NECグループでAIによる創薬の臨床開発を手掛けるNEC Bio Therapeutics（NECバイオセラピューティクス）と，AGCグループでバイオ医薬品および遺伝子・細胞治療薬の開発・製造受託を担うCDMO^（注1）サービスを手掛けるAGC Biologics（AGCバイオロジクス）は，NECグループが開発しているバクテリアベースの経口投与型ワクチン「NECVAX-NEO1」の臨床試験用ワクチン製造に関して提携した。本提携は，両社が有するバイオテクノロジーの強みを生かし，個別化がん治療の実現に向けた臨床試験用ワクチンの生産体制を強化することを目的としている。

NEC Bio Therapeuticsは，NECグループが開発している最先端のAIと機械学習技術を用いた個別化がんワクチンNECVAX-NEO1の臨床開発を行っている。
NECVAX-NEO1は，患者ごとに異なるがん細胞特有のネオアンチゲンを標的にするように設計されている。また，強力かつ操作性に優れたバクテリアベースのプラットフォーム技術を活用しており，経口投与のため患者への負担が少ないのが特徴である。従来のがん治療薬と異なり，本ワクチンはオーダーメイド方式の製造能力を必要とし，効率的な微生物発酵により小規模かつ短期間で製造される。
本ワクチンは，2024年から2025年にかけて新たな第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始する予定。本臨床試験は，この新しい治療法の有効性と安全性を検証する上で重要な役割を果たし，がんと闘う多くの患者に希望を届けられる可能性がある。

AGC Biologicsは，AGCグループにおいて，動物細胞・微生物を用いたバイオ医薬品，遺伝子・細胞治療薬，プラスミドDNA，メッセンジャーRNAのCDMOサービスを，日米欧3極からグローバルに提供している。
AGC Biologicsは，約40年にわたり培った微生物培養に関する豊富な実績と最先端の技術を基に，NECVAX-NEO1の臨床試験に用いるワクチンの製造・供給を担う。NEC Bio Therapeuticsからの効率的な技術移転，分析手法の確立，小規模から大規模までのフレキシブルな製造と品質管理をGMP^（注2）準拠の高度な体制で実施し，NECVAX-NE01の開発に貢献する。

今回の提携では，ドイツにおける臨床開発とGMPに準拠した製造を中心に開始する。AGC Biologicsはドイツのハイデルベルク，NEC Bio Therapeuticsは同国のマンハイムに戦略的にチームを設置しており，近接した環境も生かして，この重要なイニシアチブを推進するための協力体制を構築する。

本件に対する両社のコメントは以下の通り。

個別化医療は，患者さんごとの病気の特徴に対処できる革新的な治療法となる可能性を秘めており，より良いQOL（生活の質）を提供できると考えられます。これは非常に素晴らしい取り組みであり，AIと機械学習を従来のバイオ医薬品や個別化治療に組み合わせるというNEC Bio Therapeuticsのミッションを，私達AGC Biologicsが支援する機会を得たことを誇りに思います。新たなパートナーと共にこの重要な挑戦に協力して取り組むことを心待ちにしています。

AGC Biologics Heidelberg, General Manager, Dieter Kramer

NECVAX-NEO1の製造支援に関するAGC Biologicsとの提携を発表できることを嬉しく思います。高品質かつ経済的に入手可能な個別化がんワクチンを患者さんに提供するという当社のコミットメントにおいて，本提携は重要なマイルストーンとなります。また，がん領域において世界の人々の健康状態を改善させるという当社の意志を表すものです。私たちは，この提携が私たちの業務に，そしてより重要なこととして，私たちが向き合うべき患者さんの生活に変革をもたらすことを楽しみにしています。

NEC Bio Therapeutics, CEO, Dr. Heinz Lubenau

（注1）CDMO（Contract Development & Manufacturing Organization）：医薬品等の製造受託に加え，製造方法の開発を受託・代行する会社。
（注2）GMP（Good Manufacturing Practice）：医薬品の製造管理と品質管理に関する国際基準。

NECの創薬事業について
URL：https://jpn.nec.com/solution/ai-drug/