青森市 × フィリップス・ジャパン,認知機能低下を予測する新サービスの実証実験を開始「予防」と「見守り」をつなぐ「早期発見」に寄与,包括的支援の実現へ
2022-5-17
青森市と(株)フィリップス・ジャパン(以下 フィリップス)は,二者で推進している青森市民の健康寿命延伸を目指す事業において,あおもりヘルステックコンソーシアム参画企業である(株)エナジーゲートウェイ(以下 エナジーゲートウェイ)が提供する,認知機能低下を予測する新サービスを導入し,その基盤整備および社会実装に向けた実証実験を2022年中に推進していく。
新サービスは,電子レンジや洗濯機など日常的に使用する家電の使用状況をモニタリングするだけで,機能低下の予兆をいつでもダッシュボードで確認できる。自宅での家電使用のモニタリングは,対象者の身体または精神への侵襲性が低く簡易な方法により認知機能低下を早期発見するスクリーニング法として,基盤整備により認知機能低下疑いの方の病院受診につながることが期待されている。
本事業では,2020年度よりフレイルや生活習慣病を予防するための「モビリティを活用した予防サービス」と訪問看護利用者や独居高齢者向けに「IoTを活用したみまもりサービス」を推進している。予防サービスは網羅的に収集したデータから市民の健康意識や疾患リスクの傾向などを特定する一方,日常生活の中で疾患リスクを早期に発見し病院受診に繋げる手段が不足していた。みまもりサービスはエナジーゲートウェイの高精度電力センサーなどを活用した利用者宅の情報の見える化を実施する一方,疾患リスクに関わる予兆検知は困難であった。新サービスは,今まで困難であった「早期発見」を可能にし,「予防」と「見守り」をつなぐ「発見」という重要なピースを埋め,本事業の拡充に貢献する。
導入の背景
高齢化が進む日本では,2025年には約5人に1人が認知症を発症すると予測されている[1]。青森市の高齢化率は33.3%[2]と全国平均(28.8%[2])より高く,青森市内で行った調査では42.7%[3]が認知機能のリスク該当者であることが分かった。
青森市ではかねてより,「認知症カフェ」や「認知症ケアパス」など自治体や地域による取り組みを推進していたが,本事業における2つのサービスとの連携は十分ではなかった。
事業における役割・位置づけ
本実証では,エナジーゲートウェイが独自のアルゴリズムを活用し認知症予備軍である軽度認知障害(以下MCI)検知とデータ取得を行い,青森市が既存の自治体運営サービスとの連携や実証フィールドの調整,またその効果検証や事業性の評価を行い,フィリップスは,取得されたデータの活用やコンソーシアム参画企業との協働を推進する。予防・早期発見・見守りという,認知症に関する包括的支援により,青森市民の健康寿命延伸に寄与していく。
認知症の早期発見・早期対応の重要性について
認知症の予防には,運動不足の改善,糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防,社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が役立つ可能性が示唆されており,認知機能低下のある方や,認知症の早期発見・早期対応が重要[4]。中でも認知症予備軍であるMCIへの適切な対策により,MCIの改善や認知症の発症を予防できる可能性がある。そのため,MCIの早期発見は認知症対策では非常に効果がある反面,MCIの方は記憶障害があっても日常生活動作は自立しているため,環境的に発見されにくいのが現状である。
「ヘルステックを核とした健康まちづくり事業」の概要
青森市とフィリップスは,青森市民の健康寿命延伸を目指し2019年2月に「ヘルステックを核とした健康まちづくり連携協定」を締結,同時に事業を推進する共同体として「あおもりヘルステックコンソーシアム」を結成した。2020年度には 「モビリティを活用した予防サービス(フレイル/生活習慣病)」,「IoTを活用したみまもりサービス(訪問看護利用者/独居高齢者向け)」を開始。サービスを通じて蓄積されるデータの分析及びみまもりサービス実施の拠点として,2021年5月,浪岡病院内に「あおもりヘルステックセンター」が完成した。2021年度は,予防サービスでは228名が参加,みまもりサービスは15名の方に提供した。
[1]: 平成29年版高齢社会白書
[2]: 令和3年版高齢社会白書
[3]: 青森市高齢者福祉・介護保険事業計画第8期計画
[4]: 厚生労働省, 認知症施策推進大綱
●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
TEL 0120-556-494
www.philips.co.jp/healthcare