東京大学・キヤノン・キヤノンメディカルシステムズが産学協創協定を締結
東京大学での医療分野初の産学協創協定で未来社会が求める医療の実現を目指す
2023-11-7
国立大学法人東京大学(以下「東京大学」)とキヤノン(株)(以下「キヤノン」)キヤノンメディカルシステムズ(株)(以下「キヤノンメディカル」)は産学協創協定を2023年11月7日に締結する。
この協定は「“個々人のQuality of Lifeを最大化し病とも共生する社会の実現”~個別化医療の社会実装で多様な社会・医療要請を解決~」を共通ビジョンとして個々人に見合った最適な医療の提供を通しWell-Being(心身ともに満たされた状態を表す概念)な社会の実現を目指すもの。東京大学が進める産学協創協定においては初となる医療分野をテーマに取り組む。
背景と狙い
社会・医療を取り巻く環境は急速に変化し少子高齢化や疾病構造の変化医療従事者自身の高齢化と働き方改革医療提供の均てん化医療費の増大など多くの課題を抱えている。加えて患者・家族も含めた診療方針決定への参加個々人の多様な生き方にも応える高度な個別化医療の提供患者のQuality of Life(以下QOLと略記。人生や生活の質生きる上での満足度を表す指標)の更なる向上一人ひとりの病気の特性と人生観にあった医療を受けられるプレシジョン・メディシン※実現への期待など医療への要望は高度化かつ多様化している。
人生100年時代を迎え20世紀で重視されていたモノの豊かさを超えてWell-Beingが重要視されている今従来の視点に加え市民目線も取り入れ患者やその家族と医療従事者が共に創る未来の医療が提供する新たな社会価値が求められている。本産学協創では市民目線と科学的・医学的エビデンスの両立実現を目指すテーマに取り組みWell-Being実現に貢献していく。
東京大学は世界の公共性に奉仕する大学として本学が有するあらゆる分野の英知を結集し健康経済格差ジェンダー平等エネルギー資源循環などの人類社会が直面する地球規模の課題に取り組んでいる。医療分野においては臨床の現場として東京大学医学部附属病院を有し世界最高峰の医療を社会に提供してきた。これに加え医療現場で交わされる対話を通じて市民目線を取り入れるとともに将来必要となる医療システムの在り方をバックキャストし医学工学人文科学等を含めた学際的な視点から総合的な議論を進めている。これからも新たな医療技術・医療システムを創生し臨床的意義の高い標準的な医療の早期導入に向けた取り組みを続けていく。
キヤノングループではキヤノンの光学技術や画像処理技術とキヤノンメディカルが持つ画像診断技術・ソリューションを融合し画像診断を核としてヘルスケアITやバイオサイエンスなどの新たな領域へ事業を拡大しながら効率的な医療を実現する技術の提供を目指している。プレシジョン・メディシン実現のためにこれまで臨床の現場で蓄積された膨大な医療の知識や智慧を最新の技術で統合解析し医療従事者や患者の想いに応える技術・ソリューションを提供し続けていく。
※それぞれの患者に見合った最適な診療を適切なタイミングに適切な患者に届ける医療。
協創事業の概要
東京大学とキヤノングループが取り組む本産学協創においては東京大学が有する多岐にわたる研究者の知識と臨床現場で培った智慧とキヤノングループが持つ医療システムにおける技術とソリューションを融合させ共通基盤テーマと個別研究テーマをセットに取り組んでいく。具体的には共通基盤テーマとして「医療における臨床データ利活用」「CDS(Clinical Decision Support:診療意思決定支援)推進に適した数理生体モデルの実現」の検討を進める。また個別研究テーマとして「Well-Being実現に貢献する各疾患個別研究の推進と社会実装」の検討を進める。
これらのテーマ推進により両者が持つ幅広い知識・智慧で課題の本質的な解決に必要な真因を追求する。中でも社会・医療を取り巻く課題の本質的な解決には社会実装における考慮も必要である。市民の視点に立脚した医療政策・倫理的配慮に関わる課題分析等の議論も行いながら本未来ビジョン「“個々人のQuality of Lifeを最大化し病とも共生する社会”~個別化医療の社会実装で多様な社会・医療要請を解決~」の実現を目指す。さらには得られた先進の医療技術の社会実装を推進する人財育成の促進も目指す。
これらの活動を通じ医療が社会に果たす役割の変化を見通し新たな社会価値を切り拓いていく。病気になったら治すという対処的な医療を超えて病気にならないための予防医療病気になったとしても必ずしも根治に拘らず病と前向きに向き合い共生する社会の実現を目指していく。人生100年時代に相応しい市民目線に応えつつ科学的・医学的エビデンスに基づいて個々人に見合った最適な医療を提供することによりWell-Being実現に貢献していく。
●問い合わせ先
キヤノン(株)
global.canon
キヤノンメディカルシステムズ(株)
jp.medical.canon