RSNA2016 シーメンス- CT
ハイエンドクラスの「SOMATOM Drive」とコンピュータユニット一体型「SOMATOM go」を発表
2016-11-28
ハイエンドクラスの「SOMATOM Drive」
Siemens Healthineers(シーメンス)のCTのコーナーでは,日本国内では2016年8月に発表された「SOMATOM Drive」と,コンピュータユニット一体型というユニークな「SOMATOM go」(日本国内薬機法未承認)が発表された。2015年はCT発売から40年,デュアルソースCT(DSCT)発売から10年という記念すべき年であったが,今回のRSNA 2016の展示では,シーメンスCTの技術開発における次の方向性を示すような製品が発表されたと言える。
日本では2016年夏に発表されたDSCTであるSOMATOM Driveは,2016年3月の欧州放射線学会(ECR)で初めて発表された。DSCTのハイエンドクラス装置に位置づけられ,シーメンスの臨床・研究用DSCTである「SOMATOM Force」の技術が数多く投入され誕生した。新開発のハイパワーX線管である“Straton MX Sigma”を採用し,最大1.5A(750mA×2)の管電流設定ができる。これにより,低電圧撮影でも高画質を実現。被ばくと造影剤量の低減の両方が可能で,ルーチンでの低電圧撮影が実現できる。低電圧は,10kVごとに70~140kVの設定に対応し,検査内容により細かく設定を変更でき,被検者一人ひとりに最適な条件での撮影を行える。“Right Dose”というコンセプトの下,画質と被ばくのバランスを追究するシーメンスの姿勢を具現化した装置と言える。さらに,検出器には,SOMATOM Forceと同じ“Stellar infinity Detector”を採用。458mm/sというスキャンスピードを実現し,時間分解能75msの高速撮影が行える。これにより,心臓CTでは,高心拍の被検者でもβブロッカーを使用せず撮影を行え,ほかの部位の撮影においても静止が難しい小児や高齢の被検者に対する検査の適応拡大が可能となる。
ポジショニングや寝台移動などの操作は,ガントリー前面と後面のそれぞれ左右に取り付けられたタッチパネルで行え,直感的な操作ができることで,検査効率の向上にもつなげられる。
このSOMATOM Driveで採用されたタッチパネル方式の操作をさらに進化させたのが,今回のRSNA2016で発表されたSOMATOM goである。同機は,市中病院や診療所を主なターゲットとしている。その最大の特徴は,画像処理などを行うコンピュータユニットをガントリーの横に一体化させたこと。ガントリー前面に取り外し可能な大型タブレット端末があり,ポジショニングから撮影までの操作を行う。そのため,操作室とCT室の間を行き来することなく,ポジショニングから撮影までをCT室内で行え,マンパワーが不足している施設でも,効率的に安全な検査を施行できる。このほか,CT室の外側にコンソールを設けなくても,室内に防護用ガラスを用意することで撮影を行える“操作室レス”のレイアウトが可能である。操作室をなくすことできるため,省スペース化を図れ,設置面積の限られた施設にとって魅力的な装置だと言える。また,ガントリー内のフィルタの交換なども容易に行えるようにするなど,細かな配慮もされている。日本での導入時期は未定だが,2~16列CTからのリプレース需要に応える装置になると思われる。
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