ITEM2024 富士フイルム 取材速報
CT,MRIの新製品を中心に画像解析をコア技術として進化を続けるモダリティ,ソリューション群をアピール
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2024-4-14
展示ホールCとDにまたがる
広大な富士フイルムグループブース
富士フイルムグループは,富士フイルム(株),富士フイルムメディカル(株),富士フイルムヘルスケア(株),富士フイルム医療ソリューションズ(株)の4社合同でブースを構成し,展示ホールCからDに渡る広大な展示スペースを構えた。2023年と同様にブース内をモダリティやシステムごとにA(読影ソリューション)からN(デジタルX線TVシステム)まで14のカテゴリーに分けて展示した。ITEM 2024に向けては,同社がアドバンテージを持つ画像処理技術を核に新製品を矢継ぎ早に発表した。画像診断機器を扱うメディカルシステム事業は,今年の夏(7月1日)に向けて国内の組織再編が進められているが,ITEM 2024では富士フイルムのメディカルシステム事業の融合とさらなる進化を感じさせる展示となった。
広大なブースの中央かつ最前面にフィーチャーされたのが,MRIとCTの新製品群だ。なかでも来場者の注目を集めたのが,完全ゼロヘリウムを実現した1.5テスラ超電導MRI「ECHELON Smart ZeroHelium」と,CTに“F”ujiの頭文字を冠した64列128スライスCT「FCT iStream」で,ステージではコンセプトを紹介するプレゼンテーションが繰り返し行われた。
ITEM直前の4月8日に発売されたECHELON Smart ZeroHeliumは,独自の磁石構造を採用することでゼロヘリウムを実現している。超電導状態を維持するための冷媒であるヘリウムを使わずに独自の冷却方式を採用することで,排気管などの機構が必要なく,設置性を高めているほか,クエンチなどのトラブルのダウンタイムを削減してメンテナンス性を高めて安定稼働を実現する。また,ワイドボア1.5テスラの「ECHELON Synergy」には,新たに被検者の体動を検知するSynergy Visionが搭載された。被検者の体動を検知して体動の影響のあるデータを除去することでアーチファクトを抑制した画像を提供する。
CTではFCT iStreamのほか,体動アーチファクトの低減技術や検査をサポートする自動化機能を強化した64列CT「SCENARIA View Plus」を展示した。FCT iStreamは,画像処理機能「IPV」,検査効率向上技術「SynergyDrive」を搭載し,3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」の基本機能を採用して,高速,高精細な画像検査を効率的なワークフローで実施できる。SCENARIA View Plusの「StillShot」は,胸部領域の撮影時に適用可能で非剛体位置合わせによって4次元の動きのベクトルを算出して適応することで,体動アーチファクトを低減する。また,自動化機能として自動ポジショニング機能AutoPositioningとスキャン範囲自動設定機能AutoPoseの適用対象が拡大されたことも紹介した。
ITEM直前にリリースされたデジタルX線画像診断システムの新製品「FUJIFILM DR BENEO-Fx」を展示した。BENEO-Fxは,懸垂器部分に12インチの大型液晶モニタを搭載し,各種情報の視認性を高めたほか,コリメータ部分に搭載したカメラの映像を利用したカメラアシスト機能によって位置決め操作をサポートする。体動表示・通知機能を搭載しており,ポジショニング時の静止画とライブ映像の差分を表示して体勢の変化を通知することで再撮影のリスクを軽減する。X線撮影システムでは,そのほかにも1台でX線透視撮影と一般X線撮影が可能なX線画像診断システム「CALNEO Beyond」を,X線骨密度測定装置「ALPHYS LF」と組み合わせたスタイルで展示した。ALPHYS LFは,一般X線撮影システムの撮影台との組み合わせが可能であり,一室で撮影,透視,骨密度測定が可能なことをアピールした。
デジタルX線TVシステムのコーナーでは,2022年に発売されたデジタルX線透視撮影システム「CUREVISTA Apex」を展示した。内視鏡検査・治療に特化したX線TVシステムの最上位機種で,X線管を搭載したアームが縦・横だけでなく,斜め方向にも稼働することで,患者を載せた天板を動かすことなくターゲットを確認して手技を行うことができる。術中の画像を確認するための検査室内の液晶モニタは天吊りのモニタアームを設置する必要があるが,新たに装置の背面に支柱を取り付けた「セキュアアーム」の機構を搭載した。これによって天井の工事が難しい場合にも対応できることをアピールした。
