ITEM2019 富士通 ブースレポート
診療情報の一元管理と参照を可能にする「HOPE LifeMark-VNA」など業務効率化を支援するソリューションを展示
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2019-5-7
富士通ブース
富士通は,医療・介護・健康分野のデータ利活用を推進するヘルスケアICT基盤「Healthcare Information Suite」として,多くのソリューションをラインアップしているが,ITEM2019では,その中から放射線領域の画像診断や検査業務を支援するシステムをピックアップして展示した。電子カルテシステムでは国内トップシェアの富士通だが,データの利活用をより一層進めるため,ベンダーや画像種別にかかわらず一元管理を可能にするvendor neutral archive(VNA)として「HOPE LifeMark-VNA」を展示した。また,電子カルテシステムとの親和性を生かし,データ連携によって業務効率化や医療安全の向上に寄与するPACS「HOPE LifeMark-PACS」,RIS「HOPE DrABLE-GX」,治療RISの「HOPE LifeMark-治療RIS」などの部門システムを紹介した。そのほか,富士通の先進技術を生かした医学教育ツール「Heart Explorer」や,RISと連携して待ち時間を有効活用を可能にする「部門案内表示ソリューション」をPRした。
●部門システムの画像情報を一元管理する「HOPE LifeMark-VNA」
「HOPE LifeMark-VNA」は,電子カルテシステムのトップベンダーである富士通が提供する,部門システムの画像,レポート,文書データを集約し,一元管理が可能な環境(vendor neutral archive:VNA)を構築するソリューションである。昨年のITEM2018では“仮称”として参考出展されていたが,昨秋に製品化され正式に展示された。HOPE LifeMark-VNAは,電子カルテのデータベースに加えて,部門システムの画像,レポート,文書データを統合する“統合ストレージ”と,DICOMを含めてあらゆるフォーマットに対応して画像参照を可能にするゼロフットプリントビューワの“ユニバーサルビューア”で構成される。ユニバーサルビューアは,富士通の電子カルテ(HOPE EGMAIN-GX)のマルチウィンドウに埋め込んで表示することが可能で,電子カルテの診療情報と各種画像データを同時に参照しながら診療ができる。ユニバーサルビューアでは,表示レイアウトをユーザーが設定でき,病院共通と個人用でそれぞれ100件が登録できる。
また,診療科で発生するデジタルカメラや内視鏡,超音波診断装置などの画像を,電子カルテに取り込む「HOPE EGMAIN-GX PORTライブラリ」も展示した。電子カルテ端末で該当患者のカルテを開いて画像を取り込むことで,自動的に患者情報を紐付けて保存される。これらのデータをHOPE LifeMark-VNAへ登録することも可能になっている。
●電子カルテとの高い親和性で業務を支援するPACS,RISの機能をPR
富士通は,PACS・RISについても病院の規模に応じた豊富なラインアップをそろえている。今年のITEM2019では,その中から大規模病院向け電子カルテシステム「HOPE EGMAIN-GX」と連携する,PACSの「HOPE LifeMark-PACS」,RISの「HOPE DrABLE-GX」などを展示。また,中規模病院向けとしては,電子カルテPACSオプションとして「HOPE EGMAIN-LX 生体・画像オプション」を紹介した。
HOPE LifeMark-PACSは,横河医療ソリューションズと共同開発されたPACSで,専業ベンダーの開発による画像保管,表示,レポーティングの高い機能と,富士通が得意とする電子カルテとの密な連携機能によって,快適な読影環境を提供する。ビューワやレポート作成画面からワンクリックでカルテが起動できる。ビューワ機能としては,画像自体の類似度で同一スライスを判断して自動位置合わせを行う“画像認識位置合わせ”や,トモシンセシスにも対応するマンモグラフィ機能を標準搭載する。また,富士通独自の機能として,ビューワ上で見たい領域だけを画面を切り替えずに3D化する“ROI VR”を搭載している。関心領域を矩形で選択し,右クリックメニューからROI VRを選択することで,矩形内にVR画像が作成される。肺野や骨といった条件の変更も可能で,読影補助や患者説明に利用できる。
「HOPE DrABLE-GX」は,放射線部門における受付から実施入力をサポートするRISで,電子カルテのHOPE EGMAIN-GXとの親和性を高めて,業務の効率化,医療安全などをサポートする。電子カルテシステムとデータベースを統合し,マスタメンテナンスなどの負荷や手間も軽減されている。今回の展示でアピールされたのが,プレチェックなどの医療安全,業務効率化の機能である。プレチェックは,依頼された検査について放射線科医が検査前に撮像指示や検査内容のチェックを行う機能。造影パターンや撮像方法などが簡単に入力できる。撮像前指示でコメントがある場合には,検査の際に診療放射線技師が確認する画面に“撮像前指示が登録されています!”というアラートが出て確実に確認できるようになっている。また,富士通の電子カルテであれば,HOPE DrABLE-GXで修正した患者プロファイル(例えば造影剤アレルギーなどの禁忌情報など)が電子カルテ側のプロファイルに反映される機能も利用できる。
●安全で確実な放射線治療業務をサポートする「HOPE LifeMark-治療RIS」
「HOPE LifeMark-治療RIS」は,横河医療ソリューションズと連携して電子カルテとの親和性を高めた放射線治療業務支援システムである。治療RISとして患者や予約情報,照射情報の管理などの高い機能を持つことはもちろんだが,電子カルテとの連携機能として治療RISのさまざまな画面から連携ボタンでカルテ情報をワンクリックで起動して参照でき,必要な情報を即座に確認,共有して治療業務を進めることができる。1画面に情報を集約し,タブ切り替えで必要な情報をまとめて参照できる画面レイアウトを採用しているほか,JASTRO集計など学会集計に対応する集計機能で業務を支援する。また,オプションとして線量分布図を参照できる「RTビューア」を用意しており,カンファレンスや診察時の患者説明などに活用できる。
●心臓シミュレータや患者案内表示システムなど周辺ソリューションも出展
心臓シミュレータのデータを元にVR技術を使って心臓の動きや血液,電位などを視覚化する医学教育ツール「Heart Explorer」を展示した。通常では観察不可能な拍動した状態での心筋など内部の動きや血流,心電図などを可視化できることが特長で,VRディスプレイ「zSpace」と組み合わせてVR表示が可能になる。今回は,教育・研究用としてユーザーから提供されたCT/MRIなどのデータを用いて“Heart Simulation”(Heart Explorerで観察できる三次元モデルを作成するツール)で心臓モデルを再現する受託解析サービスを開始していることも紹介した。
部門案内表示ソリューションとして,患者案内表示システムやモバイル呼出システムを展示した。RISと連携して受付情報や検査時間などを表示するシステムだが,ディスプレイを使った案内だけでなく,LINEやメールなどを利用したモバイル患者呼出システムも提供している。これによって患者が待合室で常に待つ必要がなくなり,待ち時間の有効活用などサービス向上が期待できる。URLのリンクから検査の注意事項や院内地図などの情報提供も可能になっている。
●お問い合わせ先
社名:富士通株式会社
住所:東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
TEL:03-6252-2572
URL:www.fujitsu.com