島津製作所は，国立大学法人九州大学およびヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ（株）（HMT）が取り組む『働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり ～うつ/うつ症状の予防 ～ 復職支援等～』に参画する。

九州大学病院気分障害ひきこもり外来は，生物・心理・社会的な理解に基づく社会的ひきこもりや心の病気の治療法開発を進めている。2016年には九州大学病院検査部と連携して，「血中代謝物バイオマーカーを用いたうつ病の重症度を診断する手法」を確立している。島津製作所は2020年に加藤准教授らの研究グループとの共同研究で，うつ病診断補助の手法を開発した。現在，両者は，「問診による被験者のストレス感受性の強弱に依存するグルーピング」と「高速液体クロマトグラフ質量分析計（LC-MS）により得られる血液中バイオマーカー」を組み合わせた，高精度ストレススクリーニングモデルの開発を進めている。

『働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり ～うつ/うつ症状の予防 ～ 復職支援等～』では，これら検査手法を社会実装するために，企業における健診などで共同事業実証（以下，POC）に取り組む。すでに同社と加藤准教授らの研究グループは，福岡市のモデル企業の社員100名を対象とした実証研究を始めており，健診センターなどと連携し，企業における社員のメンタルヘルスの不調を早期に発見できる体制を作る。島津製作所は九州大学とのPOCを経て，検査サービスパッケージを確立して，従業員検診や人間ドック向けの検査モデルを構築し，組織マネジメントコンサルテーションと組み合わせた検査の社会実装を目指す。

加藤隆弘准教授（左），九州大学病院検査部の瀬戸山大樹助教および研究で使用する高速液体クロマトグラフ質量分析計

関連情報
九州大学 プレスリリース
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ プレスリリース