先端総合医療センター教授)が登壇。「塩化ラジウム-223の特徴と画期性および安全性」をテーマに講演した。細野氏は,RI内用療法の概要を紹介し,α線放出核種として塩化ラジウム-223が初めて実用化されたと述べた。また,細野氏は,α線について,DNA2本鎖切断を惹起するほか,飛程が短いことによる副作用の少ないという特徴を説明。さらに,ラジウム-223は骨代謝の激しい部分に取り込まれ,カルシウムに代わって結合してハイドロオキシアパタイトを形成するため,α線を放出することで抗腫瘍効果を得られるとした。このほか,細野氏は,ラジウム-223によるRI内用療法についての汚染管理や治療室からの退出基準など,適正な治療のための運用についても解説。責任体制を明確にしたチーム医療体制を構築することが重要だと述べた。講演の最後には,将来展望について触れ,ラジウム-223の治療が始まったことで,今後さらにα線を用いたRI内用療法が発展していくことが期待されるとまとめた。
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●問い合わせ先
バイエル薬品株式会社
医療用医薬品部門製品広報
TEL 06-6133-7333
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