日立製作所が2018年度4400億円とするヘルスケア事業の売り上げ収益目標を発表

2016-6-7

富士フイルム


渡部眞也 氏(執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEO)

渡部眞也 氏
(執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEO)

(株)日立製作所は2016年6月1日(水)に開催された「Hitachi IR Day 2016」において,ヘルスケア事業における2018年度の売り上げ収益目標を4400億円(2015年度比132%)とする事業戦略を発表した。この発表は,5月18日に公表された「2018中期経営計画」に基づくもの。同社は2015年に行われたHitachi IR Dayにおいて,2018年度の売り上げ収益目標を6000億円としていたが,今回発表された事業戦略では下方修正された形となる。これは,従来の事業区分を変更したことなどが影響したほか,成長性と収益性を重視したポートフォリオの変革,投資計画の見直しなどによる。

同社は,2014年にヘルスケア社を設立して,ヘルスケア事業を強化。2015年度の売り上げ収益は,前年比104%となる3326億円に上り,堅実に伸びている。特に,2015年は,粒子線治療施設の受注が6件,また超音波診断装置の新製品投入があったほか,インフォマティクスにおいて,国立病院機構のデータ集積基盤の構築などを行った。さらに,2016年4月には,(株)日立メディコと日立アロカメディカル(株)を日立製作所に統合するなど,活発な動きを見せている。

今後の展開としては,“Innovating Healthcare, Embracing the Future”をビジョンに掲げて,「診断・臨床」「検査・試薬」「インフォマティクス」の3つの分野に分けて事業を推進していく。この3分野の2015年度の売り上げ構成は,診断・臨床が45%,検査・試薬が41%,インフォマティクスが14%で,企業別に見ると,日立製作所ヘルスケアビジネスユニットが53%,(株)日立ハイテクノロジーズが35%となっている。また,海外の売り上げ収益は64%(北米16%,欧州35%,中国・アジア13%)であった。

このような状況の中,今後同社では,クリニカルイノベーションと医療イノベーションによる医療の質向上と効率化を図り,顧客のバリューチェーンを支えるパートナーをめざすとしている。事業の推進体制としては,同社のヘルスケアビジネスユニットがフロント組織として事業全体を牽引し,バイオ・メディカル事業の日立ハイテクノロジーズ,ライフサイエンス事業の日立化成(株)などの各企業の総合力を発揮するように,IoTを活用していく。

イノベーションを提供していく上では,同社のIoTプラットフォームである「Lumada」を活用する。これについては,すでにMRIの故障予兆診断サービスや検診車の医用画像転送サービスなどの実績がある。さらに,医療イノベーションとしては,医療機関の放射線部門などを支援する「運営サービス」,社会イノベーションの手法を用いた「病院経営改革」,診療データの共有をシームレスに行う「デジタルヘルス」,茨城県の笠間市などで提供されている「地域包括ケア」がある。また,クリニカルイノベーションとしては,東京女子医科大学と共同で開発を行っている「スマート手術室」や「診療科別ソリューション」, Aiによる画像診断支援などの「クリニカルデータ利活用」,高度な保守サービスや診療所経営のコンサルティングなどの「ライフサイクルサポート」が挙げられる。

これらのイノベーションの提供に基づく2018年度に向けた成長戦略として,「診断・臨床」においては,超音波診断装置と粒子線治療ともに世界シェア1位をめざす。また,「検査・試薬」では,顧客との“共創”により,遺伝子や細菌などの成長領域への取り組み強化,検査室エンジニアリングの拡大を図る。「インフォマティクス」については,地域包括ケアシステムにおける顧客の課題解決,北米での事業基盤構築を進める。このほか,新たな領域として,再生医療やロボティクスの研究開発,先行投資を推進するとしている。

特に,放射線治療においては,粒子線治療システムにとどまらず,治療計画システムやアナリティクス,先端研究,X線治療などのトータルソリューションを提供して,海外市場の開拓,拡大を図っていく。超音波診断装置については,循環器科・産婦人科・放射線科の診療科別アプリケーションの強化や乳がん診断・治療における協業,point-of-care(POS)・新興国市場向け製品の提供に取り組むとしている。

Hitachi IR Day 2016当日は,同社執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也氏がこれらの説明を行った。

 

2018年度の売り上げ収益目標4400億円

2018年度の売り上げ収益目標4400億円

 

2018年度に向けた成長戦略

2018年度に向けた成長戦略

 

放射線治療における成長戦略

放射線治療における成長戦略

 

超音波治療における成長戦略

超音波治療における成長戦略

 

●問い合わせ先
(株)日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/

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