東芝メディカルシステムズ,プレミアム超音波としてハード,ソフトを含めて1から開発した「Aplio i」シリーズを発表
2016-5-12
プレミアム超音波装置 Aplio iシリーズ
東芝メディカルシステムズは,プレミアム超音波診断装置である「Aplio i」シリーズを2016年5月27日(金)から発売する。それに先立ち,5月11日(水)に新製品発表会をJPタワーホール&カンファレンス(東京都千代田区)で開催した。代表取締役社長の瀧口登志夫氏が,超音波事業戦略とAplio iシリーズの市場での位置づけと期待を述べ,超音波開発部の川岸哲也氏がAplio iシリーズの製品のポイントを紹介した。また,ビデオで川崎医科大学検査診断学内視鏡超音波部門の畠 二郎教授が「Aplio iシリーズの使用経験と期待される臨床的有用性」についてのコメントが紹介された。
Aplio iシリーズは,従来のAplio,Artidaのラインナップを超える最上位機種と位置づけられる製品で,プローブを含めたハードウエアやアプリケーションを含めて1から開発を行い,高精細画像の描出を可能にするiBeam技術や超高周波イメージング,高精細技術を生かした新しいアプリケーション,検査者に最適なワークフローを提供するデザインなどが特長だ。
瀧口社長は,同社の超音波事業が今年50周年となるが,ユーザーのニーズを的確にとらえてパートナーシップを組むことで,TDI(Tissue Doppler Imaging)やWall Motion Tracking,ADF(Advanced Dynamic Flow)などの独自技術を数多く提供してきたことを紹介した。なかでも,造影剤を使うことなく低速で微細な血管を描出できるSMI(スーパー・マイクロバスキュラー・イメージング)は高い評価を受け,さまざまな領域で臨床に役立つ診断方法が研究され報告されていると述べた。東芝メディカルシステムズの超音波診断装置は世界市場でシェア3位だが,瀧口社長は今回のAplio iシリーズの開発について,「F1マシンのような装置を作れないかと事業部に投げかけたところ,自由な発想でハードウエア,ソフトウエアからプローブに至るまで,すべてを刷新した世界に誇れる製品ができあがった。このAplio iシリーズの投入を皮切りにして,さまざまな製品を投入することでグローバルNo.1をねらっていきたい」と展望を語った。
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Aplio iシリーズの製品のポイントを概説した川岸氏は,「従来のAplio,Artidaの上位に位置するプレミアムクラスの新製品として,ハードウエア,ソフトウエア,信号処理,プローブのすべてを新しく1から作り直した」と述べ,製品開発のコンセプトとして,“世界最高の鮮明な画像”,“先進のアプリケーション”,“シンプル&直感的なワークフロー”,“体にやさしいエルゴノミクス”の4つをポイントに挙げた。鮮明な画像を実現した技術として,深部まで均一で高密度なビームの送受信を可能にする“iBeam Forming”と,断層像の厚みを薄くする“iBeam Slicing”を開発した。iBeam Formingでは,送受信系,信号処理をすべて一新し,Multi-Sync Pulser(送信),Multi-Beam Receiver(受信),Multi-Harmonic Compound(信号処理)によって細く鋭い均一なビームの送受信を可能にした。さらに,iシリーズ向けに新しく開発されたiDMSプローブでは,Intelligent Dynamic Micro SliceとMultiplexingによって,ビームだけでなくスライス厚方向についても極薄化を実現した。
スライス厚制御が可能なプローブとして開発されたiDMSプローブは,低周波から高周波までをカバーする超広帯域,分解能,感度の向上,軽量化などを実現している。iDMSプローブは心臓用,腹部用,表在用がラインナップされる。
さらに,従来の高周波(12MHz)を超える,20MHz以上の超高周波での検査を可能にする超高周波リニアプローブ(PLI-2004BX)を開発。Aplio iシリーズとこのプローブを使うことで手指の1mm未満の血管など微細な構造の描出が可能になった。
先進のアプリケーションとしては,“Advanced SMI”,“Quad Fusion”,“Shear Wave Elastography”,“New sensor 3D”などが利用できる。Advanced SMIは,Aplio iシリーズの基本性能の向上とiBeam技術によってさらに細かい血流の描出が可能なことを紹介した。
検査をする医師,技師にやさしいエルゴノミクスデザインについては,デモンストレーションで紹介された。Aplio iシリーズでは,23インチのカラーワイド画面液晶モニタを採用し,検査の環境に合わせて低位置から立った状態まで従来の2.5倍の範囲で位置の調整ができる。また,Wi-Fi接続によるタブレット型のセカンドコンソールによって,検査時の使い勝手をさらに向上している。
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