島津製作所,AIで研究現場の働き方改革をサポート LC-MS/MS向けAIソフトウェア「Peakintelligence Ver.2.1」を開発
2021-11-29
島津製作所は,AI(人工知能)を用いて開発したアルゴリズムを搭載する,トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)向けソフトウェア「Peakintelligence Ver.2.1」(以下Ver.2.1)を開発した。本年12月下旬より,国内外で発売予定。
本製品は,昨年7月に発売した,「Peakintelligence Ver.2」(以下Ver.2)の後継ソフト。ソフトに搭載したAIアルゴリズムは,LC-MS/MSによる測定結果の解析画面(クロマトグラム)に頻出するピーク※1を自動で検出する。従来の解析作業には,「ピーク検出のための適切なパラメータ※2をユーザー自身が解析ごとに求める必要があり,手間がかかる」「作業者の主観によって採用するパラメータが異なるため,結果が属人的になる」といった課題があった。ソフトに搭載したAIアルゴリズムは,世界で初めてユーザーによるパラメータ設定を不要として,熟練作業者なみの高い精度※3を実現している。これにより,ユーザーによるパラメータの最適化や手動修正といった作業負荷が3分の1に軽減されるだけでなく,従事者によって採用パラメータや結果が異なるといった属人性を排除し,より標準化されたワークフローを実現する。研究現場の働き方改革を推進し,ユーザーはより創造的な業務に専念できる
Ver.2で確立されたアルゴリズムをベースに,ユーザビリティの改良を行い,幅広い用途における動作確認を経たVer.2.1では,「対応アプリケーション」の限定を無くしている。また,LC-MS/MSご購入時に1年間の無償デモライセンスを提供するため,全てのLC-MS/MSユーザーに気軽にAIの効果を体験し,標準化および効率化に資する技術であることを実感したうえで,導入を検討できる。
なお,本製品は富士通(株)と共同で開発し,大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所が教師データの作成や製品評価に加わっている。今後も同社はAI技術の研究開発を重ねて,同社製のあらゆる分析装置ユーザーの業務効率向上を目指す。
※1 ピーク:分析機器で得られるクロマトグラム(グラフ状の測定結果)の山部分。その高さや面積が化合物の存在量を示す。
※2 パラメータ:ピークの始点と終点を検知するための条件。
※3 精度:LC-MS/MSの熟練者の目から見て適切なピーク検出結果がもたらされる確率のこと。
●新製品の特長
1. 対象ユーザーの拡大
Ver.2では「一次代謝物メソッドパッケージ」「残留農薬メソッドパッケージ」で得られたデータ専用としていたが,様々な用途で動作の妥当性の確認をすすめ,Ver.2.1は「対応アプリケーション」を限定せず汎用的に使用することが可能となった。用途を限定せず,幅広いユーザーが使用できる。
2. より使いやすく気軽に
1年ごとのライセンス更新の手間を削減し,一度ライセンスを購入すれば永続的なライセンス使用が可能。また,ユーザーの使用機会を増やすため,同社製LC⁻MS/MSを購入した際には,1年間の無償デモライセンスが標準で供与されるようになった。
3. 熟練者並みの精度
「Peakintelligence Ver.2.1」ではAIに「水平ベースライン」など解析が難しいデータを含むより多くの教師データを学習させたことで,Ver.2より高精度な解析が可能となった。
富士通が開発した「熟練作業者の解析ノウハウを学習する特徴抽出技術」により学習させたAIを用いて,「熟練作業者による解析との一致率90%以上」という高精度を実現している。
製品名
トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)向けソフトウェア「Peakintelligence Ver.2.1」
価格 165万円(税別)
●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/