はこだて未来大,東京女子医大,ドコモ,5Gとクラウドサービスを活用した国内初の手術データAI解析による実証実験を開始
2020-11-9
公立大学法人公立はこだて未来大学(以下,はこだて未来大),学校法人東京女子医科大学(以下,東京女子医大)と,(株)NTTドコモ(以下,ドコモ)は,ドコモの第5世代移動通信方式(以下,5G)を用いた通信サービスとMEC※1の特徴を持つクラウドサービスである「ドコモオープンイノベーションクラウド®」を活用し,伝送された大容量の手術データを人工知能(AI)が解析する実証実験を2020年12月から開始する。
本実証実験では,5Gと「ドコモオープンイノベーションクラウド」,国立研究開発法人情報通信研究機構の超高速研究開発ネットワークテストベッドJGNにより東京女子医大とはこだて未来大を接続し,AI解析技術を活用した脳構造や処置状況の可視化や,手術工程判別による手術支援のための環境を構築して,有用性を検証する。商用の5Gサービスとクラウドサービス(「ドコモオープンイノベーションクラウド」)を活用して手術データのAI解析を行う実証実験は国内初となる。※2
<AIによる手術情報の解析イメージ>
医療現場では診察や治療に当たる医療従事者の人手不足や,地域間での医師の偏在が社会課題になっており,これらを解決するため,手術の効率化や人の技術によらない手術の質の向上が望まれている。本実証実験を通じて,3者は医療機関をネットワークで接続して医療データをビッグデータとして蓄積し,AIを効率よく活用できる環境を構築することで,遠隔地での高度医療支援を行ったり,高度医療に関する手術情報をネットワークにより安全,高信頼,高精度に取得可能な環境を提供したりすることにより,自然災害時や新型コロナウイルス等感染症発生時などに効果的な遠隔地での治療や情報提供を行える高度医療ネットワーク基盤の実現をめざす。
なお,本実証実験は国立研究開発法人情報通信研究機構の研究開発課題「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発」の採択課題「JGNと5Gを用いた遠隔地手術データ連携とAI解析による地域間医療技術の高水準化のための研究開発」※3として実施する。
※1 マルチアクセスエッジコンピューティング(Multi-access Edge Computing)の略。移動通信網において,顧客により近い位置にサーバーやストレージを配備する仕組み。
※2 ドコモ調べ
※3 令和2年度「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)」
https://www.nict.go.jp/info/topics/2020/05/26-1.html
●実証実験の概要
1. 目的
本実証実験を通じて5Gとクラウドサービス(「ドコモオープンイノベーションクラウド」),JGNを活用した手術データ共有によるAI解析の有用性を検証する。
2. 実験内容
(1)東京女子医大のスマート治療室(SCOT®)※で取得した高精細な手術映像を匿名化し,ドコモの5Gサービス,「ドコモオープンイノベーションクラウド」やJGNを介し,大容量・セキュリティを確保した通信により,はこだて未来大に伝送する手術情報伝送基盤を構築する。
(2)はこだて未来大のAI技術(深層学習技術)を用いて匿名化された取得済みのデータを解析,遠隔地の熟練医が手術プロセスを確認し,手術支援を実施し有用性を検証する。
(3)手術情報のビッグデータ解析により,熟練医の手技や判断プロセスを可視化,患者の術後を予測する技術を開発し有効性を検証する。
※ SCOTはSmart Cyber Operating Theater®の略で,東京女子医科大学が主導して,デンソー,日立製作所など11社および広島大学や信州大学と共に,IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ,手術の進行や患者の状況を統合把握する「戦略デスク」の導入により,手術の精度と安全性を向上させる「スマート治療室」のこと。
<システム構成>
3. 実験期間
2020年12月~2023年3月(予定)
4. 実験実施場所
はこだて未来大および東京女子医大
5. 各団体の役割
はこだて未来大:実証実験全体のシステム構築の管理・運営,AI解析機能の開発
東京女子医大:高度医療システム(SCOT)の運営,有効性の検証
ドコモ:5Gネットワーク環境および「ドコモオープンイノベーションクラウド」の提供
●問い合わせ先
(株)NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/