JRC2013 合同シンポジウム 2
Computer-aided Diagnosis
 コンピュータ支援診断

2013-4-14


土井邦雄氏(シカゴ大学名誉教授・群馬県立県民健康科学大学)

土井邦雄氏
(シカゴ大学名誉教授・
群馬県立県民健康科学大学)

4月13日(土)の13時から,合同シンポジウム 2「Computer-aided Diagnosis
:コンピュータ支援診断」がメインホールで開催された。司会は,大友 邦氏(東京大学)と 杜下淳次氏(JSRT大会長・九州大学)が務めた。

放射線医学の主要なテーマの1つとして挙げられるCADは,欧米ではすでに画像診断法として認知され,普及しているが,わが国では,2005年に認められたマンモ領域への適用以来,承認はされておらず,長い間の空白が問題視されてきた。その間も,さまざまな領域において,研究・開発は続けられており,最近ではPACSやワークステーションの画像処理機能の1つとして搭載されるケースも増えている。本シンポでは,わが国におけるCADの現状(マンモ, 胸部写真,CTC,抗癌剤治療効果判定)と,普及に向けた産業界の取り組みについて,6名の演者から報告された。

司会:大友 邦氏(東京大学)と 杜下淳次氏(JSRT大会長・九州大学)

司会:大友 邦氏(東京大学)と,
杜下淳次氏(JSRT大会長・九州大学)

 

まず最初に,長年シカゴ大学で世界のCAD研究をリードしてきた土井邦雄氏(シカゴ大学名誉教授/群馬県立県民健康科学大学学長)による基調講演が行われた。
CADは,コンピュータによる病変検出を第2の医師の眼として,医師と相互に助け合って診断能の向上を図るものと定義し,もしかすると見落とすかもしれない病巣の検出にこそ役立つとした。
米国では,1998年にマンモCAD,2001年に胸部写真のCADが製品化され,2003年には保険収載されて乳がんのスクリーニングに使用されているという。その結果,乳がんの検出率が約20%向上したというエビデンスも報告されている。
今後,5年後のCADはどうなっているか? (1) パフォーマンスは改善される,(2) PACSやWSに組み込むことが増える,(3) データベースを利用し生涯教育に役立てられる,保険点数がつき標準的な診断法になる,と予想。CADは医療に大きなインパクトを与えるだろうと述べた。

基調講演
Computer-aided Diagnosis in Medical Imaging: Current Status and Future Potential
コンピュータ支援診断の現状と将来の可能性
土井邦雄氏(シカゴ大学名誉教授・群馬県立県民健康科学大学)

1.Recent Progress and Issues on CAD Research and Development from a Technical Point of View
研究開発の立場からみた現状分析と課題
藤田広志氏(岐阜大学大学院医学系研究科)

2.Expectation and Problems for Mammographic CAD
Mammography における CAD への期待と課題
遠藤登喜子氏(名古屋医療センター臨床研究センター)

3.Improved Detection of Lung Nodules on Chest Radiographs with a Newly Developed Software Program
胸部写真における最新の CAD の可能性
松迫正樹氏(聖路加国際病院放射線科)

4.Problems and Promise in CAD for Effective CTC
CTC における CAD への期待と課題
飯沼 元氏(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)

5.Usefulness of Automated Image Analysis System on Evaluation of Efficacy of Chemotherapeutic Agents
抗がん剤治療効果判定における自動画像解析装置の有用性
荒金尚子氏(佐賀大学医学部血液・呼吸器・腫瘍内科)

6.CAD の普及に向けて:産業界からの提言
諸岡直樹氏(JIRA)

 

(注)詳細は,月刊インナービジョン6月号「JRC2013特集」に掲載予定です。


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