「AMULET SOPHINITY」は,AI技術を活用して開発したプロジェクション機能「Positioning MAP」や「ポジショニング解析機能」で再現性の高いマンモグラフィ撮影をサポートする同社のデジタルマンモグラフィシステムの最上位機種であり,昨年のITEMで発表された。今回の展示では,11月にリリースされた専用オプション「AMULET SOPHINITY バイオプシーユニット」を紹介した。トモシンセシスバイオプシーに対応しており,生検針を装着するニードルホルダーに傾斜をつけることでトモシンセシス画像撮影の際の針の重なり低減して視認性を高めるなど,トモシンセシスバイオプシーのワークフローを改善しているのが特長だ。
超音波診断装置では,肝臓の脂肪量を定量的に評価する「ATT(iATT)」を搭載した「ARIETTA S750」を展示した。iATTは,超音波の減衰を利用したAttenuation Measurement(ATT)で肝脂肪化の程度を定量的に計測する機能で,減衰計測方式の見直しやガイドグラフィックの追加などで計測精度や解析フローの改善を図った。iATTは,MRI-PDFFやフィブロスキャンの測定結果との相関性が高く,非侵襲的に簡便に脂肪肝の評価が可能な方法である。iATTを搭載したARIETTA S750は,「超音波の減衰量を非侵襲的に計測し,肝臓の脂肪量を評価するための情報を提供するもの」として医療機器製造販売承認を取得している。組織の硬さを評価する機能「Shear Wave Measurement」も搭載し,肝線維化の評価を含めて肝臓の総合的な評価を可能にする。
読影ソリューションコーナーでは,AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」の最新バージョンであるVer2.4と,ビューワと連携して読影ワークフローを支援する新しい読影レポートシステム「SYNAPSE SAI Report」を展示した。ビューワとレポートシステムが連携して,ハイパーリンクによる過去画像の表示や,ビューワでの解析結果や所見候補文からのレポート作成など,読影や所見作成を支援する機能を紹介した。SYNAPSE SAI viewer Ver2.4では,周辺組織と比較して高吸収あるいは低吸収の領域を強調表示する「SAIフィルタ」の対象臓器が拡大しており,肺動脈低吸収値強調フィルタ,膵臓吸収値強調フィルタなどが搭載された。また,SYNAPSE SAI viewerで三次元データを扱い,大動脈瘤の長径・短径を簡便に計測することが可能な「大動脈ビュー」も搭載された。
3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」は,最新のVer7.0で追加された新機能を中心に紹介した。Ver7.0では,“Opening New Stage”として,従来の3D解析機能から術前支援や放射線治療,さらに同社のCTやMRIのコア解析機能として,新たなステージへと展開する機能やアプリケーションを搭載する。新しいアプリケーションとして,「脳脊髄液腔解析」,「椎弓根シミュレーション」「CRT症例検索」を紹介した。脳脊髄液腔解析は,ハキム病〔特発性正常圧水頭症:idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus(iNPH)〕に関連する脳の領域を自動でセグメンテーションして体積比を算出して,診断に寄与することが期待される。そのほか,手術シミュレーションの支援として,サーフィスレンダリングに新しいレンダリング技術を採用,「+肝臓変形機能」では切除結果を術前に3D画像で確認できるなど,より臨床に即した機能が強化されている。
診療放射線技師支援ソリューションのコーナーでは,富士フイルム医療ソリューションズの放射線治療部門情報システム「RADISTA TheraRIS」を展示した。ShadeQuestブランドで提供してきたTheraRISを,新しいRADISTAシリーズの製品としてリニューアルし,Simple&Qualityのコンセプトの下,視認性や操作性を高め,より放射線治療におけるチーム医療を支援するソリューションとしての機能や使い勝手を向上した。富士フイルムのデザインセンターとともに画面デザインを一から見直し,よりシンプルでわかりやすく情報を表示して,安全で正確な治療業務を支援する。長期にわたり複雑で多職種がかかわる放射線治療の業務を,職種ごとの業務を時系列で表示するワークフロー表示も,視認性が向上してさらに使いやすくなり,多職種連携を支援する。
●お問い合わせ先
社名:富士フイルムメディカル株式会社 営業本部マーケティング部
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル
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社名:富士フイルムヘルスケア株式会社
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