横河電機とHIROTSUバイオサイエンスが資本業務提携契約を締結
〜線虫がん検査N-NOSEの普及に向けて協業開始〜

2021-2-16


左から,横河電機執行役員ライフイノベーション事業本部長の中尾寛氏, HIROTSUバイオサイエンス代表取締役の広津崇亮氏

左から,横河電機執行役員ライフイノベーション
事業本部長の中尾寛氏,
HIROTSUバイオサイエンス代表取締役の広津崇亮氏

横河電機(株)(以下横河電機)と(株)HIROTSUバイオサイエンス(以下HBS)は,線虫を使ったHBSのがん検査サービスN-NOSE®(エヌノーズ)の普及に向けて協業していくことに同意し,横河電機がHBSに出資する資本業務提携契約を締結した。本合意によって,横河電機がN-NOSEで使用する自動解析装置の製造および保守を担うとともに,両社で新型の自動解析装置の開発,N-NOSEのグローバル展開を目指す。

がんに対する社会課題として,早期発見が難しい,がん検診受診率が上がらないという問題がある。その理由は低価格で簡単に多くのがんを高精度に検査することができる一次スクリーニング検査が存在しなかったことにある。また,新型コロナウイルス(COVID-19)流行下においては,基礎疾患を有する人をはじめ,多くの人が検査のために医療機関に行きにくいなどの課題も浮き彫りになっている。
HBSが提供するN-NOSEはこれらの課題を解決できるものとして大きく期待されている。今後,サービスをより多くの人に提供していくには同サービスで使用する自動解析装置の量産が必須であるため,そこに横河電機のライフサイエンス分野における生産能力とノウハウを投入し,拡大が見込まれる検査ニーズに応える自動解析装置の量産・保守体制を構築していく。また,HBSの線虫がん検査に関する技術とノウハウ,横河電機の計測,制御,情報の技術による次世代装置の開発と,62か国に展開する横河電機のグローバル体制を生かした日本国外におけるN-NOSEの普及活動においても協業を検討していく。
これらの協業活動の利益とリスクを共有するため,本業務提携では,IT企業などソフト・システム事業を中心に採用されてきたレベニューシェア方式を導入しており,本ビジネスを通して両社の成長を図る。

N-NOSEは,嗅覚に優れ,飼育コストが安価な体長1ミリほどの生物「線虫」の性質を利用し,がん患者の尿に含まれる微量な匂い物質からがんを検知する1次スクリーニングがん検査のサービス。胃がん,大腸がん,肺がんなど,15種類のがん※1のいずれかにかかっているか否かの判定を,ステージ0あるいは1のがんの患者であっても約86%※2の確率で特定することが可能である。また,検査者は尿検体を1度提出するだけで従来の検査よりも安価に網羅的ながん検査を済ませることができる。
HBSは,N-NOSEの自動解析装置を開発,2020年1月より同装置を使った検査サービスを提供しており,今春には,COVID-19流行下を想定した自宅で完結できる個人向けがん検査サービス「N-NOSE at home」の提供を開始する予定

HIROTSUバイオサイエンス代表取締役の広津崇亮氏は今回の資本参加,業務提携について次のように述べている。「線虫がん検査N-NOSEは1次スクリーニングがん検査として,全世界のすべての方々が毎年受ける検査となることを目指しています。そのためには,自動解析装置のハイスループット化と量産,グローバル対応が必須であり,横河電機との提携はN-NOSE事業の推進において最重要と考えております。今回,非常に稀なハード技術でのレベニューシェア方式を採用するのも特徴です。ベンチャーと大企業の新しい協業の形であり,そこから世の中を変える新しい価値が生み出されることを期待しています。」

横河電機代表取締役社長の奈良寿氏は次のように述べている。「横河電機にとって今回の協業は,当社のサステナビリティ目標の一つである全ての人の豊かな生活(Well-being)における重要なco-innovationであり,豊かな社会の実現に大きく貢献できるものとみています。HIROTSUバイオサイエンスとは今回の協業をきっかけとして強固な関係を構築し,さらなる価値共創に向けて取り組んでまいります」。

※1 胃,大腸,肺,乳,膵臓,肝臓,前立腺,子宮,食道,胆嚢,胆管,腎臓, 膀胱,卵巣,口腔・咽頭の15種類
※2 日本がん予防学会(2019年6月),日本人間ドッグ学会(2019年7月),日本がん検診・診断学会(2019年8月)発表のデータより

 

●問い合わせ先
横河電機(株)
https://www.yokogawa.co.jp/

(株)HIROTSUバイオサイエンス
https://hbio.jp/

N-NOSE:エヌノーズ.com/


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