クライムメディカルシステムズ ブース

PACSやワークステーションなどを手がけるクライムメディカルシステムズは，今回新製品となる放射線治療用のビューワ「Climb RT Viewer」を初披露した。CD作成機能などを搭載しており，同社のシステムらしい使い勝手の良さが特長である。また，主力製品であるマンモグラフィ専用画像診断ワークステーション「mammary」は，昨年乳房トモシンセシスに対応したが，今年はさらにその機能のブラッシュアップを図ったことをアナウンスしていた。併せてレポート作成などを行える「mammary manager 8」も紹介。さらに，整形外科向けのプランニングソフトウエア「OrthoView」のデモンストレーションも行われ，フィルムレス環境においてニーズが高まっている整形外科領域の手技を支援するツールとして，来場者の関心を呼んでいた。
このほか，マルチモダリティ医療用画像表示システム「Radiology-Viewer」，循環器系動画像表示システム「Cardiovascular-Viewer」なども紹介していた。（4月12日取材）

●需要が増えている放射線治療に対応した専用のビューワのClimb RT Viewer

Climb RT Viewerは，
CT画像とRTデータを重ね合わせて表示

「がん対策推進基本計画」をはじめ，わが国では国を挙げてがん診療の強化が進んでいるが，その中で放射線治療も年々件数が伸びている。こうした状況を踏まえて，同社では，放射線治療に特化したビューワClimb RT Viewerを新開発。ITEM会場で初披露した。
Climb RT Viewerは，「院内の誰でも！　どこでも！簡単に！　閲覧でき，安価導入！」をうたう，低コストで使い勝手の良さを特長とするビューワ。DICOM Storage，DICOM Q/RなどDICOM規格に対応し，専用サーバを導入することなくPCにソフトウエアをインストールするだけで，CT画像をPACSやモダリティから読み込んで表示させることができる。これにより医療機関は安価での導入が可能となる。さらに，RT Dose，RT Structure Set，DVHといったRT情報を表示させ，CT画像とRTデータを重ね合わせて観察することが可能である。
また，CD作成の機能を搭載しており，治療データと簡易ビューワソフトウエアを収録することで，別の医療機関でも参照可能である。これにより患者が転院した際に，転院先の医師は，CDから照射実績を参照して，治療再開時の参考にできる。

低コストで放射線治療の施設間連携も容易にするClimb RT Viewer

●トモシンセシス機能のブラッシュアップを図ったmammary

マンモグラフィ専用画像診断ワークステーションのmammaryは，表示サイズや順番などをユーザーのニーズに合わせて6種類設定できるリーディングプロトコールを持つ，ユーザーフレンドリーな機能が特長である。2013年のITEM時にトモシンセシス画像の表示にも対応したことがアナウンスされ，オプション機能“mammary tomoco”として提供されている。この機能は，各社のトモシンセシス撮影装置に対応している。
今回は，スライスレベルでのDICOM送信機能を追加して，臨床医のニーズに応えた。任意のスライス画像を選択して送信できるほか，マルチフレームデータをシングルフレームに変換して送信することも可能。さらに，2D画像とトモシンセシス画像の並列表示なども行える。
また，mammary manager 8は，前回のITEMで超音波診断装置の所見入力に対応することが紹介されたが，その後正式に搭載され，今回は製品版としてデモンストレーションが行われた。フリーテキストでの入力のほか，チェック形式で項目を選択してレポートを作成できる。また，“技師1次，2次，医師1次，2次，最終”のように，最大5つのレポート入力を可能にして，施設の運用に柔軟に対応。マンモグラフィと超音波診断装置それぞれの読影レポートは，最終的に総合レポートとしてまとめることができる。

年々機能を強化しているmammary

各社の装置に対応するmammary tomocoでの トモシンセシス画像表示	快適な操作性を持つmammary専用のキーパッド
6種類の画面表示が可能なmammaryの ハンギングプロトコール	チェック式で効率的に入力できる mammary manager 8の 超音波診断装置のレポート作成画面
マンモグラフィ（左）と超音波診断装置の 総合レポート

●OrthoViewによる整形外科の手術プランニングを提案

前回のITEMでも展示されていた整形外科向けのプランニングソフトウエアであるOrthoViewのデモンストレーションが行われた。従来，整形外科領域の人工関節置換術などでは，術前に行う角度や長さの計測をフィルム上で行っていたが。医療機関内でのPACSの導入が進んだことによって，システム上で処理したいというニーズが高まっている。OrthoViewは全世界で2000施設以上に採用されているソフトウエアであり，簡単な操作で整形外科領域の術前プランニングが可能である。独自のウィザード機能により，角度の計測やインプラントの位置合わせなどの処理が，項目を選択していくだけで自動的に行えるようになる。人工股関節全置換術用のウィザード“Smart Hip”を使用した場合，60秒以内にプランニングが完了する。
ソフトウエア内に収録されているインプラントの種類は1万5000以上であり，ユーザーの要望に応じて追加していくという。

世界中での豊富な実績を持つOrthoView

ウィザード機能により計測処理などが自動で可能