RSNA2017 ザイオソフト - ワークステーション
CTの心筋性状評価やRealiZeの高精度の自動認識・抽出を用いた新アプリケーションを紹介
2017-11-28
RSNA 2017 ワークステーション
Ziosoft(ザイオソフト)は,3D医用画像処理ワークステーション「Ziostation2」に,同社の独自技術であるPhyZiodynamicsを進化させた三次元医用画像認識技術“RealiZe”を搭載し,2016年末からRealiZeを適用したアプリケーションの開発や機能の向上に取り組んできた。2017年の秋にリリースされた新バージョンでは,RealiZeを適用した新しいアプリケーションが搭載されたほか,従来の標準機能についても機能の向上が図られている。今回のRSNA2017では,新バージョンの機能を中心にマルチベンダーかつベンダーニュートラルなデータ処理を可能にするZiostation2の特長をアピールした。
●RealiZeによって隣接する領域の高精度な自動認識や分離を実現
RealiZeでは,従来の画像認識・解析のアルゴリズムに加えて,“解剖学的認識”と“血管連続性”の2つのアルゴリズムを適用することで,血管や臓器などの認識精度の向上,高度な自動抽出処理を可能にしている。新バージョンでは,肝臓体積測定にRealiZeを適用した新たな肝臓自動抽出機能が搭載された。
さらに,ブースでは次のバージョンで標準搭載ソフトウエアの機能向上として予定されている,“分離”機能が紹介された(W.I.P.)。従来,Ziostation2では残したい構造物を選択するアイソレーター機能が利用されてきたが,RealiZeを適用した新しい分離機能では,骨などの隣接した構造物で必要な部位と不要な部位をそれぞれ選択した上で分離が可能で,より簡便かつ正確な画像作成をサポートする。
●心臓CTでの心筋ECV解析や遅延造影解析を可能にするアプリケーションを搭載
Ziostation2の「MR心筋T1マッピング」では,心筋T1マッピングとECV(extracellular volume fraction:心筋組織細胞外液分画)解析によって心臓MRIでの定量的な心筋性状評価が可能になった。今回,新バージョンでは新たにCTでのECVや遅延造影解析を可能にしたアプリケーションが搭載された。「CT心筋ECV解析」は,遅延造影CTのデータから単純CTデータをサブトラクションし,ヘマトクリット値や左室内腔のCT値からECVを計測してマッピングして表示する。造影と単純データのサブトラクション時に非剛体位置合わせを利用することで位置ズレのない差分データが得られ,正確なECVデータの提供が可能になる。「CT心筋遅延造影解析」は,遅延造影CTデータから左室内腔の造影相を差分することで遅延造影画像を作成し,SD/FWHM法を使って遅延造影効果を計測する。従来,CTによる遅延造影解析は,低コントラストで解析が難しいことなどから困難とされてきたが,非剛体位置合わせによって内膜側まで正確にサブトラクションでき,造影効果の判定が可能になった。
心筋の性状評価は,核医学検査による心筋血流シンチからMRIによる遅延造影に移行することで患者の負担が軽減されている。CTでの遅延造影やECV解析が可能になることで,冠動脈解析から心筋性状評価までCTのみでのワンストップでの検査が可能になることが期待される。
●CT気管支ナビゲーション
「CT気管支ナビゲーション」は,肺野のCTデータから気管支を自動抽出して仮想気管支鏡画像を作成,気管支内視鏡の術前シミュレーションや術中ナビゲーションで手技をサポートする。RealiZeによって亜区域領域の細い気管支まで自動抽出とラベリングが行えるほか,ターゲットとなる腫瘍や気管支をクリックすることで目的までのルートを自動作成する。分岐部分にワンクリックでジャンプでき,実際の気管支鏡操作時の術者を支援する機能を搭載する。
●4Dサブトラクション
「4Dサブトラクション」では,連続的に撮影された造影CTデータを非剛体位置合わせによってより精度の高いサブトラクションを行い,骨などを除去した4D画像での観察を可能にする。サブトラクション機能はCT各社が搭載しているが,Ziostation2は非剛体位置合わせのほか,マルチベンダー対応,設定の柔軟性,CT値の低い血管を選択できることから末梢まで描出できることなどが特長となっている。
●IGモーション測定
「IGモーション測定」は,高精度放射線治療のためのIGRT(Image guided radiotherapy)において,呼吸性移動を画像上で把握するために留置される金マーカーと腫瘍との距離を4Dモーション解析を行って位置関係の測定,動態を把握するためのアプリケーションである。金マーカーが腫瘍近くに留置できないケースでは,呼吸によるマーカーと腫瘍の動きをできるだけ正確に把握することが治療成績の向上につながる。PhyZiodynamicsによる動態補完によって両者の距離の変化を精度高く測定することが可能になる。診療報酬では,定位放射線治療について10mmを超える腫瘍で,三次元的な各方向(xyz軸方向)に対してそれぞれ5mm以下の移動になることが治療前に計画され,照射時に確認された場合に,呼吸性移動対策加算が認められている。IGモーション測定を利用することで移動距離が正確に把握でき,加算算定のための一つの根拠になることをアピールした。
●3Dプリンタでの多色出力を可能にするOBJファイルに対応
Ziostation2では,3Dプリンタへの出力形式としてこれまでSTLに対応していたが,新たにOBJファイルに対応した。OBJでは従来の単色ではなく多色の出力が可能になり,フュージョンイメージなどグラデーションの表現による臓器モデルの作製などが可能になる。展示ではOBJファイルで出力された心臓の3Dモデルを紹介していた。