伏見製薬が大腸CT用経口造影剤「コロンフォート」の発売記念講演会を開催
2016-4-18
会場の様子
伏見製薬(株)は2016年4月15日(金),神奈川県民ホール小ホール(神奈川県横浜市)にて,「大腸CT用経口造影剤コロンフォート内用懸濁液25%発売記念講演会」を開催した。この日はJRC2016の2日目にあたり,パシフィコ横浜からほど近い会場には,全国各地から学会に参加している医師や診療放射線技師300名以上が聴講に集まった。
大腸CT用経口造影剤「コロンフォート内用懸濁液25%」〔製造販売元:(株)伏見製薬所,発売元:伏見製薬(株)〕は,3月28日に製造販売承認を取得した,本邦初の大腸CT検査のための経口造影剤(硫酸バリウム製剤・懸濁液)である。用法用量は,1回32mLを検査前日の毎食後に3回経口投与する。これにより大腸内の残渣・残液を標識し,画像診断における残渣・残液と病変の識別を可能にする。国内の第Ⅲ相試験を経ており,安全性は従来の硫酸バリウム製剤とほぼ同様とされる。薬価は申請中(5月末の告示にて収載予定)で,販売開始は6月7日を予定している。
講演会でははじめに,伏見製薬(株)取締役の伏見俊毅氏が開会の挨拶に立ち,本剤が新薬としての製造販売承認を取得したことを報告。伏見氏は,「小規模な会社でありながら新薬の製造販売承認を得られたことを誇らしく思う」と話し,期待を寄せ,励まし続けてくれた関係者への感謝の意を述べた。そして,本剤の有効性の立証に向けて,さらなる協力を呼びかけた。
メーカー講演として,コロンフォート内用懸濁液25%の概要や用法用量に関する使用上の注意の説明が行われたのに続いて,大分大学医学部臨床医学系放射線医学講座教授の森 宣氏を座長に2題の特別講演が行われた。
第1部では,国立がん研究センター中央病院放射線診断科の飯沼 元氏が登壇し,「大腸CT用硫酸バリウム製剤コロンフォート内用懸濁液25%の開発の経緯」を講演した。同院では,2000年代初めから大腸CTを導入し研究に取り組んできた。飯沼氏は,医師による個人輸入で導入した大腸用タギングバリウム製剤と,胃X線や注腸X線で用いられているタギングバリウム製剤を比較し,流動性と粘度が逆の性質であることが判明したのをきっかけに,伏見製薬と取り組み始めた大腸CT用タギングバリウム製剤開発の経緯を説明した。また,大腸CTに適した前処置法や,受診者受容性を高めるために開発された検査食「FG-two☆」を紹介し,大腸CT前処置法における今後の課題を述べ,「コロンフォートの発売により大腸CTを行う環境が整うので,臨床で前処置法の検討を進めて大腸CTの精度を高め,日本から世界に発信していきたい」と締めくくった。
第2部として,済生会熊本病院予防医療センターの満崎克彦氏が「大腸CT用硫酸バリウム製剤コロンフォート内用懸濁液25%の臨床成績(治験概要)」を報告した。満崎氏は,治験薬の有効性判定基準を米国多施設共同試験ACRIN6664の成績を基に算出した正診率の95%信頼区間の許容限界値0.783を上回ることに設定し,ゴールドスタンダードである全大腸内視鏡検査と大腸CTの診断,病変照合,各種統計量算出が,それぞれ独立して厳正に行われたことを説明した。被検者数73例による治験の結果,正診率の95%信頼区間の下限値が0.837となったことから,ACRIN6664に劣らない診断精度を持ち,従前の大腸CTと同様の検査精度を有するとの結果を報告した。また,タギング有効率についても約8割の残渣がタギング良好となり,被検者受容性についても,アンケート結果から全大腸内視鏡検査と比べて有意差を持って前処置の負担が軽減しているとし,かつ重篤な副作用は認められなかったと結論づけた。コロンフォートには,被検者の負担軽減,大腸画像診断の選択肢の提供,検査受診率向上という臨床的意義があるとして,大腸がん早期発見に貢献するだろうと述べた。
特別講演に続き,各地区大腸CT研究会の紹介が行われ,東北消化管CT技術研究会,首都圏消化器画像技術研究会(M☆GIT),東海スクリーニング大腸CT研究会(TSD3),関西CTコロノグラフィ研究会,中四国スクリーニング大腸CT研究会(COLOSSEO),九州大腸CT研究会の6団体が概要や今後開催される研究会について紹介し,参加を呼びかけた。
最後に伏見製薬(株)取締役営業本部長の丹羽 誠氏が挨拶し,開発に協力した関係各位へ感謝を述べるとともに,大腸検査の受診者が一人でも増えるように大腸CTの普及に取り組んでいくと抱負を述べた。
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