RSNA2020 GE Healthcareが魅せたラジオロジーの未来
“Intelligently Efficient”をテーマに掲げて,AIを用いた効率的な診断・治療ソリューションを紹介
2021-1-22
第106回北米放射線学会(RSNA 2020)が,2020年11月29日(日)〜12月5日(土)にオンライン形式で開催された。機器展示もオンラインとなった今回,GE Healthcareは,“Intelligently Efficient”をテーマに掲げてバーチャルブースを開設。人工知能(AI)のプラットフォームである「Edison Platform」で開発された製品・技術を中心に,効率的な診断・治療に貢献するソリューションを提案し,質の高い患者ケアを支えていく姿勢を示した。なお,バーチャルブースは,2021年4月末日まで,“GE Healthcare Virtual Experience”(https://innovation.gehealthcare.com/ )から登録の上,閲覧可能である。
CT:AIによる効率的で質の高い検査の実現
CTの展示では,検査前のセッティングから撮影,ポストプロセッシングまでの検査の流れに沿って,効率化と診断の質を向上する技術が紹介された。
検査前の効率化に関する技術としてPRしたのが,ディープラーニング技術を用いた“AI搭載Deep Learning3Dカメラユニット”によるポジショニングの自動化だ。最新CT「Revolution Maxima」のオプションとして用意されている(図1)。寝台上の天井に設置されたカメラで被検者を撮影することで自動的に最適なポジショニングを行う。これにより検査のスループットを向上する。
撮影時の技術としては,ディープラーニング画像再構成のアルゴリズムである“TrueFidelity Image-GSI(TFI-GSI)”を紹介した。従来のTFIが新たにdual energy CT技術である“Gemstone Spectral Imaging(GSI)”にも適用可能となり,従来法よりもノイズを抑えた画像を得ることが可能である。
ポストプロセッシングの技術としては,“SnapShot Freeze2”をPRした。冠動脈のほか,弁や心筋などの心臓全体のモーションアーチファクトを抑制する。
MRI:画像再構成技術“AIR Recon DL”に注目
「Edison Platform」で開発された画像再構成技術AIR Recon DL(国内未販売)は,ディープラーニングにより学習を行い,MR画像のノイズとトランケーションアーチファクトの低減に加えて,シャープネスを向上する。k空間フィルタを使用せずにraw dataにアルゴリスムを適用することで,従来の画像再構成技術よりも大幅に画質が向上する。
また,ソフトウエアの最新バージョンであるMR29プラットフォームも紹介された。2020年10月に発表された3T MRIの「SIGNA Architect AIR Edition」と「SIGNA Pioneer AIR Edition」にも搭載されている。高速撮像が可能な圧縮センシングのアプリケーションである“HyperSense 2.0”,自由呼吸下での3Dダイナミック撮像を可能にする“DISCO-Star”などが使用できる。
このほか,MRI関連の展示では,米国FDAの承認を得たばかりの「Signa 7.0T」(薬機法未承認)も披露された(図2)。
Healthcare Digital:「Centricity Open PACS AI」が登場
Healthcare Digitalでは,PACSにAIの診断支援アプリケーションを組み込み,画像診断医が効率的に診断を行えるCentricity Open PACS AIがPRされた。従来の画像診断のワークフローを変えることなく,診断支援アプリケーションを利用できる。「Edison Ecosystem」により,ユーザーは豊富なアプリケーションから目的に応じて選択して,診断に活用できるようになる(図3)。
このほか,小児領域向けの読影支援ソリューション「Integrated Reference Study Library」も紹介された。PACS内にある小児の画像から,モダリティや部位,年齢といった情報を基にリファレンス画像を表示させ,読影をサポートする。
Ultrasound:フラグシップの「LOGIQ E10x」を展示
