コニカミノルタ,X線動画像のデジタル症例集「DDRAtlas Ver. 1.0」を公開
一般X線撮影における新たな動画像診断への挑戦
2022-6-15
コニカミノルタ(株)(以下 コニカミノルタ)は,X線動画撮影を活用したデジタル症例集「DDR (Dynamic Digital Radiography) Atlas」の第1弾として正常例を収録した「DDRAtlas Ver. 1.0」を会員制Webサイト*1にて6月25日に公開する。公開当日には,「第4回X線動態画像セミナー」にて「DDRAtlas」監修の専門医により,その内容について紹介する。
「DDRAtlas」は動画像診断という新たな診断領域において診断基準を構築することを目的としており,その第1弾となる「DDRAtlas Ver. 1.0」では,診断基準構築には不可欠であるX線動画像の正常例の閲覧,参照が可能。この公開を通じて,医療従事者とのコミュニケーションを活性化し,さらなる症例数の充実化を図っていく。
【背景と狙い】
コニカミノルタは,一般X線撮影装置を用いて動画像を撮影できるデジタルX線動画撮影システム(DDR)により,新しい診断価値の提供に挑戦している。
デジタルX線動画撮影システムは2018年の発売以来,国内外の大学病院を中心に100台以上が稼働し,「単純Ⅹ線検査は静止画撮影」という従来常識を変え,臨床研究とその応用は着実に拡大しつつある。また,放射線科や呼吸器内科に留まらず,呼吸器外科,循環器内科,整形外科,最近ではワイヤレスX線動画撮影を可能とした回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」の発売により,集中治療や救急など,多様な診療科から様々な有用性が示唆され,学術論文も国内・海外論文合わせて約40編以上が発表されている。
このような実績を踏まえ,コニカミノルタは,デジタルX線動画撮影システムを医師の診療に大きく寄与できる新しい診断機器としてより多くの医療現場に普及させるため,診断基準の根幹となる正常例を含むデジタル症例集「DDRAtlas」の構築に着手し,この度,その成果の一端である「DDRAtlas Ver. 1.0」を公開する。
今後この「DDRAtlas」により,X線動画撮影を活用した診断をサポートし,一般X線撮影における新たな動画像診断の確立を目指す。
【DDRAtlasについて】
「DDRAtlas」は,X線動画撮影における正常例の生体内の動き情報を体系的に集約し,医師のX線動画像への理解促進とリサーチクエスチョン*2の検討を支援するコンテンツ。パソコンやスマートフォンから「DDRAtlas」にどこからでもアクセスすることができる。これにより,X線動画像という今までにない新たな診断ツールにおいて,医療の質向上が期待できる。
[DDRAtlas監修者]
島根大学医学部内科学講座 呼吸器・臨床腫瘍学 教授
礒部 威 氏(呼吸器内科)
公益財団法人結核予防会 複十字病院 放射線診療部 部長
黒﨑 敦子 氏(放射線科)
Brigham and Women's Hospital, Professor of Radiology, Harvard Medical School
幡生 寛人 氏(放射線科)
公益財団法人結核予防会 理事長
工藤 翔二 氏(呼吸器内科)
【X線動画解析による診断価値向上】
デジタルX線動画撮影システムは,既発売であるX線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と,可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」で構成されており,従来の胸部単純X線撮影と同様に,一般X線撮影装置での撮影が可能。なお,一般X線撮影装置には(株)島津製作所「診断用X線装置 RADspeed Pro」を採用している。
このシステムは,パルスX線の連続照射で撮影したX線画像の連続表示により動画像を作成する。これにより得られた動画像に,「KINOSIS」で視認性向上や生体構造物の動きの定量化を目的とした画像処理を加えることで,従来の静止画では得ることが難しいより多くの情報をX線検査の段階で提供できる。また,デジタルX線動画撮影システムはCTなどに比べて低線量で撮影することができ,初期の段階の検査における診断精度向上とともに,病変の早期発見と患者の負担軽減に寄与できると考えている。
コニカミノルタは,今後も「DDRAtlas」の症例範囲と症例数を充実させ,デジタルX線動画撮影システムを世界に広めることで,生体機能の見える化の実現に向けて挑戦し続け,より質の高い医療の拡大に貢献していく。
*1:DDR Members Site <https://www.konicaminolta.jp/healthcare/ddrms/index.html
>
*2:治療や予防などに関する研究の命題となる疑問や課題のこと。臨床研究の対象となり,その研究結果がリサーチクエスチョンの回答となる。<https://www.jspt.or.jp/ebpt_glossary/research-question.html
>
X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」,及び「KINOSIS」は「画像診断ワークステーション コニカミノルタ DI-X1(製造販売認証番号:230ABBZX00092000)」の呼称。
回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」は「移動型汎用X線装置 AeroDR TX m01(製造販売認証番号:303ABBZX00055000)」の呼称。
可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」は「デジタルラジオグラフィー SKR3000(製造販売認証番号:228ABBZX00115000)」の呼称。
「CS-7」は,『デジタルラジオグラフィー SKR 3000』(認証番号228ABBZX00115000),および『デジタルラジオグラフィー AeroDR SYSTEM 2』(認証番号226ABBZX00050000)の構成品である画像処理コントローラ用ソフトウェア。
●問い合わせ先
コニカミノルタジャパン(株)ヘルスケアカンパニー
https://www.konicaminolta.jp/healthcare