ホロジック社の新型コロナウイルス検査試薬で,オミクロン株検出を確認
国内における検査体制も対応が可能に
2021-12-9
ウィメンズヘルス分野のリーディングカンパニーであるホロジック社(本社:アメリカマサチューセッツ州)の日本法人・ホロジックジャパン(株)は,ホロジック社の販売する新型コロナウイルス検出試薬「アプティマ® SARS-CoV-2」が,新型コロナウイルスの変異株の一つであるオミクロン株を検出したことを発表した。同試薬は,日本国内でも70施設の臨床検査センター,自治体,医療機関で新型コロナウイルス検査のため使用されている。この発表は新型コロナウイルスのオミクロン株が同試薬の判定結果には影響を与えないことを意味し,国内の検査体制についてもこれまで通りの検査対応が可能となる。
オミクロン株(B.1.1.529)は,南アフリカで確認された後,アフリカ,ヨーロッパ,北米などの多くの国々で確認され,ウイルスに約30の変異が見つかっている。ホロジック社は,GISAID (Global Initiative On All Influenza Data,https://www.gisaid.org/ )を介して得られたオミクロン株感染者の175以上の検体に対して遺伝子配列の解析を行い,ホロジック社の体外診断薬「アプティマ® SARS-CoV-2」の標的となるゲノムの領域内には新たな変異は起きていないことを確認した。ホロジック社はヨーロッパの臨床ユーザーからもデータを得ており,帰国者への「アプティマ® SARS-CoV-2」による検査で,オミクロン株による新型コロナウイルス感染が検出されたことが判明している。
ホロジックの診断・検査部門プレジデント,ケビン・ソーナルは「新型コロナウイルスは,ウイルスの自然な傾向として,今後も変異を続けるであろうと予想しています。われわれは,ウイルスの変異を念頭に置いて体外診断用医薬品を設計しています。」と述べた。
ホロジックジャパンは,核酸抽出から測定までを全自動で行うことができる体外診断薬「アプティマ® SARS-CoV-2」と「パンサー® システム」を提供している。約3時間で最初の結果が得られ,24時間で約1,000検体の処理が可能となる。
ホロジック社は,新型コロナウイルスを検出する検査試薬,1億3000万件以上を,臨床検査センター等の顧客に提供し,世界の検査供給に大きく貢献してきた。世界中の臨床診断検査室には2700台以上のパンサーシステムが設置されており,日本国内での導入数は70機関となる。(2021/12/1時点)
[製品概要]
販売名:アプティマ SARS-CoV-2
承認番号:30200EZX00057000
製品特長:
(1) TMA法により検体:鼻腔,鼻咽頭ぬぐい液,唾液中のSARS-CoV-2のRNAを検出する。
(2) 対象配列:SARS-CoV-2に特異的な遺伝子配列(ORF1ab)の2つの領域を同時に検出することで変異による偽陰性のリスクを低減している。
(3) パンサーシステムにより検体からの核酸抽出.ウイルスの検出までを全自動で行う。検査従事者のハンズオンタイムを削減するとともに,検体に触れる時間を短くすることで従事者の安全にも貢献する。
(4) キットの使用回数,有効期限などを試薬のタグを用いてパンサーシステムにて一元管理する。
販売名:Aptima Multitestスワブ採取セット
医療機器届出番号:13B1X10179002006
[パンサー®システム/Panther Fusion®(パンサーフュージョンシステム)について]
〜臨床における核酸増幅法の使用をより多くの施設で可能に〜
「パンサー®システム」は,遺伝子検査の完全自動化を実現した,全自動の遺伝子解析装置。
検体到着後,専用ラックに検体をセットし装置に投入するだけで,核酸の抽出・増幅・検出・結果報告までの一連の工程,および核酸増幅反応によって得られた核酸増幅産物の不活発化処理までを全自動で行う。最初の測定結果はHIV-1, HBV, HCVで2時間40分,他の項目では3.5時間で得られるほか,最大275検体を8時間,500検体を12時間で測定することが可能であり,オペレーターの作業時間を大幅に削減する。
またランダムアクセス機能により,単一のラック内であっても複数の検査項目を測定できるとともに,随時,検体を投入することができるため,それぞれの種類の検体を溜めて待機するなどの手間を省き,最適なワークフローを実現する。必要な機器類をコンパクトに集約した一体型デザインによりラボにおける設置スペースを有効に活用することが可能。
「Panther Fusion®」(パンサーフュージョンシステム)は,「パンサー®システム」を基盤として,「Panther Fusion®」モジュールを追加することにより利用が可能になる。TMA法に加えてPCR法の検査が一台で可能となり,TMA法と同様に,PCR法でも核酸抽出からPCR増幅反応までを完全自動で行う。オープンアクセス機能でラボ毎の自家調製試薬(LDT:Laboratory Developed Test(研究用))の開発をサポートし,ラボのニーズ次第で新型コロナウイルスの変異株測定に迅速に対応可能となる等,多様なニーズを満たす。
販売名:パンサーシステム
医療機器届出番号:13BX10179002001
[PCR法とTMA法の違い]
どちらも同じ核酸増幅法検査(Nucleic adid Amplification Test:NAT)
核酸増幅検査(NAT検査)とは,遺伝子の一部の核酸を取り出し(抽出),その核酸を増やして(増幅),増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法のこと。PCR法は検出対象が主にDNAであり,温度変化をさせることで対象核酸の増幅を行うが,TMA法は検出対象が主にRNAであり,温度変化を必要とせずに(等温下で)対象核酸の増幅を行う,という違いがある。(測定対象によってはPCR法でもRNAを検出する場合,TMA法でもDNAを検出する場合がある。)
TMA法のメリットの1つとして,温度変化が不要なことで検体を溜めて待機する(バッチ処理)などの手間を省き,随時検体の投入が可能となること,また自動化機器のコンパクト化が可能になる,といった点がある。またHPV検査においては,がん関連タンパク質であるE6/E7のmRNAを測定対象とすることで,実際の疾患との関連が高い検査が可能となる。(偽陽性の減少)*
*J Cuzick et al., Comparing the performance of six human papillomavirus tests in a screening population. (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3590662/ )
●問い合わせ先
ホロジックジャパン(株)
https://hologic.co.jp/