“挑戦”をテーマに第18回CTサミットが開催
2014-8-1
会場となった笹川記念会館
今回で18回目となるCTサミット〔共催:CTサミット/第一三共(株),協力:インナービジョン〕が,2014年7月26日(土)に開催された。昨2013年から東京都での定置開催となり,前回同様,笹川記念会館(東京都港区)での開催となった。当番世話人は,大沢一彰氏(済生会中和病院)が務めた。第18回CTサミットのテーマは,「Challenge to the Future CT Technology」。“未来への挑戦”をテーマに,CTサミットらしさを追求したプログラムが組まれた。開会に先立ち挨拶した代表世話人の辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)は,「CTサミットの発表内容から,明日から使える技術,明日から研究できるテーマをつかんでほしい」と述べた。
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今回のプログラムは,ニューベーシックセッション,ニュージェネレーションセミナー&AWARD発表,ニューチャレンジセッションI/II,特別講演で構成された。まず初めに行われたニューベーシックセッションでは,「CTの基礎講座」として,広島大学病院の石風呂 実氏が座長を務め,3題の発表があった。
最初の発表となった「ビームハードニング効果とその対策」では,平本卓也氏〔GEヘルスケア・ジャパン(株)〕が登壇した。平本氏は,X線と物質の相互作用,ビームハードニング効果が起こる過程などを説明した上で,同社製“GSI(Gemstone Spectral Imaging)”によるビームハードニング効果の抑制を解説。さらに,最新CT「Revolution CT」でのビームハードニング効果抑制技術を紹介した。続いて,辻岡氏が「時間要素を考慮したパーシャルボリューム効果」と題して発表した。辻岡氏は,パーシャルボリューム効果に時間的な要素を加えた時間的部分体積効果について,ファントム実験を紹介。臨床利用として嚥下CTについて説明した。セッションの最後の発表では,神戸大学医学部附属病院の関谷俊範氏が「CTにおけるサブトラクション技術の現状と課題」をテーマに解説を行った。関谷氏は,撮影時のミスレジストレーションを低減し,精度の高いサブトラクションを行うための検討結果を説明した。
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次いで,ニュージェネレーションセミナーとAWARD発表が行われた。ニュージェネレーションセミナーでは,宮下宗治氏(耳鼻咽喉科麻生病院)が座長を務め,GEヘルスケア・ジャパン(株),東芝メディカルシステムズ(株),シーメンス・ジャパン(株)(株)フィリップスエレクトロニクスジャパン,(株)日立製作所の5社から,ここでしか聞けない“とっておき”の最新技術が紹介された。さらに,この発表に続き,ポスター発表のAWARD候補者の3名がプレゼンテーションを行った。休憩を挟んでその表彰が行われ,中村義隆氏(平成紫川会小倉記念病院)ほかの「心房中隔欠損孔描出におけるMinimum Intensity Projection法の有用性の基礎的検討」が金賞を受賞した。以下,銀賞は竹下雄大氏(藤田保健衛生大学)ほかの「しきい値を用いない新しい体積計算の検討(逐次近似応用再構成の利用)」,銅賞は阿知波颯太氏(藤田保健衛生大学)ほかの「プロジェクションマッピングを利用したリアルタイムCT-NABナビゲーションにおける投影方向の検討」が受賞した。このほか,デザイン賞として水野克彦氏(藤田保健衛生大学)ほかの「プロジェクションマッピングを利用したリアルタイムCT-NABナビゲーションのための位置合わせ用ファントムの開発」が選ばれた。
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続いて行われたニューチャレンジセッションIでは,「物理評価の進歩」をテーマに,小川正人氏(産業医科大学病院)と村上克彦氏(福島県立医科大学病院)が座長を務め,3題の発表があった。1番目の発表では,「ADCTの物理特性と画像の関係」をテーマに,静岡県立静岡がんセンターの瓜倉厚志氏が登壇。広範囲高速撮影が可能なADCTの物理特性について解説した。次いで,名古屋大学の小山修司氏が「Dual Energyにおける測定法」をテーマに発表を行った。小山氏はdual energy imagingにおけるX線線量の測定法を説明した。3番目に,「小児におけるSSDEとImage Gentlyの精度」と題し,庄司友和氏(東京慈恵会医科大学附属柏病院)が発表した。庄司氏は,CTDIvolを用いた評価法であるSSDEについて解説した。ニューチャレンジセッションIの最後は,「CT装置の発展に伴う造影法の変化」をテーマに,岐阜大学医学部附属病院の三好利治氏が発表した。三好氏は,逐次近似応用画像再構成法を使用した撮影における造影剤使用量を説明した。
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ニューチャレンジセッションII「臨床利用の進歩」では,梁川範幸氏(東千葉メディカルセンター)と平野 透氏(札幌医科大学医学部附属病院)を座長に,4題の発表が行われた。初めに発表した日本海総合病院の渋谷幸喜氏は,「医工連携研究で開発した冠動脈石灰化除去フィルターとその臨床評価」をテーマに,山形大学工学部と開発したアプリケーションの説明をした。また,磯部好孝氏(四日市羽津医療センター)は,「凍結療法におけるCTの活用」と題して,治療精度を向上させるための取り組みを紹介した。3番目に登壇した辻岡氏は,「新しいIVR-CTシステムの提案」と題し,CTガイド下生検における,CT画像のプロジェクションマッピングによる手技支援について説明した。さらに,最後に登壇した池田 秀氏(東海大学医学部付属病院)は,「CARE kVの特性と臨床応用」と題して,CARE kVによる被ばく低減などを説明した。
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最後の特別講演では,東邦大学医療センター大森病院の白神伸之氏が登壇した。テーマは,「Dual Source CTを用いた消化管のCT診断」。Dual Source CTによる消化管の腫瘍評価,dual energy imagingについて,症例を提示しながら解説を行った。
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CTの最新技術とその臨床応用など先進的なプログラムにより,今回も多くの参加者が最後まで各発表・講演に熱心に耳を傾けていた。次回は,当番世話人を梁川氏が務め,2015年7月25日(土)に,日本教育会館(一ツ橋ホール)(東京都千代田区)を会場に開催される予定である。
協賛企業(順不同)
アクロバイオ,ザイオソフト/アミン,シーメンス・ジャパン,第一三共,東芝メディカルシステムズ,日本メドラッド,根本杏林堂,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,AZE,GEヘルスケア・ジャパン
●機器展示
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金賞
「心房中隔欠損孔描出におけるMinimum Intensity Projection法の有用性の基礎的検討」
(福岡県)平成紫川会小倉記念病院・中村義隆氏ほか
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銀賞
「しきい値を用いない新しい体積計算の検討(逐次近似応用再構成の利用)」
(愛知県)藤田保健衛生大学・竹下雄大氏ほか
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銅賞
「プロジェクションマッピングを利用したリアルタイムCT-NABナビゲーションにおける投影方向の検討」
(愛知県)藤田保健衛生大学・阿知波颯太氏ほか
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デザイン賞
「プロジェクションマッピングを利用したリアルタイムCT-NABナビゲーションのための位置合わせ用ファントムの開発」
(愛知県)藤田保健衛生大学・水野克彦氏ほか
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●問い合わせ先
第18回CTサミット
http://ctsummit.jp/