富士フイルム
SonoSiteとのシナジーで開発した携帯型超音波診断装置「FUJIFILM FC1」を発売
2014-4-3
富士フイルムとSonoSiteの初の共同開発による
「FUJIFILM FC1」を発売。
後藤禎一メディカルシステム事業部長(右)
富士フイルム(株)は,2011年末に買収した子会社であるFUJIFILM SonoSite, Inc.との技術を結集して開発した,新しい携帯型超音波診断装置の「FUJIFILM FC1」を2014年5月12日から発売する。それに先だって4月2日(水),東京・六本木の東京ミッドタウンで新製品発表会を開催した。
初めに,富士フイルムのメディカルシステム事業部長である後藤禎一氏が登壇し,同社のメディカルシステム事業の現状と超音波の市場動向,携帯型超音波診断装置を中心とする事業展開について説明した。同社のメディカル事業では,IT,超音波,内視鏡,IVD(体外診断薬)が,2ケタ成長を続けている。超音波診断機器のワールドワイドの市場規模は5800億円で,そのうち小型・携帯型装置では1000億円規模となっており,その他の超音波装置に比べて伸び率も大きくなっている。後藤氏は,超音波事業戦略の方向性として,この小型・携帯型の市場を主戦ターゲットとして,これまでSonoSiteで高いシェアを持っているPOC市場ではX-PORTEなどハイエンドの装置を投入,病院やクリニックの診断市場では今回のFUJIFILM FC1の投入によって,シェアアップを図ることがねらいだと述べた。
また,海外での展開については,SonoSiteの販売実績としては北米・中南米が半分近くを占めているが,今後は,中国では販売網を富士フイルムに統合,韓国では新たにSonoSiteの現地法人を立ち上げるなど,富士フイルムの拠点や代理店網などを生かしながら,地域にあわせた販売戦略をとることで,さらなる拡大を図っていく。後藤氏は,「富士フイルムとSonoSiteの双方がこれまで培ってきた,高い技術や販路のシナジーによって,携帯型超音波市場においてトップシェアをめざし,さらなる製品投入も含めて,さまざまな展開を図っていきたい」と述べた。
続いて,富士フイルムソノサイトの技術部長の山崎延夫氏が,FUJIFILM FC1の特徴と技術的なポイントについて解説した。山崎氏はFUJIFILM FC1のコンセプトとして,「患者さんにやさしい=Quality(画質)」,「ユーザーにやさしい=Usability」,「人にやさしい=Mobility」の3点を紹介した。高画質を実現したポイントとしては,1)超並列MPU,2)音速補正による高画質化,3)マルチ周波数処理を応用したスペックルノイズの低減,を挙げた。超並列MPUは,画像処理専用のマイクロプロセッサを用い,ソフトウエア・リアルタイム処理によって,低消費電力で高い演算能力を実現し,携帯型超音波装置に最適化されている。また,音速補正では,超並列MPUを利用して膨大な超音波データから,大量の画像をリアルタイムで生成してシミュレーションすることで,解像度が最大になる音速値で画像化することで高画質化を実現している。さらに,富士フイルムがFCRで培ってきたマルチ周波数処理の技術を応用することで,超音波画像に発生するスペックルノイズの低減を可能にした。
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FUJIFILM FC1の操作性については,富士フイルム製品の直感的でわかりやすいボタン配置,大型タッチパネルといった特長と,SonoSiteの清潔性に優れたパネルデザイン,ワンタッチでの画像最適化という特性をあわせて,初心者でも直感的で快適な操作性を可能にした。また,携帯型に求められる要件である堅牢性も,本体はもちろんプローブについても厳しい基準をクリアした耐衝撃設計を採用しており,プローブは5年間保証となっている。山崎氏は,これらの利点をあわせて,携帯型超音波診断装置として高い価値を提供できるだろうと述べた。
発表会では,ユーザーの声として,徳島大学医学部臨床教授の山田博胤氏,三井記念病院検査部部長の遠田栄一氏のコメントがビデオで紹介された。山田氏は,FUJIFILM FC1は携帯性だけでなく,循環器の診断に必要なパルスドプラ,連続ドプラが可能で,病棟やICUなどでの迅速な診断が可能になることを評価した。遠田氏は,FUJIFILM FC1は高分解能とリアルタイム性を両立させた小型の超音波装置であり,可搬性や操作性に優れているとコメントした。
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