NEC医療セミナー2013 東京
HIS更新における課題と医療と健康の産業化について講演

2013-3-18

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指で操作する「フィンガージェスチャーソリューション」のデモ

指で操作する「フィンガージェスチャーソリューション」のデモ

NECは,「NEC医療セミナー2013東京」を,3月1日(金),東京都港区の本社ビル講堂で開催した。今回のセミナーは,講演2題とNECおよび関連企業のシステム展示を中心に行われた。システム展示では,電子カルテシステム「MegaOakHR」や災害時診療継続支援などのサービスに関するプレゼンテーションや,電子カルテ,看護支援,地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」などのシステムのほか,救急センター向け患者・スタッフロケーション管理システムやKinectを利用した「フィンガージェスチャーソリューション」なども紹介された。

村田晃一郎 氏(北里大学)

村田晃一郎 氏
(北里大学)

講演では,医療ソリューション事業部の山口琢也事業部長の挨拶に続いて,最初に北里大学病院病院長補佐の村田晃一郎氏が,「HIS更新を成功させるためになにが必要か〜北里グループ病院のHIS更新プロジェクトを通じて」と題して講演した。北里大学グループでは,神奈川県相模原市の北里大学病院(本院)と北里大学東病院,東京都港区の北里研究所病院,埼玉県北本市の北里研究所メディカルセンター病院の4病院について,共通仕様による病院情報システム更新プロジェクトを行い,2012年1月から6月にかけて順次稼働した。その責任者を務めたのが村田氏である。講演では,ひとつの病院でも困難なHIS更新というプロジェクトを4病院同時かつ連携して行うというプロジェクトを進めた経験から,更新を成功に導くためのポイントと秘訣を紹介した。
プロジェクトを動かす重要な要素に,“動機(インセンティブ)”,“コスト(予算)”,“タイミング(時間)”の3つがある。北里グループでは,2008年にそれまで別法人だった大学と研究所が学校法人として統合されたことが,4病院の共通仕様によるHISの導入という動機となり,同時に導入コストを抑えたシステム構築の取り組みにつながった。村田氏は,タイミングとしても多少のズレはあるものの,全病院が2011年にリースが終了することから2012年の同時更新となったが,法人の理事会としては共通のHISが組織統合の象徴として期待されるところが大きかったと述べた。
4病院の共通仕様の策定では,基本パッケージをMegaOakHRとし,そこに4病院の共通改造部分を加え,その上に各病院の個別改造を行うこととした。基本パッケージと共通改造部分までの費用を法人負担とすることで,共通化へのインセンティブが働くことになった。プラットフォーム統合の効果としては,マスターテーブルがほぼ流用できたこと,グループ内のコミュニケーションの円滑化,経営パラメータの共有化などを挙げた。また,4病院の連携システムについては,ID-Linkの仕組みを内部に持っていることから将来的にIDの統合化が可能であり(現状は本院と東病院で運用中),災害時のバックアップを含めた運用を計画しているという。
さらに,本院の新病院建築計画が2年延びたことから,ハードウエアの円滑な移行とOSやアプリケーションのリプレイスに伴う費用の発生を抑えるために,サーバの仮想化とシンクライアント化に取り組んでおり,村田氏は本院などでのiPadなどタブレット端末の利用の方向性についても紹介した。

藤本康二 氏(内閣官房)

藤本康二 氏
(内閣官房)

続いて,内閣官房健康・医療戦略室参事官の藤本康二氏による「医療イノベーション政策とICTの将来像」の講演が行われた。冒頭,藤本氏の所属部署が2月22日付けで医療イノベーション推進室から健康・医療戦略室に改組されたことが紹介され,政権交代によって新たな取り組みが始まっていることと述べた。とはいえ,基本的には従来からの内容を踏襲しつつ取り組まれることから,講演はこれまでの施策をベースに進められた。藤本氏は,健康と医療が社会の負担にだけなるのではなく,市場や産業としても成り立ち,社会全体として回していける仕組みを検討することが組織としての役割だと述べた。
医療や健康を産業として考える時には,それを必要とする市場規模が課題で,今後,国内市場だけでは少子高齢化,人口減の中で限界があり,海外への輸出を含めて考えることが必要だとして,現在すでに海外で日本の企業や病院による海外でのさまざまな事業の事例を紹介した。
また,ICTへの期待としては,医療機器のデジタル化によって,今後は単体ソフトウエアやコンビネーション製品を医療機器としてどう取り扱うのか、その可能性に対応していくことが重要だとして,その際には安全性を担保することが求められ,“レギュラトリーサイエンス”の考え方が必要だと述べた。

システム展示の様子

システム展示の様子

 

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●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/

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