RSNA 2021 パンデミックから得た教訓を基に放射線診療を再定義したPresident's Address
2021-12-1
RSNA 2021の初日11月28日に行われた
President's Address and Opening Session
RSNA 2021の初日11月28日(日)16時(日本時間11月29日7時)からは,Arie Crown Theaterで,恒例のPresident's Address and Opening Sessionが行われた。今回の大会長を務めるシンシナシティ大学放射線科教授のMary C. Mahoney氏は,President's Addressとして,“Redefining Radiology: The Road Ahead”と題し,これからの時代の放射線診療のあり方を再定義し,進むべき道を示した。
Mahoney大会長は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが,世界中の医療が抱えているマンパワー不足や非効率性,アクセス性の不平等といった課題を浮き彫りにしたと述べた。その一方で,今回のパンデミックは,これからの放射線診療のあり方を考える機会になったと指摘。人工知能(AI)などの技術を活用して,地域や医療従事者,患者と協調することが,放射線診療にかかわる者には求められており,それがまた自分たちに価値を高めると訴えた。
Opening Sessionでは,Mahoney大会長のPresident's Addressに続き,クリーブランドクリニックのChief Clinical Transformation Officerを務めるJames Merlino氏の基調講演が行われた。Merlino氏は,Service Fanatics: How to Build Superior Patient Experience the Cleveland Clinic Wayの著者として知られる。“Service Fanatics - How to Deliver Safe, High-Quality, Patient-Centric Care”と題した講演の中で,Merlino氏は,自身の父親が入院したときに患者や家族として納得のできる医療を受けられなかった経験を話した上で,患者が医療従事者に求めているものに言及。患者とのコミュニケーションが重要だと強調した。そして,患者や医療従事者同士のコミュニケーションを充実させるための取り組みが必要だとし,パンデミックでの経験を生かし,チームとして医療を提供していくことが求められると述べた。
このほか,Opening Sessionでは,米国医学物理学会(AAPM)のJames T. Dobbins III氏,シカゴ放射線協会のAri Goldberg氏が挨拶を行ったほか,2020年に亡くなったSanjiv S. Gambhir氏,Lawrence W. Bassett氏の功績がたたえられた。