RSNA2014 GE - MRI
日本発の3T MRI「SIGNA Pioneer」をはじめ,SIGNAを冠した新製品3機種を発表
2014-12-1
日本発の技術が投入されたSIGNA Pioneer(3.0T)
RSNA 2014[第1日目:11月30日]
サウスビルディングに設けられたGE Healthcareの広大なブースの中で,特に存在感を放っていたのが,MRIのコーナーである。今回は“SIGNA Returns”をテーマに,隣接するブースを使って,MRIコーナーを独立させる形で,新製品3機種ほか,計4機種を展示した。
新製品として発表されたのが,3T装置の「SIGNA Pioneer」,1.5T装置の「SIGNA Explorer」(ともに日本国内薬事未承認,FDA未承認),そして,PET/MRIの「SIGNA PET/MR」(日本国内薬事取得済)。テーマのとおり「SIGNA」のブランド名が復活した。以前同社は,MRIのブランド名に「SIGNA」を使用していたが,その後ほかのモダリティとともに,「Discovery」や「Optima」など,クラスに応じた機種名をつけていた。今後も,これらの名称は使用していくが,ブランド名として認知度の高いSIGNAを復活させることで,市場での存在感を示していく。このほか,「Discovery MR750w Expert 3.0T」(同デザイン機種:Optima MR450w Expert 1.5T)も展示した。
3T MRIの新製品であるSIGNA Pioneerは,日本のGEヘルスケア・ジャパンが開発。同社3T装置の中では,Discovery MR750w Expert 3.0Tが大学病院などの研究機関向けの装置であるが,SIGNA Pioneerは,一般病院のニーズにも応えられる製品として位置づけられている。その特長は,スループットの高さと設置面積が省スペースであることである。設置面積は,3T装置最小の29m2であり,1.5T装置からリプレースするような場合でも,MRI室の拡張や新設をする必要なく設置できる。1.5T装置からステップアップしたいものの,スペースを理由に断念していたユーザーには,最良の選択となる。
SIGNA Pioneerには,ユーザーが撮像後にシーケンスを任意に設定でき,スループットを向上させる画期的なアプリケーションが搭載された。“MAGiC(Magnetic Resonance iMage Compilation)”と呼ばれるこのシーケンスは,頭部領域の撮像において,T1WI,T2WI,T1 FLAIR,T2 FLAIR,STIR,プロトン密度(PD)の6つのシーケンスを1回のスキャンで行うことが可能である。これにより,従来T1WI,T2WIなど別個に撮像したものが,1スキャンですむため,検査時間を従来の半分程度まで大幅に短縮できる。施設によっては検査枠を増やすといったことも可能になる。ブース内では,MAGiCを体験するためのゲームコーナーを設けて,来場者にこの機能の優れた点をアピールした。
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また,ハードウエア設計は,日本発のきめ細かな配慮がされており,操作性や機能面でも使い勝手の良い,被検者に優しい装置となっている。寝台は,床から52cmのところまで下げられるため,乗り降りが困難な高齢の被検者の負担を軽減する。この寝台は,幅自体は従来機種と変わらないものの,可動幅が13cm広くなっており,被検者のポジショニングが容易になる。また,ガントリの開口径は70cmというワイドボア設計となっているのも,被検者の負担が少ないというメリットをもたらす。被検者に負担の少ない技術としては,同社独自の“SILENT SCAN”も可能である。
1.5T MRIのSIGNA Explorerは,ガントリ開口径60cmの1.5T装置における同社ラインナップの中では,最上位機種になる。寝台は固定と着脱両タイプがあり,SILENT SCANにも対応している。また,“3D-ASL”や局所励起の“FOCUS”が可能など,最上位クラスだけが採用していたアプリケーションが搭載されている。使用コイルは従来より軽量化を図っており,素材も柔らかく,被検者に負担をかけない検査となるよう,配慮がされている。
もう1つの新製品SIGNA PET/MRは,前回のRSNA2013でも参考展示された,同社発のPET/MRI装置。PET,MRIともに同社最上位機種を組み合わせている。PETは新開発のディタクタが採用されており,TOF-PETにも対応している。PET検出器の体軸方向幅が25cm,MRIの感度範囲は50cmとなっており,データの同時収集が可能である。Discovery MR750w Expert 3.0Tからのアップグレードにも対応する。アップグレードの場合は,ガントリの開口径が70cmから60cmに変更となる。日本国内での販売も予定している。
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Discovery MR750w Expert 3.0Tは,日本磁気共鳴医学会大会で紹介された最新ソフトウエア“DV25.0”が搭載された。注目は“DISCO”と“Turbo LAVA”という2つのアプリケーションである。DISCOは,1回の息止めで複数時相のダイナミックMR画像が撮像できる。Turbo LAVAはスキャン時間を従来の30〜40%程度短縮することが可能である。これにより被検者の負担を大幅に軽減する。また,SILENT SCANは,頭部のT1WI,T2WI,FLAIR,MRAに加え,DWIや四肢など整形領域にも対応した。
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