超音波診断装置としては,フラグシップ装置に位置づけられるLOGIQ E10xを展示した。高性能GPUを搭載し,革新的な信号処理技術である“cSound”をベースに,高画質と高スループットを実現する。cSoundイメージフォーマーは,多方向からの膨大な超音波データをリアルタイムに高速で再構成して,コントラスト分解能,時間分解能,均一性を向上。画像のすべてのピクセルが焦点化される全視野・全深度フォーカスを実現している。このため,Bモード画像では常に最適な空間分解能で観察できる。
また,LOGIQ E10xに搭載される機能として紹介されたのが,“UGAP(Ultrasound-Guided Attenuation Parameter)”である。UGAPは,超音波信号の減衰量を基に減衰係数(AC)を推定して,減衰マップ(attenuation map)を表示し,脂肪肝の定量的な評価を可能にする。
Interventional:ハイブリッド手術室での低侵襲治療をPR
Interventional関連では,自走式X線血管撮影装置の「Discovery IGS 7」によるハイブリッド手術室ソリューションがPRされた。心臓領域向けのソリューションについては,CTやMR画像とのフュージョンによる造影剤量と被ばくの低減などが取り上げられた。また,オンコロジー領域では,“ASSIST”アプリケーションによる,肝動脈化学塞栓療法とラジオ波焼灼療法を併用した治療法などが紹介された。
ほかに,ニーズが高まるSHD治療でのアプリケーションとして,“Vivid-CT Fusion”も紹介された。超音波診断装置のモニタで,4D TEEの画像とCTの画像をフュージョンさせて,解剖学的情報を提供。さらに,X線血管撮影装置の透視画像にCT画像をフュージョンさせてロードマップ表示し,高精度の手技を支援する。
Surgery:米国シェア約70%に裏打ちされた技術力
GE Healthcareの外科用デジタルCアーム装置は,米国内70%という高いシェアを誇る。CMOSフラットディテクタやタッチコントロールパネル,線量を変えずに4倍までの拡大表示を可能にする“Live Zoom”機能などが高く評価されている。バーチャルブースでは,新製品として,3D撮影に対応した外科用イメージ装置(図4),上位機種向けのリモート操作コンソール,31cmのCMOSフラットディテクタを採用したモニタ一体型装置が紹介された(いずれも薬機法未承認)。
Women's Health:「Pristina Serena」の新機能をアピール
Women's Healthのコンテンツとしては,デジタルマンモグラフィPristina Serenaの標本撮影機能や造影マンモグラフィガイド下でのバイオプシー機能(一部薬機法未承認),iCAD社のトモシンセシス用AI技術(薬機法未承認)などが取り上げられた。標本撮影機能は,バイオプシー検査中に乳房を圧迫した状態で標本組織の撮影を可能にする。これにより,検査を中断せずに標本組織を確認できる。
X-ray:最新機種「Definium 656 HD」を紹介
一般撮影装置の最新機種Definium 656 HDは,新開発のワイヤレスFPD「FlashPad HD」を搭載(図5)。さらに,検査の安全性に寄与する“ライブストリーミングカメラ”,全自動で長尺撮影を行える“オートイメージペースト”といった技術を採用している。また,GPU搭載により高スループットのトモシンセシス撮影を可能にした“VolumeRAD with MAR”も使用可能である。
このほか,移動型X線撮影装置に搭載される気胸の検出を行うEdison PlatformのAIアプリケーション“Critical Care Suite”(薬機法未承認)もPRされた。
MI:第2世代に進化した「Discovery MI」
全世界で200台以上の出荷実績を誇る半導体検出器搭載PET/CTのDiscovery MIが第2世代へと進化した(図6)。CTに新たにディープラーニング画像再構成技術TrueFidelity Imageがオプションで搭載可能となり,さらなる被ばく低減と高画質を実現する。また,操作室から遠隔操作で寝台の昇降を行える“AutoIN”を採用。検査効率の向上や時間短縮に貢献する。
また,SPECT/CTでは,診断と治療を融合したTheranosticsに対応する装置として,「NM/CT 870CZT」が紹介された。新開発のコリメータである“MEHRS”により,Theranosticsで使用される177Luの208keV,111Inの245keVといった従来装置では困難だったエネルギーピークを得ることができる。これにより画質と定量性が向上する。
(文責・編集部)
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