講演会の様子

（株）AZEは，2014年1月17日（金）に本社（東京都千代田区）にて「AZE 2014 新春特別講演会」を開催した。
会の冒頭，同社代表取締役の畦元将吾氏によるビデオメッセージでの挨拶が流された。畦元氏は，ユーザーへの日頃の感謝を述べるとともに，新製品のネットワーク型読影診断コンソール「AZE Phoenix Lexus network（アゼ フェニックス レクサス ネットワーク）」を発表した。

AZE Phoenix Lexus networkは，「単なるビューアでもワークステーションでもない“次に来るもの”」というコンセプトのもと開発された読影診断用コンソールで，高性能ボリュームビューアと高機能ワークステーションを融合させ，快適な読影とスピーディな解析を1つのシステムで可能にする。日常の読影時間の短縮と効率化をめざして開発された読影専用ビューア「AZE Phoenix」に搭載されている“スマートタグ”や“スマートレジストレーション”といった読影のための機能と，同社が長年培ってきたワークステーションの各種アプリケーション（CT冠動脈解析・心機能解析やcomputed DWIなど）を実装する。ボリュームレンダリングのソフトウエアは，AZE Phoenix Lexus networkに適した改良がなされている。
ネットワーク型とすることで，院内各所からの閲覧や解析処理を安定的に行うことができ，画像の解析・読影・診断に対する放射線科医，診療科医，診療放射線技師のニーズに応える。また，ネットワーク上でThinsliceサーバとして機能させることも可能である。
なお，リリースは2月1日を予定している。

畦元氏は，「診断コンソールや読影室のビューアシステム，ワークステーションをすべて統合させた，使いやすいシステムを提供したいと考えて開発したシステムです。将来的にはクラウドにも対応できる拡張性もあり，医師や診療放射線技師，ひいては患者さんに有効なシステムだと自負しています」と述べた。
続いて，営業本部東日本営業部長の畦元秀隆氏が挨拶に立ち，AZE Phoenix Lexus networkは，ユーザーの意見を取り入れることで開発できた製品であると感謝を述べ，今後もより良い製品づくりのためにさまざまな意見を寄せてほしいと，引き続きの支援を呼びかけた。

畦元秀隆 氏 （営業本部）

片平和博 氏 （熊本中央病院）

講演は，国家公務員共済組合連合会熊本中央病院放射線診断科部長の片平和博氏による「当直医を救う絞扼性イレウスの最適断面再構成術を極める～臨床に役立つ拡散強調画像パッケージの紹介もあわせて～」が行われ，「当直医を救う放射線技師としてのプロ意識」と「臨床に役立つcomputed DWIの有用性」の2つのテーマが取り上げられた。
はじめに，放射線科医が不在の当直帯の緊急画像診断では，診療放射線技師が画像のプロとして，患者の命と当直医を救うための検査，画像解析・提供を行う責務があると指摘。診断に役立つ最適断面の再構成に，AZEのワークステーションで使用できるSliding法が有用であるとして，絞扼性イレウスを例に使用法などについて解説した。絞扼性イレウスは，早期に診断をつけて手術する必要があることから，その機序を理解して，見逃しのない画像を提供することが重要であると述べた片平氏は，早期発見のためのチェックポイントや画像作成の要点を解説した。
次に，病変の拾い上げに有用な，高いb値で病変の視認性を向上させるultra-high b DWIをテーマに，AZEのワークステーションで簡便に行えるcomputed DWIについて講演した。単純にb値を高くした撮像では，ノイズが多く診断に適さないため，分解能を下げ，TEを短くすることで診断可能な画像を得る必要がある。AZE VirtualPlaceでは，以前から2つのb値を用いて，高いb値の画像を作成するcomputed DWIを行えたが，新しくb値とADC値からも作成することが可能となり，またWW/WLの最適な設定が自動で行えるようになったことを紹介。SNR不足を補うための手法である低分解能，short TEに加え，computed DWIも活用し，組み合わせて使いこなすことで，ultra-high b DWIで不可能であった高分解能化，さらにはisotropic化を実現できることを紹介した。