RSNA2017 ケアストリームヘルス - ヘルスケアIT
AIの画像解析アルゴリズムをPACSに統合して読影医の診断を高度に支援
2017-11-30
RSNA 2017 ヘルスケアIT
Carestream Health(ケアストリームヘルス)は,RSNAではX線撮影装置などモダリティの展示を行っているが,日本では2016年からヘルスケアITソリューションの提供に事業を注力していることから,今回のレポートでも数多く展示された製品,システムの中からPACSなどヘルスケアIT関連の製品にターゲットを当てて紹介する。
ケアストリームヘルスでは,ヘルスケアIT領域のソリューションとして医療連携や地域包括ケアシステムなどの統合的な情報システムの構築を視野に入れて“Clinical Collaboration Platform(CCP)”のコンセプトを打ち出して事業を展開している。CCPは,画像診断領域ではPACSの診断ビューワである「Vue PACS」,レポートシステムの「Vue Reporting」,Webベースのユニバーサルビューワ「Vue Motion」,そしてSLA(Service Level Agreement)の考え方に基づいて最適な検査の運用や管理を行うための「Worklist Orchestrator」を提供する。
昨年のRSNA 2016でW.I.P.として紹介されたWorklist Orchestratorは,製品として2017年にリリースされた。すでにアメリカ西海岸ロサンジェルスにおいて,大小40の施設を持ち,80名の放射線診断医が在籍し,年間150万検査を行うヘルスケアグループに導入されて運用がスタートしているという。Worklist Orchestratorでは,画像診断のSLA(品質保証)として,例えば頭部脳梗塞の症例であれば2時間以内に読影を行うというルールを設定し,その条件が果たせるようにグループ内での検査から読影までのワークフローを最適に管理する。グループ間を統合したWorklistを作成しタイムリミットを表示して,時間内でのサービスの提供をサポートする。そのために,グループ内の読影医同士が情報を共有し,密接な連携が可能なツールを用意している。
その一つがチャットと画面連携の機能で,読影医同士や外部の医師とのチャットによる連絡を可能にするだけでなく,画像データをリアルタイムに共有したディスカッションを可能にする。画面連携ではスクロールや拡大,アノテーションの挿入などが可能だ。
Worklist Orchestratorでは,読影までの時間や病院や読影医のサブスペシャリティに応じてSLAの設定を細かく変更する(コンフィグレーション)ことができるのも特徴だ。また,検査や診断の結果を分析するBusiness Analyticsの機能も搭載しており,病院の経営や方針の決定をサポートする。
また,ケアストリームヘルスは,機械学習やディープラーニングを用いた画像解析アルゴリズムを提供するゼブラ・メディカル・ビジョン(以下,ゼブラ)と提携しており,ゼブラの持つ画像解析アルゴリズムをPACSに搭載した。PACSでは,画像データを選択してゼブラの解析アルゴリズムを適用して結果を表示できる。次期バージョンでは,検査データを自動で解析し,病変があった場合にはPACS上でブックマークをつけ,ブックマークに連動した計測データをレポート側に展開するところまで自動化して,読影をサポートする機能を搭載する予定だ。
ゼブラでは10以上の画像解析アルゴリズムを構築しているが,そのうち“Bone Density”“Fatty Liver”“Emphysema”“Coronary Calcium”“Compression Fracture”はFDA承認済みとなっている。
ケアストリームヘルスでは,2018年末までに診断ビューワのVue PACSをゼロフットプリントとする予定で,今回紹介された機能もサーバサイドベースで実現されることになる。