島津医用機器の製造子会社,島根島津が生産ラインのDX化で,働きやすさと環境負荷低減を推進
2022-7-28
島津製作所の製造子会社で,医用X線診断装置の一貫生産を行う島根島津(株)(島根県出雲市斐川町)は,新棟を建設して塗装工程をDX化し,あわせてロボット溶接を増強する。年間数千台を生産して国内外に出荷する同工場の生産性向上,品質の均一化などを図りながら,社員の働きやすさと環境負荷低減を推進する。
新棟では,RFID*を活用したIoTによるネットワーク構築を行い,一般撮影システムやX線TVシステム,回診用X線撮影装置など各製品に必要な多品種にわたる部品を,1つの生産ラインで完全自動化による塗装を行う。部品ごとに異なる作業指示が,自動で各塗装工程に伝わり,工程間の部品移動もすべて自動化し,本工程のスループットを現在の1.5倍に強化する。塗装状態の検査もAI判定に移行し,品質検査機でのデータ監視を導入する。本設備により,部品塗装の7割が完全自動化され,作業環境が向上し,作業負担も大きく軽減する。さらに,オーバースプレイされた塗料の回収装置を導入して廃棄率を25%削減し,環境負荷の低減も図っていく。
溶接工程にはロボットを追加導入し,スループットを現在の1.3倍に引き上げ,板金溶接の生産性を向上させる。品質の均一化を進めるとともに,作業ロボットの技能学習を行っていくことで将来の人手不足や技能継承の課題解決を図っていく。
島根島津は,1997年に島津製作所の医用機器事業部が開発するX線診断装置の製造子会社として設立し,機械加工,板金,溶接,塗装,組立を一貫生産で行っている。島津製作所と島根島津は,工場のDX化による生産性向上に合わせ,社員の健康と安全につながる働きやすい職場環境整備と環境負荷低減を進め,世界中の医療機関に高品質な製品を届けるよう努めていく。
*電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術
新棟および新設備稼働の概要
新棟:床面積1500平方メートル,平屋建て
着工:2022年9月
竣工:2023年2月
稼働予定時期:2023年4月から順次稼働
投資総額:9.7億円
●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/