ブレインヘルスケアのSplink,認知症領域の課題解決を目指し,11.2億円の資金調達を実施
認知症領域におけるワンストップのソリューション提供に向けて投資を加速化
2021-11-17
ブレインヘルスケア領域の医療AIスタートアップの(株)Splink(以下「Splink」)は,総額約11.2億円の資金調達を実施した。引受先はジャフコ グループ(株),東京海上日動火災保険(株),三菱UFJキャピタル(株),(株)博報堂DYホールディングス,個人投資家。今回の増資で,引受先とのシナジーを活用し,製品化,事業化を加速していく。
●資金調達の背景と目的:認知症診断の重要性の高まり
世界的な高齢化の進行に伴い,認知症患者数は国内推定675万人(*1)と言われている。一方で,認知症専門医の数は現在約2,000人(*2)と少なく,医師のリソース不足解消・医療負荷軽減は今後の大きな取組み課題と言える。
認知症の原因疾患は多彩であり長い経過の中で症状も変化することから,その診断は困難である。そのため,医師の経験や主観が診断に占める割合は高く,正確な診断は高度な専門性が求められる。このような背景の中,高齢化社会における認知症医療システムの構築は急務であり,認知症診断の重要性は高まっている。
この課題に対し,Splinkは専門医・アカデミアの高度な医療技術との産学連携を通じて,正確な診断に寄与する研究成果の社会実装を目指す。
*1:「わが国における認知症の経済的影響に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金(認知症対策総合研究事業))
*2 : 「日本認知症学会」「日本精神科医学会」資格取得者合計 2021.2時点より
●調達資金の主な使途:認知症領域におけるサービス提供の加速と新製品開発への投資
各製品ラインナップの提供拡大および新製品開発への投資を進め,ブレインヘルスケアの社会普及を目指していく。
2017年の創業以来,認知症予防の促進を目指し,脳ドック用AIプログラムとして提供を進めてきた「Brain Life Imaging®」は都内を中心に様々な医療機関で利用されており,今後全国への普及・拡大を推進していく。また,この先行サービスで得られた知見を活用し,開発を進めてきた「脳画像解析プログラムBraineer®」は,診断・治療フェーズにおける認知症見逃しを防ぐ医療機器プログラムとして2021年6月に薬事認可を取得している。今回の増資により,主力製品である「Brain Life Imaging®」および「Braineer®」の製品強化を引き続き進める。さらに,複数のアカデミアとの共同研究を通じて開発パイプラインの製品化に向けた投資も行う。認知症という高齢化社会における大きな課題に対し,健常段階の予防から発症後の病気と共生できる社会に寄与すべく,認知症の予防から診断まで一貫したソリューションをワンストップで提供することが急務であると考えている。今後も,医師の方々の適切な認知症診断インフラの一助となることを目指していく。
●出資者のコメント
ジャフコ グループ(株) パートナー 北澤 知丈 氏
超高齢社会を迎えている日本を中心に,認知症への対応は世界的に重要な社会課題です。その一方で,具体的な解決策も少ない領域でもあります。Splinkは青山さんを筆頭に,多様な業界から圧倒的に優秀なメンバーが集い,この社会課題に情熱をもって真摯に向きあい,データの蓄積と,プロダクトの磨き込みを着々と進めてきました。Splinkが生み出す認知症診断の価値は,課題先進国の日本だけでなく,日本からグローバルに展開が求められる稀有なものだと感じています。日本発で世界を代表する企業となる事を強く期待しておりますし,引き続きJAFCOも全力で応援していきたいと思います。
東京海上ホールディングス(株) デジタル戦略部長 楠谷 勝 氏
日本は世界のいかなる国も経験したことのない高齢化社会に直面しており,中でも認知症という大きな社会課題に向き合うことは非常に意義があると感じております。
Splinkのメンバーの想いに加え,高い研究開発力,および様々な産学連携の取り組みを通じたソリューションの提供によって,この社会課題が解決に向かうことを期待しております。またこれまで当社グループも認知症領域に関する様々な取り組みを行ってきましたが,Splinkと共に取り組みを更に加速させていきたいと考えております。
●問い合わせ先
(株)Splink
https://www.splinkns.com/