ITEM2024 アキュレイ ブースレポート
「Radixact」システムに「Catalyst+HDシステム」を統合した「VitalHoldパッケージ」が追加,セットアップ効率化や深吸気息止め(DIBH)照射サポートなどをアピール
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2024-5-8
アキュレイブース
アキュレイは,放射線治療機器「Radixactシリーズ」やロボット放射線治療機器「CyberKnife S7シリーズ」,両シリーズに対応する放射線治療計画装置「Accuray Precision治療計画システム」を展開する。これらの装置には,動体追尾機構「Synchrony」やヘリカルkVCTイメージングシステム「ClearRT」,治療高速化オプション「VOLO Ultra」などの有用なオプションがあるが,2023年11月に「VitalHoldパッケージ」が新たなオプションとして加わった。VitalHoldパッケージは,Radixactシステムに「Catalyst+HDシステム」(C-RAD社)を統合した体表面誘導放射線治療(SGRT)ソリューションで,高精度位置合わせにより患者セットアップの効率化や左乳がん放射線治療時に行う深吸気息止め(DIBH)照射のサポートが可能になる。ブースでは,VitalHoldパッケージやAccuray Precision治療計画システムを中心に紹介した。
●高い基本性能を持つトモセラピーの最新プラットフォームRadixact
Radixactは,CTスキャナと放射線治療システムを統合したデザインのトモセラピーの最新プラットフォームで,高度に制御されたX線ビームと専用設計されたバイナリーマルチリーフコリメータ,CTrueイメージング技術により,個々の治療ニーズに応じた幅広い患者への治療を提供する。「TomoHelical」と「TomoDirect」の2つの照射モードがあり,TomoHelicalはガントリを毎分10回転させて360°全方向から照射し,TomoDirectはガントリを固定したまま固定多門照射する。また,最大40cm×135cmのビーム照射野により,1度の位置合わせで継ぎ目なく全身照射が可能である。さらに,寝台の周囲を小型加速管とバイナリーマルチリーフコリメータが連続回転しながら照射し,バイナリーマルチリーフコリメータを圧縮空気による駆動で高速開閉させることで照射ビームを多数の細かいビームレットに分割する。
さらにRadixactは,SynchronyやClearRTヘリカルkVCTイメージングなどのシステムがオプションとして搭載可能である。サイバーナイフシステムで培ったアキュレイ社独自のトラッキング技術を応用したSynchronyは,患者の体表面にLEDマーカを装着,シンクロニーカメラでLEDマーカの移動をモニタし,呼吸位相を特定する。kVビームで画像撮影を行い治療標的の位置を同定,コリメーションシステムが治療ビームをリアルタイムで同期する。TomoHelicalモードでのみ使用可能で,標的の認識が難しい場合はフィデューシャルマーカーを使用する。また,ClearRTヘリカルkVCTイメージングは,ファンビームを使ったRadixact独自のハードウエア技術であるガントリの連続回転とカウチの連続動作機構によるヘリカルイメージング機能である。アーチファクトや歪みを低減し,再現性が高く鮮明で軟部組織の描出にすぐれた画質が得られ,撮影時間と画像位置照合時間を短縮し,治療スループットを改善する。
●Catalyst+HDシステムを搭載するVitalHoldパッケージがオプションとして追加
Radixactに新たにオプションとして追加されたのが,Catalyst+HDシステムを搭載するVitalHoldパッケージである。Catalyst+HDシステムは,天井に3台のカメラ(スキャナ)を設置して可視光を患者の体表面に投影し,カメラで計測・解析して距離や身体の移動,変形などを把握する。可視光を利用するため,被ばくすることなく患者の状態を高精度に観察できる。剛体に対して0.5mm以内のポジショニング精度と1mm以内のモーション検出精度(治療中に治療台に固定されている場合)をリアルタイムで維持し,また6自由度のアイソセンタ変位における非剛体変形モデルを採用,安定したアイソセンタ精度を確保する。これにより,患者セットアップの効率化や照射中の患者モニタリングによる安全な照射を実現する。さらに,TomoDirect治療照射モードを使用し,自動的にゲート制御を行うことでDIBH照射を支援する。SynchronyやClearRTにVitalHoldパッケージが加わることで,Radixactはより施設の特性に応じたシステム構築が可能になり,さらに幅広い放射線治療の選択肢を提供できる。なお,VitalHoldパッケージは新規施設のほか,Radixactをすでに導入している施設にも展開を図っていく。
●リアルタイムな位置補正と高精度な照射が可能なサイバーナイフシステム
サイバーナイフシステムは,ロボットマニピュレータと軽量の小型直線加速器を用いて設計され,高精度と自由度を兼ね備えたロボット放射線治療機器で,リアルタイムな位置補正や高精度な照射,ワークフローの高速化を特長とする。動体追尾機構Synchronyにより自由呼吸下での治療が可能になり,患者の身体的負担を軽減するほか,内的標的体積(ITV)マージンを削減する。また,ロボットが自動で位置ズレの検出と補正を行い,標的を中心に360°球体で空間をとらえ,サブミリメートルの照射精度で標的に高線量を集中させるため,再照射や緩和治療も含む多様な治療に対応可能である。さらに,高線量のピンポイント照射により複雑な照射を実現,治療期間を短縮する。
●最適な治療計画を作成するAccuray Precision
これらのシステムを用いた放射線治療の基礎となるのが,治療計画システムAccuray Precisionである。Accuray Precisionは,治療計画の質の高さと治療時間の短縮を両立する「VOLO最適化アルゴリズム」を搭載。直感的に使用できるインターフェイスや入力パラメータの簡素化,コンツーリング機能の強化などにより,個々の患者に対する最適な治療計画を効率的に作成できる。Radixactとサイバーナイフの両方の装置での治療計画を作成,比較し,より適切な装置を選択することが可能である。「PreciseRTX リトリートメントプログラム」は,アキュレイ社以外のシステムからも患者データをインポートし,前回治療の輪郭を新しい治療計画CT上に変形させ,輪郭変形と線量ワーピングにより以前の線量を新しい治療計画CT上に描出する。また,Radixactシリーズ用の「PreciseART」では,オリジナルの治療計画から自動変形した輪郭をMVCT画像上に生成,分割ごとの照射線量や線量統計量,積算照射線量をカスタマイズ可能なレポートでレビュー可能である。さらに,VOLO Ultraは,RadixactのTomoHelicalとTomoDirectの両照射モードの治療計画を最適化する。パラメータの自動設定ツールや重み付きコスト関数最適化を用いたプランニング手法により,VOI(Volume Of interest)の重要度やオーバーラップの優先度を設定する必要がなくなり,ピッチ選択の自動化と治療時間の短縮オプションにより,高品質な治療計画を迅速に作成することが可能になる。ブースでは,昨年に引き続きAccuray Precisionのデモ操作が行われた。
●お問い合わせ先
社名:アキュレイ株式会社
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル7階
TEL:03-6265-1544
URL:https://www.accuray.co.jp/