ITEM2024 PSP ブースレポート
クラウドPACS「NOBORI」を中心に,AIやPHR,遠隔病理診断など充実するサービスを紹介
- INFORMATION
- 取材速報
- report
2024-5-1
PSPブース
PSPはクラウドPACS「NOBORI」を中心に,人工知能(AI)やpersonal health record(PHR)などのサービスを紹介した。2022年4月1日にPSP(株)と(株)NOBORIが合併して新たなスタートを切ったPSPでは,技術やサービスなどPACSベンダーである両社それぞれの強みを生かして事業展開を進めている。新生PSPが発足してから2年が過ぎ,そのシナジー効果はクラウドPACSをはじめとしたシステム・サービスに現れ始めている。今回は,NOBORIのビューワとして,従来オンプレミスPACSで使用されてきた高機能DICOMビューワ「EV Insite R」が,専用アプライアンス「NOBORI-CUBE」から統合版DICOMビューワ「NOBORI Viewer」として利用できるようになったことをアピールした。このほかにもNOBORI Viewerは,読影を効率的に行うための機能強化を図っている。
また,ブースでは,クラウドサービスのプラットフォームである「NOBORI-PAL」も紹介した。ユーザーのニーズを踏まえてサービスを拡充している。その一つ「NOBORI PAL AI」はAIソフトウエアを提供するプラットフォーム。ユーザーは目的に応じてAIソフトウエアを利用できる。また,「NOBORI-PHRサービス」は,患者がスマートフォンから検査・処方などの情報を参照し,自身の健康を管理する。さらに,今夏を目途に提供を開始する予定の病理クラウドソリューション「NOBORI for Pathology」もアナウンスした。ブースではほかにも,遠隔画像診断のインフラ環境を提供する医知悟社のサービスもPRしていた。
●クラウドPACS「NOBORI」の統合版DICOMビューワ「NOBORI Viewer」
クラウドベースのPACSであるNOBORIについては,ビューワ「NOBORI Viewer」をアピールした。旧・PSPのPACS「EV Insite」のビューワ「EV Insite R」をアップデートし,統合版DICOMビューワ「NOBORI Viewer」とした。ユーザーから高機能が評価されていたEV Insite Rであるが,これまではオンプレミスPACSのビューワとして使用されてきた。これをLinux系OSの専用アプライアンス「NOBORI-CUBE」の「Viewer Report」から利用可能となった。これにより,従来のNOBORIユーザーもNOBORI Viewerで読影できる。さらに,NOBORI Viewerは機能も強化しており,新たに「Smart-Retrieve機能」を搭載。オンプレミスのサーバにある画像とクラウド上の過去画像を比較読影する際に,事前に過去画像をダウンロードしておくことで速やかモニタに表示。読影の効率化を図れる。
NOBORIは,万全のセキュリティ対策を施したデータセンター2拠点に,データを二重に保管。医用画像という重要な個人情報をセキュアに管理・運用できる。医療機関にとってはイニシャルコストを抑えて,ランニングコストとして毎月利用料を払うだけでDICOMビューワ,レポートシステムを使用でき,管理コストやサーバの設置場所,更新費用が不要となり、電気代も削減できる。医療機関は,データセンターと通信を行う「NOBORI Gate」など専用アプライアンスのNOBORI-CUBEを設置するだけでよい。さらに,NOBORIのシステムを用いて施設間での情報共有や遠隔読影,モバイルデバイスでの画像参照も行える。
●目的に応じてAIソフトウエアを利用できるクラウドサービス「NOBORI PAL AI」
「クラウド上に便利を集め,医療機関を支援したい」という発想から生まれたクラウドサービス「NOBORI PAL」は,NOBORIのセキュアな環境をベースに提供される。「PAL」とは「仲間」を意味し,PSPだけでなくアライアンス企業のアプリケーションなどが用意され,ユーザーは,ニーズに応じて必要なサービスだけ利用できる。今回のブースでは,NOBORI PAL AIを紹介した。NOBORI PAL AIは,その名のとおり,AIソフトウエアを提供するサービス。ユーザーはハードウエアの追加導入が不要で,月額利用料を支払うだけでよい。NOBORI PAL AIで利用できるAIソフトウエアは,2024年4月の時点で,エルピクセル社が提供する脳MRA画像から脳動脈瘤候補を検出する「EIRL Brain Aneurysm」,胸部X線画像から肺結節・浸潤影・無気肺・間質性陰影候補を検出する機能と各種自動計測機能を持つ「EIRL Chest Screening」,肺結節候補を検出する「EIRL Chest Nodule」,VUNO社が提供する胸部CT画像から肺結節候補を検出する「VUNO Med-LungCT」,コスモテック社が提供する間質性肺疾患の検出支援ソフトウエアの「BMAX」,キヤノンメディカルシステムズ社が提供する頭部CT画像での脳梗塞・脳内出血の診断を支援する「Stroke基本パッケージ」をラインナップしている。
●患者がスマートフォンから診療情報にアクセスできる「NOBORI-PHRサービス」
ブースでは,NOBORIのインフラを用いたNOBORI-PHRサービスも紹介した。医療機関が管理している処方情報や医用画像,そのほかの検査結果を患者自身がスマートフォンから参照できる。さらに,診療予約や通信履歴の管理も可能。待ち時間の表示も行え,患者のストレス軽減,待ち時間の有効活用につながる。ほかにも健康診査・人間ドックなどの結果も確認できるほか,医療費の後払いサービスにも対応する。医療機関にとっては,患者サービス向上につながる。例えば,聖マリアンナ医科大学病院は,このサービスをベースにした「マリアンナアプリ」を用意して患者に提供している。マリアンナアプリでは,患者が自身の医療情報にアクセスできるほか、体重や歩数などの健康情報も参照可能で,健康管理に役立てられる。外来待ち時間や駐車場の混雑情報の確認,後払い会計も可能である。
●病理クラウドソリューション「NOBORI for Pathology」を新たに提供
NOBORIでは,放射線,内視鏡,超音波の各検査画像の保管を行っているが,今夏を目途に新たに病理画像も可能になる。病理画像をセキュアな環境で外部のデータセンターに保管することでデジタル化を図り管理コストの削減を図れる。また,専用のビューワを用意するほか,放射線検査画像をはじめとした検査画像との統合的な診断が可能。外部の病理医との症例を共有してコンサルテーションを受けられるほか,遠隔病理診断も提供する。さらに,将来的にはAIによる画像解析のサービスも展開する予定である。
●遠隔画像診断のインフラ環境を安全,かつ容易に構築できる医知悟社の「iCOMBOX」
ブースでは関連企業の医知悟社が提供する遠隔画像診断のためのインフラ環境も紹介した。医知悟社の「iCOMBOX」は,DICOMサーバ,過去画像自動検索・添付,ビューワ,レポート,Webサーバ,依頼送受信管理,匿名化・暗号化・圧縮転送,通信セキュリティ対策,月次読影料集計といった遠隔画像診断に必要な機能を有している。筐体は,115mm(W)×111mm(D)×51mm(H)のコンパクトな設計で,重量もわずか1.2kgに抑えている。さらに,施設内の閉域網用とインターネット用にネットワークインターフェイスカード(NIC)を2枚搭載。物理的にネットワークを切り分けることで,セキュアな環境を実現している。また,内蔵ストレージにはSSDを採用しており,高い耐障害性を有している。海外での利用も可能だ。
●お問い合わせ先
社名:PSP株式会社
住所:〒108-0075 東京都港区港南一丁目2番70号 品川シーズンテラス 25階
TEL:03-4346-3180
URL:www.psp.co.jp