がん研有明病院と日立製作所,タブレット型ロボットによるAI問診を活用した"がん薬物療法の治療支援"の評価研究を開始

2020-11-19

AI

富士フイルム


公益財団法人がん研究会有明病院(以下,がん研有明病院)と(株)日立製作所(以下,日立)は,タブレット型ロボットをがん薬物療法中の患者の体調や副作用状況などの事前確認に活用した場合の効果についての評価研究(以下,本研究)を2020年11月末から開始する。外来診療前に患者の状態把握を行い,より適切な治療の提供をサポートするとともに,医療従事者の負担軽減の効果を評価する。

がん研有明病院を含む多くの医療機関では,患者の安全・安心のため,医療安全に取り組んでいる。がん研有明病院では,1日あたり約1,800名の外来患者が来院するため,事務職員や看護師をはじめとした医療従事者は外来患者の薬物療法に伴う副作用の症状チェックなどに多くの時間を費やしており,医療従事者の業務負担は増加している。

がん研有明病院と日立は,医療従事者の業務負担低減策の一環として,2020年11月末から2022年3月末まで本研究を実施する。
第一段階として,外来で薬物療法を受ける大腸がんの患者を対象に,これまで医師の診察待ち時間の間に薬剤師が行っていた抗がん剤の副作用発症状況の確認を,タブレット型ロボットを用いて行う。問診結果は病院内のサーバに保管され,薬剤師はこのタブレット問診の結果をPCで確認し,対面による問診が必要かどうかを判断する。また,外来当日の血液検査などの検査結果と合わせて患者の状態に関する情報をAIを用いて分析し,副作用が出ており当日の治療に注意が必要な患者や抗がん剤の投与を見合わせた方が良い患者などに分類し,副作用の見逃しを防止する仕組みを構築する。さらに,分析結果を薬剤師,医師,看護師などの医療従事者が情報共有できる仕組みの検証を行う。対象となるがんも今後増やしていく予定。

第二段階では,問診中の顔の表情などの生体情報なども含めて分析できる仕組みを構築・検証を行っていくことを計画している。
これらの取り組みにより,薬剤師がひとりの患者の問診にかける時間が短縮され,業務負担を軽減できるとともに,患者の状態に合わせた治療を行うことで副作用の軽減も図れる。また,当日の体調と副作用の発現の傾向を分析し,副作用の少ない治療法の検討に役立てることもめざしている。

がん研有明病院と日立は,2018年度から実施されている戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の事業である「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発プロジェクトに参画しており,本研究もその取り組みの一つ。
がん研有明病院と日立は,今後も引き続き,AI,ロボットなどの最新技術を医療に活用するため協力をしていく。患者の状態把握を細やかに行うことで患者に寄り添った治療の提供をサポートするとともに,医療従事者の負担を軽減し,限られた時間を患者の診療にあてることで,質の高いがん治療の提供と患者のQoL(Quality of Life)向上をめざす。

 

●問い合わせ先
公益財団法人がん研究会
有明病院 副院長/AI医療センター長 小口正彦
TEL 03-3520-0111

(株)日立製作所
ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業部 デジタルヘルスケア本部
TEL 050-3116-3796 (直通)

AI

富士フイルム


TOP