島津製作所,コロナ禍でもラボ業務の継続に貢献 ラボ装置リモート管理システムなどの製品群を発売
2021-1-5
島津製作所は,12月28日に,ラボ内の液体クロマトグラフ(LC)の稼働状況をスマホやPCで確認できる遠隔管理用ソフトウェア「LabTotal Smart Service Net」および液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の解析ソフトウェア「LabSolutions LCMS/Insight」を同時発売した。「LabSolutions LCMS/Insight」はラボ外からでもラボと同様の解析作業を可能にする。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,世界各地でロックダウン(都市封鎖)や厳重な外出制限が行われてきた。医薬・食品・化学分野などの企業・研究機関では,研究者・技術者がラボに立ち入ることができず分析計測機器に触れられないため,研究開発や品質管理といった業務に支障が出ている。装置の保守点検に従事するサービスエンジニアも顧客のラボを訪問しにくくなった。しかし,こうしたラボは,感染症対策で重要な役割を果たす治療薬やワクチン,消毒液,機能性食品などの開発拠点でもある。
同社は,日本で緊急事態宣言が発令された2020年4月末に,ラボに出勤できない研究者向けに,インターネット上で解析ソフトウェアを無償配布した。その結果,医薬・医薬品原料・食品・衛生用品などのメーカーを中心に国内外で累計1000件以上のダウンロードを記録した。この機能を継続的に利用できるように製品化したものが,解析ソフトウェア「LabSolutions LCMS/Insight」。
様々な業種・業界と同様に,研究開発の現場でも「ニューノーマル(新常態)」が求められている。しかし,「研究者の在宅勤務を実現するには通信設備への投資が必要」「ラボで装置のそばにいなければ業務が滞る」「装置の操作やデータの解析作業が習熟したメンバーに依存しがち」といった課題がある。今回発売したソフトウェア2製品を通じて,「スマホでラボの装置状況をリアルタイムに把握」「出社せずに計測データを解析」という研究者の働き方改革を支援する。また,11月発売の液体クロマトグラフ「Advanced i-Series」は,各種機能によって使用者の習熟度に関わらず安定したデータ採取を可能にしている。島津製作所は,「コロナ禍での企業の研究開発の継続」および「研究者の在宅勤務・リモートワークなど柔軟な働き方」を実現していく。
●新製品の特長
1. リモートで装置の稼働状況を簡単に把握
多くの装置を使用するラボで,個別の装置の稼働状況の確認作業には時間と手間がかかる。「LabTotal Smart Service Net」では,ラボ内全てのLCの稼働状況をクラウドサーバー上で管理できる。また,装置の異常や消耗品の減り具合と併せて,保守点検用ウェブサイトのURLをメールで管理者に通知する。対処方法を動画などで簡単に把握できるため,装置の稼働率向上およびラボ業務の継続につながる。
2. ラボ外でも解析作業が継続可能
従来は,測定結果をレポートにまとめる際には,ラボ内のPCで解析する必要があった。「LabSolutions LCMS/Insight」は,自宅でも解析やレポート作成業務の継続を可能にする。
3. 低コストで導入可能
「LabTotal Smart Service Net」はVPN(バーチャルプライベートネットワーク)などの通信インフラを整備する必要がなく,低コストで導入可能。また,解析ソフトウェア「LabSolutions LCMS/Insight」も,より簡単に多くの研究者に利用できるように,低コストで提供していく。
製品名:「LabTotal Smart Service Net」
販売価格 12万円/年~(税別)
製品名:「LabSolutions LCMS/Insight」
販売価格 4万円(100日間ライセンス,税別)
「LabTotal Smart Service Net」の詳しい製品説明についてはこちら
「LabSolutions LCMS/Insight」の詳しい製品説明についてはこちら
●問い合わせ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/